上市町ではたらく

軽量鉄骨の仮建物建設と特殊清掃

株式会社 東和ハウス工営

仮建物をメインとする建築工事を行う会社。軽量鉄骨を使うことで、安さと品質のバランスをとって建設できるのが強み。使われなくなった建物を、会社の事務所や宿舎に生まれ変わらせることも得意としている。また、北陸でも数少ない、亡くなった人の部屋の特殊清掃なども行っている。代表取締役の加藤秀隆さんは、「人に喜ばれる仕事をしたい。頼んだことを後悔されるのが1番嫌ですから。相手の身になって考えることを心がけています」と話す。

株式会社 常栄技巧さんからの紹介。

代表取締役 加藤 秀隆さん(43)

代表取締役 加藤 秀隆さん(43)

 
 

安さと品質のバランスをとれる軽量鉄骨

久金にある会社

久金にある会社

――創業からの経緯を教えてもらえますか?
 昭和52年、建設業全盛の時代に私の父が創立した会社です。当時からプレハブの施工をしていました。私は高校卒業後、県外の工務店に住み込みで2年間働き、20歳で富山市に建設工事会社を設立しました。当時は景気のいい時代で、いくらでも仕事がありました。東和ハウス工営で働いていた兄が辞めたため、平成5年に自分の会社が吸収合併される形で私が入りました。

2階が事務所になっている

2階が事務所になっている

 その後、一級建築士が入社した十数年前から、仮建物だけでなく一般建築やサウナの新築工事を行うようになり、常栄技巧さんの事務所やつるぎ恋月さんのサウナ、あいらぶ湯(滑川市)さんのサウナなどの新築工事実績があります。
――東和ハウス工営さんの強みは何ですか?
 仮建物をメインでやってきた会社なので、軽量鉄骨を使って安さと品質のバランスをとってできることです。重量鉄骨は柱自体が強いのでビルなどに向いていて、比較的高額です。

資材や作業道具の保管スペース

資材や作業道具の保管スペース

 軽量鉄骨は大規模なものには向かず、せいぜい3階建てまでですが、鉄の量が少ないのでコストを抑えることができます。使われなくなった建物を買い取って事務所や宿舎にすることも意外と多く、かなり傷んで見えるものでも、基本的な構造を変えずに、綺麗に生まれ変わらせます。通常のリフォームもできますが、工場を宿舎にするのが得意な会社は稀だと思います。
――お店でも全く違う業種にすることなども?

木材の加工・建築も行っている

木材の加工・建築も行っている

 できますね、得意です。木造は間仕切りの中の柱も必要ですが、鉄骨の場合は外回りだけで構造が成り立っていることが多いので、間仕切りを壊して大きい部屋にすることもできます。鉄骨のメリットは、柱の本数が少なく済み、頑丈だということです。広い部屋も取れる。基本的な骨組みは鉄骨で、下地材や床を木造で融合させることも多く、その方がコストが抑えられます。サウナも同じで、肌に触れるところは木造で外側は鉄骨です。ホームサウナも扱っていますよ。

人に喜ばれる仕事をしたい

軽量鉄骨の部材

軽量鉄骨の部材

――社名の由来は?
 現場の組み立てハウスのことは「プレハブ」より「ハウス」と呼ぶのと、先代が以前勤めていた会社から名前を付けました。そもそも、プレハブとは建築部材を工場生産し、現場で組み立てる建築工法のことです。工場で加工済みなので、現場での工期が短く済むんです。プレハブの仮設住宅は、本体だけなら1日で5軒くらいできます。内装仕上げは別ですが。

原発の定期検査用仮建物①

原発の定期検査用仮建物①

 平成23年2月に代表になってわずか1カ月後、3月の東日本大震災の時も仮設住宅の建設に行きました。一刻も早く完成させなければならないので、北海道から九州まで日本中から作業員が来ていましたよ。能登や中越などの震災の時も仮設住宅の建設に行きました。
――仕事の中で、どんなことが大変ですか?
 暑いのと寒いの、重い物を持ったり高いところに登ったりすることですね。でも震災現場では地元の人達がすごく喜んでくれて感謝されます。建築の仕事って大体そうなんですが、お客さんに喜ばれることがやりがいになっているんです。

