上市町ではたらく

元祖「マンガ喫茶」は憩いの場

トム&ジェリー(トムとジェリー)

ボリューム満点の日替わりランチが680円で食べられ、プラス120円でサイフォンで淹れたコーヒーまたは紅茶も味わえる喫茶店。上市警察署の隣にある。棚に並んだマンガは約2万冊と、元祖「マンガ喫茶」でゆったり過ごしたくなる。マスター・在原耕一さん(65)の趣味のメダカやライターコレクションも眺められる楽しいお店で、料理はママ・哲子さん(59)が担当。インタビューは哲子さんに聴いた。

※現在は閉店されています。

マスター 在原 耕一さんとママ 哲子さん

マスター 在原 耕一さんとママ 哲子さん

 
 

朝夕に常連さんが多い喫茶店

上市警察署の隣にあるお店

上市警察署の隣にあるお店

――オープンの経緯を教えてもらえますか?
 今から34年前の昭和55年、自宅の敷地にオープンしました。元々ここは私の実家で、結婚して始めたんです。当時は31歳と25歳。上市町にはまだパルもなく、周りに田んぼしかなかった。店の前は交通量が多い道路で、隣に上市警察署が建つ2~3か月前。住宅も増えてくるのを見込んで、1番準備金がいらない飲食店にしたんです。店も最初はこんなに広くなくて、カウンターとボックス席が2つだけでした。主人が学生時代に東京の喫茶店でアルバイト経験があったのと、生後3か月

サイフォンでコーヒーを淹れる

サイフォンでコーヒーを淹れる

の乳飲み子を育てながら仕事できるのは自営業だと思って喫茶店にしたの。でも忙しい時は結局じいちゃんばあちゃんに頼ることになったけど。
――3か月! それは大変ですよね~。そんな中で34年続けてこられた理由は?
 地域密着と言うか、本当に近くに住む人たちが支えてくださったことかな。34年の間には、主人が大きな病気をして入院して手術を3回しました。その間はアルバイトさんを頼んで助けられてきた。サラリーマンと違って、役職についたり給料が上がることはなくて儲からないけど、小さい子がいても不測の事態が起きてもやめずに続けて来られたのは、やっぱりお客さんのおかげです。開店当時からずっと来てくれている常連さんや、19~20歳くらいの時にアルバイトしてくれてた女の子達が子連れで来てくれたりもします。
――トム&ジェリーさんの強みは何でしょう?

常連さんが集うカウンター

常連さんが集うカウンター

 同じ顔が毎日同じ時間に集まるっていうことかな。同じ顔を見ないと1日が始まらないんじゃないかと思うほど(笑)。座る席も決まってますよ。若い時から来ているメンバーや、週末しか来なかったけど退職して平日も来られるようになったメンバーがここで顔を合わせる。ここで仲良くなってゴルフに行ったりする。
――食べに来られるだけじゃなくて、憩いの場にもなっているんですね。
他のお店の話を聴くと、お客さんが来ない日もあると言われるけど、うちは比較的暇な日でもお客さんが来てくれます。誰も来ない日が無いと言うのはありがたいことだと思います。常連さんは朝と夕方に来てくれることが多く、当初想定していた車で通るお客さんは、お昼に来てくれますね。

2人がけのテーブル席が多数

2人がけのテーブル席が多数

――コーヒーチケットもたくさん置いてありますもんね。
 そうですね、チケットの置いてある常連さんは40人くらいで、その8割の方が毎日来られます。チケットが無くても毎日来られる方もおられますよ。壁の写真はお客さんからのプレゼントです。
――お客さんから愛されてるんですね。お客さんの好みも覚えておられますもんね。
 そうですね。コーヒーはレギュラーなのかアメリカンなのか、砂糖は入れるのかってことですね。

マンガ約2万冊とライターコレクション

店内にあるトム&ジェリーのグッズ

店内にあるトム&ジェリーのグッズ

――店内のいろんなところにトム&ジェリーのグッズがありますが、名前の由来は?
 主人がマンガ好きでネズミ年のため、命名したんです。グッズも昔はもっとたくさんあったんだけど。たまにどこかで出会ったら買っています。ソファに敷いているマットはお客さんが作ってくれたんですよ。
――そうなんですか。どこにグッズがあるかを探すのも楽しいですね。ところで店内にマンガが数えきれないほどありますが、マスターはやはりマンガ好きなんですね。
 そうです。元々、主人が喫茶店でマンガを読むのが趣味だったんです。まだ「マンガ喫茶」がない時代に、主人が1歩早くマンガ喫茶にしたいと置いたのが始まりでした。元祖・マンガ喫茶みたいなものかな。お客さんのリクエストでどんどん増えていき、今では店内に3千冊、倉庫にある分も合わせると2万冊ほどあります。自由に読んでゆっくりしていただければと思っています。

奥にもあるマンガ。中央の棚はライター専用庫

奥にもあるマンガ。中央の棚はライター専用庫

――いいですよね。マンガ好きな人なら1日中でもいられそうです。あの、棚にぎっしりと飾られたライターもマスターの趣味ですか。
 そうです。もうタバコをやめたので集めていませんが、変わったライターをたくさん集めていました。
――船やバイク、キャラクターものなど面白いライターがたくさんありますね。

