上市町ではたらく

長く使えるプロの商品を販売・修理

武田文平商店

江戸時代後期に農具を中心に手掛ける「野鍛冶(のかじ)」として創業。現在は建築資材、建設機械などの販売や機械修理を行うほか、オーダーメードで鉄製品を作る。「質が良く、修理できるものしか売らんと決めています。お客さんが満足いくものを販売するのがモットー」と話す代表の武田文博さん(68)は6代目。上市町商工会青年部の部長を務める息子の貴文さん(39)は「今後もお客さんのニーズに応え続けていく」と話す。

代表 武田文博さん(左)と武田貴文さん

代表 武田文博さん(左)と武田貴文さん

 
 

時代に合わせて鍛冶屋から農機販売へ

三日市交差点そばにある店舗

三日市交差点そばにある店舗

――文博さん、創業からの経緯を教えてもらえますか?
江戸時代後期、鍛冶屋として創業しました。私で6代目です。昔は農家が多く、鍬(くわ)や三ツ鍬(みつぐわ)、鎌など農業関係の金物を製作・販売、草鎌の研ぎ、除草機の修理などを行っていました。包丁や農具などを手がけるのは「野鍛冶(のかじ)」と言って、うちは「若杉のかんじゃ(かじや)」と呼ばれていたんです。

昭和初期の取り引きが記された大福帳

昭和初期の取り引きが記された大福帳

――江戸時代ですか! 6代目とはすごく歴史がありますね。
父・文平の時代になり、母が父の名前を取って「武田文平商店」を設立しました。1900年代初期(明治~大正時代)のことです。昭和初期の「大福帳(江戸時代から商家で使われていた、取り引き相手や勘定を記した帳簿)」によると、上市町や滑川市、富山市の針原に豊田、立山町の農家さんが修理のために農具を持って来られていたようです。

現在も鍬などの農業用品は店頭にある

現在も鍬などの農業用品は店頭にある

――遠いところからもお客さんが来られていたんですね。
戦争の時、父は兵隊さんとして行かず、鍛冶屋の作りものをしていました。流通が途絶えたため、ダンプカーのバネや廃材を何とか溶かし、ありあわせの鉄で農業用の鎌などを作っていたんです。しかし、次第に農家も減り、今では当時の3~4割となりました。父の時代は鍬(くわ)で耕していたものが、農業の機械化が進み、私の時代には耕運機を使うようになりました。そのままでは食べていけないので、鍛冶屋から農業機械や建設資材の販売に切り替えたんです。オーダーメードの鉄製品製作や機械の修理もするので、農家や一般企業からの依頼があります。

修理して長く使えるプロの商品

小型で機動性の高いチェーンソー

小型で機動性の高いチェーンソー

――大変なのはどんなことですか?
時代の波が変わるのは早いので、お客さんのニーズや需要に合わせて対応して変えていくことです。昔は農具に特化していたのが、建設会社を相手に資材販売などもするようになり、公共や個人の方にオーダーメードで鉄製品を作ることも始めました。子どもが川に落ちないよう鉄板のふたの注文が多いほか、一般家庭の鉄製の手すりの新設や修理といった依頼もあります。
――時代の流れにより、商品や業態を変えてこられたんですね。電動工具類もあるんですね。
はい。実は一般的な電動工具類には「本物」と家庭用があるんですが、うちは本物しか置きません。

マキタの充電式ドリル

マキタの充電式ドリル

――本物と言うと?
簡単に言うと、業務用品とDIY(英語のDo It Yourselfの略語。専門業者ではない人が自分で製作・修繕すること)用品の2通りあって、うちは業務用のみ扱っているということです。DIY用品が安いのには理由があるんです。2~3万円の機械と1万円の機械を比べると、違いは性能や質の良さだけでなく、部品の供給があるかどうかということ。安いものは中の構造がしっかりしていないので、すぐに壊れてしまう上に、部品の供給がないため壊れても直せないことが多いです。構造は見えないので販売時にはお客さんには分かりにくいと思いますが、壊れるものは信用が落ちるから扱いません。うちは細く長くいきたいから、質が良くて直せるものしか売らんと決めています。お客さんが満足いくものを販売するのがうちのモットーです。アメリカなど海外ではクレームが出るようなところが、日本ではまかり通っている現状があります。

笑顔の素敵な奥さんが出迎えてくれる

笑顔の素敵な奥さんが出迎えてくれる

――なるほど、仕事で使うなら、プロ仕様のものを使うべきだということですね。
そうです。うちの強みは、1年だけでなく、2年、3年、そのもっと先のことも考え、商品を販売しているということ。メンテナンスしながら長く使えるものを提供し、修理のお世話もしています。その時だけ良ければいいという商売は、信用を落とすのでできません。プロは必ずアフターのことも考えています。
――その道のプロは長く使える機械でないと商売にならないですし、そういった商品を販売するのが武田さんのプロとしてのスタンスということですね。

お客さんのニーズに応え続ける

武田文平商店のみなさん

武田文平商店のみなさん

――貴文さんは現在、上市町商工会青年部の部長さんを務めておられるんですよね。家業にはいつから携わっておられるんですか?
金沢の大学卒業後、3年間金沢で働いてUターンしました。家業を継ぐため、金属加工の技術専門学校へ1年通ってからこの店で働き始めました。上市町商工会青年部では大勢の先輩や仲間に恵まれ、平成27年度から部長を務めています。
――青年部には熱い志を持っておられる方が多いですね。それでは最後に、今後の展望をお聞かせください。

外仕事に便利なグッズも販売

外仕事に便利なグッズも販売

今後も、お客さんのニーズに応え続けていくことが大切だと考えています。昔からずっと学校や保育所の給食室の包丁の研磨もしていて、10本でも20本でも受けます。まき割り用のまさかりやなたの研磨に、柄が取れたなどの修理も承っているので、お気軽に相談してもらいたいです。
――わかりました。お2人とも、今日はどうもありがとうございました。
こちらこそありがとうございました。

はたらくらすコネクション記者・古野知晴のFuruno's voice!
訪れた人にお茶を振る舞う憩いの場

訪れた人にお茶を振る舞う憩いの場

農機具から電動工具、ネジまで何でも揃う武田文平商店さん。江戸時代から受け継がれてきた技術や接客に加え、時代に応じて変化して来られたことが、お店を長く続ける秘訣なんですね。
販売だけでなく、修理もできる武田文平商店さんのようなお店は本当に貴重だと思います。機械を商売で使うプロは、仕事の時に道具が壊れて修理もできなかったら大変なことになります。そんなことにならないよう、購入時にしっかりした本物の製品を選ぶことが大事なのだと教えていただきました。

耳かきや爪切りも販売

耳かきや爪切りも販売

取材時には、ちょうど小学校の先生が給食室の包丁の研磨依頼に来られていました。 お店を訪れると、美味しいお茶を振る舞ってもらえます。ここはお客さんや近所の人の憩いの場にもなっているようです。
ところで、私が気になったのは、レジの前にあった「最高級耳かき」。今度買いに行ってみようと思います。

●DATA●

店名 武田文平商店
住所 上市町三日市64
電話番号 076-472-0307
E-mail bun12take@gmail.com
営業時間 7:00~19:00
定休日 日曜
駐車場  
ホームページ なし
Facebookページ なし
事業内容 金物屋
主力商品 建築資材、電動工具、建設機械、作業用品の販売・修繕、
機械修理、オーダーメードの鉄制作物
設立 創業 江戸時代後期
代表 武田文博
従業員数 4人
過去3年間の売上高 横ばい

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