原発の定期検査用仮建物②

原発の定期検査用仮建物②

――今まで特に心に残っているのはどんな場面ですか?
 「ありがとう」って言われた時です。原発事故でみんなが行きたがらないところだったから、福島県の人達は本当に感謝してくれました。仮設住宅の引き渡し時や作業途中に通りがかった人がジュースを置いて行ってくれたり、車のナンバーが富山なのを見て「遠いところからありがとう」と言ってくれたりしました。
――そういった現場を肌で感じておられるんですね。加藤さんが仕事で心がけておられるのはどんなことですか?
 「人に喜ばれる仕事をしたい」ということです。頼んだことを後悔されるのが1番嫌ですからね。それには、相手の身になって考えます。安くていい仕事をしたら1番いいけど、お金をかけたらかけただけいいものが作れるというのはもちろんあって。特に仮建物はいずれ壊すものだから、住み心地は落とさず、必要以上に華美にならないよう抑えるなど、バランスが大事です。

新幹線の常願寺川橋梁工事事務所

新幹線の常願寺川橋梁工事事務所

――そうなんですね。県外でのお仕事が多いんですか。
 県内・県外問わず仕事しています。大きい現場のある場所に仕事があると思ってもらえればいいかな。新幹線を1つとっても仮設事務所がたくさんあります。平成10年の長野オリンピック前も、トンネルやスタジアムを建設する作業員が寝泊まりするためのプレハブ宿舎などの建設に、長野ばっかり行っていました。ダム現場などは作業員が50人くらい住むプレハブ宿舎を何棟も建てるので、1つの村を作っているようなものです。

片貝川の発電所の工事事務所

片貝川の発電所の工事事務所

富山駅の仮旅客通路も作りました。北陸新幹線開業当日の直前まで夜間作業で、通路の切り替え準備に追われていました。仮建物は本工事が完了したら壊すものなので寂しい気持ちはありますよ。でも、歴史に残るものに関われること、お客さんに喜ばれることがやりがいになっています。
――仕事の面白さはどんなところですか?
 個人的には物を建てること自体が面白いです。組み立てハウスは、簡単な図面しかないからそこに辿り着くまでは自由です。イメージ通りに仕事が流れて行ったときは気持ちがいいですね。