メニューはすべて800円以内

日替わりランチ(680円)。写真はミニすき焼きと冷奴

日替わりランチ(680円)。写真はミニすき焼きと冷奴

――おすすめメニューは何ですか?
 人気は日替わりランチ(680円)。平日だけでなく、土日もやっています。朝市や、両親が畑をしているので前日の夕方にもらう野菜を見てメニューを決めています。お客さんが持って来てくれることもあります。米や野菜はほとんど上市・立山の地場もの、魚もなるべく県産のものを選んでいます。若かった時はお肉中心だったけど、常連さんも一緒に年をとってるから今は魚の割合が増えてきました。みなさん火を通した野菜を好まれます。全部手作りで、季節ごとに10種類ほどのメニューを決めています。あと、コーヒーは単品だと380円だけど、日替わりランチの食後は120円。コーヒーのほかに紅茶、ミルク、コーラからも選べます。ほかのメニューには200円で付けられます。焼き豚を煮たソースで味付けした「和風チャーハン(600円)」も人気ですよ。

料理はママが担当

料理はママが担当

――それも美味しそう! あと、「インディアンカレースパゲティ(650円)」って珍しいですよね。
 そうですか? これはベーコンとタマネギ、パプリカを炒めたものとゆでた麺を合わせ、特製カレーソースで味付けしています。カレー味だけどほんのり甘口のスパゲティで、要望があればもっと辛口にもできますよ。
――結構、量が多いような気がするのですが…。
 うちは全部盛りが多いです。お客さんの顔を見て、大盛りにしたりする(笑)。
――それは嬉しいサービスですね。メニューは定食でも800円以内と、すごく安いですよね。
 そうですね。価格は据え置きでやっていて、消費税が10%になったら上げようねと主人と話しています。ランチタイムは11:30~19:00にしていて、お電話いただければ日替わりを取っておくこともできますよ。
――夕方でも「日替わりランチ」が食べられるということですね。

お客さんとの付き合いを大事に

お客さんのための老眼鏡とルーペ

お客さんのための老眼鏡とルーペ

――お店をされていて大変なのはどんなことですか?
 定休日はあるけど、仕入れや掃除など、全く休めないことかな。連休もないし。でも、従業員を何人も入れてローテーションにすると、毎日来てくれる人は少なくなると思う。
――さっき言われた「毎日集まる同じ顔」の中心はマスターとママですもんね。
 お客さんとの付き合いは大事にしています。冠婚葬祭や、入院されればお見舞いにも行くし、いろんなこと頼んだり頼まれたり。町内のソフトボール大会に頭数が足りないから誘われて出たり、お客さん達とゴルフに行ったり。私がバドミントンしてるから、お客さんを誘うこともあります。大変なところもあるけど、楽しいですよ。3年前に、息子がグアムで結婚式をすることになって、一週間店を休みました。その間に内装を替えてもらったのですが、施主の私達がいないので、常連さんの工務店に丸投げの工事でした。お客さんの中の有志が現場監督を買って出て、細部はやはり常連のお客さん達が相談して決めたそうです。現場でコーヒーを淹れて話し合ったそうですよ。帰った時にはすべてが完了していました(笑)。
――それ、すごいですね(笑)。では最後に、今後のことについて教えてもらえますか。
 私たちが元気でいられれば、あと5年か10年…できるだけ長く続けられたらいいなと思っています。体が続く限りやっていこうと主人とも話しているんです。
――そうなんですね。常連さんやほかのお客さんのためにも、ぜひ長く続けてください。今日はどうもありがとうございました。
 こちらこそ、ありがとうございました。

お客さんの声

花もお客さんからのプレゼント

花もお客さんからのプレゼント

常連のお客さんにも話を聴いてみました。
30年近く毎日来ている上市町在住の男性(71)は、「ここは居心地がいい。いろんな経歴のお客さんがいるから、分からないことがあったら必ず誰かが教えてくれる。こんな場所は貴重だよね」と話してくれました。
開店してからずっと毎日来ている上市町在住の男性(75)によると、「マスターが頼りないから心配でほっとけない。それがまた、完璧じゃないから面白い。車が来るのを見てコーヒーを淹れておいてくれるよ。おかわりも飲ませてくれるので、年金生活者にはありがたいね(笑)」とのこと。ママが着ているトムとジェリーのトレーナーも、このお客さんが作ってプレゼントしたそうです。


天井まで届くマンガの数

天井まで届くマンガの数

泳ぐメダカがかわいい

泳ぐメダカがかわいい

船や消化器の形のライター

船や消化器の形のライター

お客さんに愛されているトム&ジェリーさん。久しぶりに行っても覚えていてくださって嬉しかったです。常連さんが多いと新規のお客さんは入りにくいかと思いきや、一度入れば自然な雰囲気で温かく、まるで自分も以前からの常連さんだったかのような気さえしてきました(笑)。
日替わりランチはバリエーション豊富で、ふりかけがついているのも嬉しいポイント。夏になるとサイドメニューにミニそうめんがつくことも。
私はマンガが大好きなので、ランチに行くとつい時間を忘れて長居してしまいそうになります。いつか休みの日に入り浸ってみたいです…。
店内にはかわいらしいメダカが泳いでいて、癒されます。メダカもマスターの趣味で、「ダルマ」という珍しいメダカだそう。マスターの趣味は多彩ですね。
気になっていてまだ入ったことのない方、マスターとママ、2人の笑顔に会いに行ってみてはいかがでしょうか。

●おすすめメニュー●

 
 

●DATA●

店舗名 トム&ジェリー
住所 上市町稗田3
電話番号 076-473-1221
営業時間 9:00~21:00(LO20:00)
定休日 火曜、1月1日
駐車場 12台(裏手にもあり)
ホームページ なし
Facebookページ なし
メニュー 日替わりランチ、定食、スパゲティー、コーヒー、ケーキ
設備・情報 予約可、絵本あり、ベンチシートあり、離乳食持ち込み可、ベビーカー持ち込み可
代表 在原 耕一
オープン年月日 昭和55年6月19日

Comments

comments