上市町ではたらく

配達時に地域見守り活動を行う

有限会社 北日本新聞上市西部販売店

地域密着で安全安心をモットーにしている新聞販売店。北日本新聞の「愛のひと声運動」や上市町と協定を結んだ「地域見守り活動」などで、1人暮らしや高齢世帯のお宅の新聞や郵便物が溜まっていないか確認するなど、新聞配達時の見守り活動を行っている。代表取締役の表寺(おもてら)剛将さんは「決まった時間に新聞をしっかり届けるのは当たり前だけど1番大事なこと。お客さんが楽しみにしてくれているのがありがたい」と話す。

代表取締役 表寺 剛将さん(40)

代表取締役 表寺 剛将さん(40)

 
 

お客さんが楽しみにしている「新聞」

新しい「上市四葉台団地」のそばにある

新しい「上市四葉台団地」のそばにある

――創業の経緯を教えてもらえますか?
この場所は元々、父が昭和53年4月に始めた「(有)共同建材」という建材屋でした。私は家業を継ぐつもりで、修業のために県内の建材問屋でサラリーマンをしていました。23~24歳から家業をやり始めたのですが、27歳の時に新聞販売店を始めてはどうかという話をいただいたんです。新聞販売店というのは、その地域で基盤となる土地や店、顔がないとできない商売。せっかくの話なので始めることにして、父は建材屋の代表のまま、私が新聞販売店の代表となりました。お互いに手伝いながら仕事をしてきて、今年で13年になります。

「有限会社 共同建材」の看板

「有限会社 共同建材」の看板

――仕事をされる上で大切にしていることは何ですか?
基本は新聞を届けること。決まった時間にしっかり届けるというのは、当たり前ですけど1番大事なことです。朝起きてまず新聞を読むことを毎日の日課にしている方もおられるので、もしもそんな方がポストを見た時に新聞が入っていないとがっかりされてしまいます。「届けて当たり前」なので、何かの間違いで届いていないときや30分も遅れることがあると、お客さんから電話が入ってしまいます。逆に言うと、それは「楽しみにしてくれている」ということで、ありがたいことだと思います。雪がひどい時にいつも通っている道が通れず、迂回するなどしていると、届ける順番が変わってわからなくなる場合もあるので、しっかり記憶していなくてはなりません。

1人で平均100世帯に配達

配達員さんに向けたメッセージ

配達員さんに向けたメッセージ

――新聞販売店さんと言うと朝が早いなど、大変なことがいろいろあると思いますが…。
そうですね。朝と言うか、夜中に起きなきゃいけないことや休みがほとんどないことは辛いです。2時には店を開け、2時過ぎに新聞が入ってくるので、機械でチラシを折り込みます。配達員さんには、「2時半から5時半の間に配り終えてください」と言っています。配達員さん1人につき平均100世帯の新聞を配達しています。パートさんの休みの日に別のパートさんがいきなり病気になるなどして休みが重なってしまうことや、従業員さんが朝来なくて連絡してもつながらないこともあったので、そういった突発的なことが起こったときの対処が大変ですね。
――そういう時はどうされるんですか?
人数が足りないときは自分が代わりに配ります。普段は「逓送(ていそう)」といって、自転車で配っている配達員さんの家へ新聞の束を持って行ったり、通常より早く配ってほしいと言われる要望に応えて個別で配達したりしています。(また、バイクの荷台に積める新聞の部数は限られているので、配り終える地点に次の配達用の新聞束を届けます。)
――体力勝負ですね。
そうですね、でも夕刊が無くなったおかげで少し楽になりました。集金に行って、お客さんから「いつもありがとう」と言ってもらえたとき、やりがいを感じます。現在は配達員さんの募集を行っていて、チラシを作って上市町に折り込みで配布しています。
――どんな方を求めておられますか?
真面目な方、責任感のある方です。続く人は結構長いですが、続かない人は1日で「向いていない」と辞める人もいますね。1週間ほどしたら寝坊してしまう人も多いです。
――ほかの人よりも早く起きて仕事をされるって、本当に尊敬します。

配達時に地域を見守る

店頭でも新聞を購入できる

店頭でも新聞を購入できる

――いつも心がけておられることは何ですか?
自分たちの仕事は、地域密着で安全安心をモットーにしています。上市町と「地域見守り活動」の協定を結んでいて、1人暮らしの方や高齢世帯の方のお宅に配達した際、新聞や郵便物が溜まっていないか確認しています。夜になっても電気がついていないとか、夜に調子が悪くなられて朝も電気がついたままになっていることがあるので、そういうときは民生委員に連絡します。配達員さんには、「新聞が2~3日溜まっていたら連絡してください」と伝えています。旅行に行っているだけの方もおられますが、事前に連絡をいただけると止めることができるので、おすすめしています。緊急入院や手術で連絡が取れなかった方もおられるので、いろんな可能性を想定しています。
――毎日配達される際に、見守られているというのは安心につながりますね。
はい。そして、北日本新聞の「愛のひと声運動」もやっています。配達中に、施設を抜け出された方や道路で寝ている、冬場の雪が積もっている中を裸足で歩いているなど、認知症の方がおられたら、警察や施設、民生委員に連絡します。
――人気のない夜中にそのまま発見されないと大変なことになりますから、配達員の方々の役割は大きいですね。
そうですね。また、独自で「14歳の挑戦(富山県で行われている中学2年生の職場体験学習)」の受け入れもしています。昼間に、チラシの折り込みの手伝いや掃除、夕刊があったときは配達の手伝いもしてもらっていました。1週間のうちに1度、「越中座(北日本新聞社の印刷拠点兼新聞博物館)」の見学にも連れていきます。