特殊清掃で遺族の心の回復

整理清掃部門のホームページ画面

整理清掃部門のホームページ画面

――遺品整理や特殊清掃もしておられるんですか。
 はい。平成26年に、愛知県でそういった仕事をしている人と出会い、入社してもらって始めました。自分も手伝う中で、一通りの仕事を覚えて「事件現場特殊清掃士」の資格を取得し、作業しています。県内で遺品整理をやっている会社はほかにもありますが、特殊清掃は北陸でも少ないので、県外にも行っています。担当者が平成27年に実家の事情で退社したため、働いてもらえる人を募集しています。動じない人や気にしない人に入ってもらいたいです。
――動じない人?
 孤独死というのは、死後数日経って発見されることが多いので、臭いがすごいんです。亡くなると体液が出るので、布団や床には人の形になったしみがついています。凄惨な現場を見てご遺族の方がPTSDになってしまうケースもあるほどで、ダメな人は全くダメだと思います。自分は結構平気なので出来ていますが、また、亡くなった方や遺族の方のことを考えていたらやりきれないですから、作業中は感情をシャットアウトしています。一般の清掃作業とは違い、感染症予防、消毒、害虫駆除、室内解体等の専門的な知識、スキルが必要な作業になります。完全に臭いを撤去するには、材料ごと撤去しなければなりません。うちは建てたり壊したりが得意なので、そういう面で共通している仕事でした。
――そうなんですね。どんなところから依頼が来るんですか?
 市町村の包括支援センターや個人の方、不用品買い取り業者から依頼が来ますね。昨年は1年間で10件しかありませんでしたが、まだ潜在的な需要はあると思います。
――大切なお仕事ですよね。では、今後の展望をお聞かせください。
 うちはホームページや付き合いのある企業から仕事が来ることが多いのですが、今は仕事があっても人が足りなくて引き受けられないことも多いので、今後はやはり人を増やすことで、仕事のできる数を増やしたいです。今、2~3人募集しているのですが、頑張ってくれたら職歴は何でもいいです。ずっといてくれる人、嫌がらずにやってくれたらそれでいいと思っています。従業員には、いつも「けがだけはしないように」と言っています。出張の多い仕事なので、日々の変化が好きな人におすすめです。私は毎日同じ場所で同じことをやっているのはつまらないんです。あちこちいろんなところへ行っていろんなタイプの仕事をする、そういうのが好きな人に向いている仕事です。県外出張の際は3食出していて、地元のものを食べに連れて行ったりもしますよ。
――旅行や食べるのが好きな人にもいいですね。加藤さん、どうもありがとうございました。
 こちらこそありがとうございました。

はたらくらすコネクション記者・古野知晴のFuruno's voice!
北陸新幹線のトンネル貫通石

北陸新幹線のトンネル貫通石

加藤さんの「人に喜ばれる仕事をしたい」という言葉。業種は違いますが、私も全く同じことを考えていたのでとても共感しました。仕事をする上で、とても大切なことですね。
歴史に残る建築物を作る人たちの宿舎や仮設通路などを作るというのは、直接残るものでなくとも、そこに関わる人達の作業を支え、記憶に残る大事なものですね。 東和ハウス工営さんには、北陸新幹線のトンネル貫通石(貫通点付近で採取された石)の記念品が飾ってありました。縁起が良く、お守りとしても使用される貫通石の存在を初めて知りました。
特殊清掃は、親族が亡くなり、気が動転している遺族にとって、救いの一手だと思います。凄惨な現場を目の当たりにして、それでも気丈に片づけや清掃のできる方はごくわずかなのではないでしょうか。「事件現場特殊清掃士」は、家族を自殺や事故で亡くされ、大きな悲しみと辛さを抱えているご遺族の「心のやすらぎ」と「心の回復」をはかることが使命だそうです。

●DATA●

企業名 株式会社 東和ハウス工営
住所 上市町久金37
電話番号 076-472-5866
FAX番号 076-472-5868
E-mail touwahouse1@h-touwa.jp
代表取締役 加藤秀隆
事業内容 ・建築工事(鉄骨・軽量鉄骨・木造)
・プレハブハウス 販売・リース・施工
・ユニットハウス 販売・リース・施工
・住宅 新築・増改築 ・解体工事
・特殊清掃・遺品整理
・サウナ・薪ストーブ販売・施工(メトス特約店)
主力商品 建築・プレハブ
主な実績 常栄技巧事務所新築工事、つるぎ恋月のサウナ新築工事、
あいらぶ湯(滑川市)サウナ新築工事
資本金 1,000万円
勤務時間 8:00~17:00
休日 隔週土曜、日曜、年間104日、その他(有給休暇、GW、お盆、正月など)
ホームページ http://seiriseisou.jp/(整理清掃部門)
Facebookページ なし
従業員数 4名
過去3年間の売上高 平成24年118,042,619円、平成25年90,929,537円、平成26年53,526,030円
過去3年間の採用実績 平成25年1人、平成26年1人、平成27年0人
福利厚生・従業員特典 保険(健康、雇用)、厚生年金、資格支援(取得費用全額補助)、中小企業退職金共済制度加入、忘年会費の全額会社負担、県外出張時3食分の食事支給
設立年月日 昭和52年7月2日

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