 

質の良い情報をキャッチできる新聞

チラシの折り込み作業

チラシの折り込み作業

――チラシは機械で折り込まれているんですね。
はい。ただ、実はここ数年、チラシが少なくなっています。パチンコ屋さんの広告への規制が厳しくなったのと、携帯電話会社の新機種発売のスパンが長くなったことが一因です。ガラケーの場合は機種が変わるごとにチラシが出されていましたが、スマートフォンが出てから機種の寿命が長くなり、チラシが出されなくなってきたんです。
――折り込みチラシから、経済の流れも分かるんですね。
分かりますよ。新聞は嗜好(しこう)品で、タバコとかと同じ。家計を節約する場合、シビアに削られやすいものです。高度成長期に需要が伸び、結婚したらその世帯で新聞を取って読むのが当たり前でしたが、最近は活字離れが進んでいます。ニュースを新聞ではなく、スマホやパソコンで見ている人も増えました。新聞社の方でも、購読者がインターネットで見られる電子版を出すなどの工夫をしています。
――紙媒体の新聞を読むメリットは、何だと思われますか。
やはり情報の量と質が良いことです。ほかにも生活をより豊かにするとか、世間話をしたときに恥をかかないとかメリットはいろいろありますが、小中学生でも、新聞を読んでいる家は学力が高いと言われていますよね。大手新聞社は子ども新聞なども発行しています。富山県のことを知りたい人には北日本新聞がおすすめです。特に地元密着で記者の数も多いですし、地元の記事は本当に自慢できるものです。1面コラム「天地人」を書き写すための「天地人ノート」も販売しているので、脳トレーニングや文章力アップなどに役立てられます。うちが取り扱っている新聞は全部で8種類あり、経済や株について知りたい方には日経新聞がおすすめです。

――それでは最後に、今後の展望を教えてください。

この自動販売機が目印

この自動販売機が目印

今後は新聞の配達だけじゃなく、お客さんと従業員さん、そして自分自身のためになる何か違うこともやっていきたいと考えています。全国の新聞屋さんの中には、お買い物の代行をやっているところがあったり、県内でも砺波市で電球を替えるなどのお困りごとに対応しているところがあったり、畳の張り替えや障子・ふすまの張り替えなど、自分でできないことは業者さんを紹介するなど、そういうことをやっていけたらいいなと思っています。
――そういったことが、ひいては地域を明るくすることにもつながるんですね。
はい。元々上市町で生まれ育ち、商工会青年部やライオンズクラブに入って皆さんの話を聴きながら、そう考えるようになりました。読者サービスの一環としてすることで、少しでも読者増につなげたいですね。
――そうですね。表寺さん、今日はどうもありがとうございました。
こちらこそありがとうございました。

はたらくらすコネクション記者・古野知晴のFuruno's voice!
グラウジーズのサイン入りユニフォーム

グラウジーズのサイン入りユニフォーム

表寺さんのお父さんの撮った写真。上市第二ダムがお気に入りだったそう

表寺さんのお父さんの撮った写真。上市第二ダムがお気に入りだったそう

表寺さんの話を聴いて、「新聞は世の中の動きを知るとともに、語彙(ごい)を増やし、新しいビジネスの発想を知ることができる大切なもの。地元について詳しくなれ、愛着を強くするのが地元新聞」なのだと思いました。
どんなものを手に入れたいかによって情報の取捨選択が変わるものの、紙媒体だとネットニュースよりも自然に幅広い情報を得ることができるのだと思います。
事務所には、グラウジーズのサイン入りユニフォームが! スポンサーになっているとのことで、自動販売機もグラウジーズ仕様でした。

●DATA●

企業名 有限会社 北日本新聞上市西部販売店
住所 上市町若杉新12
電話番号 076-473-0011
FAX番号 076-472-5481
営業時間 8:00~18:00
定休日 新聞休刊日に準じる、日曜・祝日は午前中のみ営業
駐車場 6台
代表取締役 表寺剛将
事業内容 新聞配達、折り込みチラシ
主要商品 取り扱い新聞8種類
資本金 500万円
ホームページ なし
Facebookページ なし
従業員数 20名(パート含める)
設立年月日 2003年9月1日
過去3年間の採用実績 平成25年2人、平成26年2人、平成27年2人

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