移住者の声

~東京での仕事を続けながら移住する楽しさ~ 新幹線や飛行機で首都圏へ通勤

小柴千晶さん

京都府出身の小柴千晶さん(32)。大学卒業後、地元で1年間働いてから東京へ。大学から始めたドラムでライブ活動を行い、平成24年、富山祭りの「オジサマーロックフェスin TOYAMA」に参加した際に上市町出身の旦那様と出会う。平成26年3月、結婚を機に富山へ。移住後も東京での仕事を続け、現在も月に数日間上京している。東京ではライブのサポート活動をすると同時に、美容専門学校の非常勤講師として法律やマーケティング・経営管理を教えている。上市町で暮らしながら、周辺市町村で海水浴やキャニオニングを楽しむことも。平成27年初めての「観光大使かみいち」を務めている。

小柴千晶さん

 
 

ドラムがきっかけで旦那さんと出会い、富山へ

ドラムを叩く小柴さん

ドラムを叩く小柴さん

――富山に来られたきっかけを教えてください。
京都府出身で、中学・高校では吹奏楽をやっていました。ドラムを始めた大学時代につのだ☆ひろさんと知り合い、上京資金を貯めるために卒業後は1年間、地元で働いていました。23歳で東京へ行き、つのだ☆ひろさんに弟子入りして面倒を見てもらっていました。平成24年、東京でよくライブを一緒にやるメンバーから、「ドラムの人が来られないから代わりにサポートに入って」と言われ、「オジサマーロックフェスin TOYAMA」に初めて参加したのが初めての富山でした。その時、ギターをやっていたのが旦那さんで、翌年のオジサマーロックフェスで再会して付き合い、平成26年3月に結婚して上市町に来たんです。
――ドラムをされているんですね。かっこいい! 富山でも活動されているんですか?

旦那さんと共演した舞台。旦那さんはギター

旦那さんと共演した舞台。旦那さんはギター

はい。県内でもドラムサポートの活動を色々しています。先日ルーマニア大使が富山市に来られ、ルーマニア楽器のコンサートがあった時にドラムでサポート出演しました。ドラムを活かして、上市町でコンサートか何かをできる機会があればいいなと思います。
――いいですね。それは楽しみです。富山に来られたばかりのとき、印象はどうでしたか?
風景や人当たりがゆったりしていると思いました。ガツガツしていないと言うか。富山の中でも、上市町は特に高い建物がないので見渡せるのがいいですね。駐車場でも何でも広いです。たまにとても晴れた日に山が見えると、すごく綺麗です。食べ物は魚が美味しいです。東京では食べられない新鮮さと安さですね。ます寿司の種類の多さにもびっくりしました。あと、「ゲンゲ」は富山に来るまで見たことがなくて、最初に「ショッピングタウン パル」のスーパーで見た時「何これ!?」って思いました。お店でからあげを食べたら美味しかったので、それからは買うようになりましたよ。でも、お店にもよると思いますが、スーパーの刺身やお惣菜が18時過ぎたらほぼ無くなるのには困りますね…。以前、疲れたから刺身だけ買おうと思ったらもう売り切れでした。

富山で暮らし、東京へ通勤

結婚式でもドラムを披露

結婚式でもドラムを披露

――地方で暮らすということに、不安はなかったですか?
いえ、不安はなかったです。ドラムの仕事で海外へ行くこともしょっちゅうあったので、新しいところが好きなんです。楽しいですよ。結婚前から、ドラムをしながら東京の美容専門学校で非常勤講師もしていて、今も東京の3つの学校で美容師さんの卵に法律やマーケティング・経営管理を教えています。
――えっ! ドラムの仕事をしつつ、非常勤講師までされているんですか。
はい。上市町で生活して東京まで通っているため、ドラムのライブサポートがあるときなどに1週間講義を集中的にまとめさせてもらっているので、ありがたいです。講義とライブの日程をピンポイントで合わせる必要があるので、どうしても合わないときはドラムの仕事を断ることもあります。
――東京へは北陸新幹線で?
はい。ただ、少し不便なところがあります。6時19分富山発の始発に乗ったとしても、東京に着くのが8時32分。山手線を半周するのに30分かかるので、9時からの講義に間に合わない。そういうサラリーマンの人とか結構いるんじゃないかなと思います。ダイヤ改正で10~15分早くなればいいのにと思います。そうすれば東京から来た人も富山に泊まって翌日の朝から東京で仕事することができるようになる。今は泊まらずに帰ってしまっています。また、飛行機は富山―東京間の便数が少ないのですが、車で富山空港まで行けるし、速いので便利です。
――雪の時期はどうですか?
雪と風がひどくて電車がストップし、特急はくたかが止まって行けなかったことや、実家のある京都へ帰ろうとしたら特急サンダーバードが止まっていて、富山駅近くのホテルに泊まって朝5時台の高速バスで帰ったこともあります。
――そんな時はどうされるんですか?
仕事に影響しないよう、前もって行きます。前乗りしようとしていたのが当日行くことになったことはありますね。飛行機だと飛ばなくなるとアウトなので、余裕をもって行動しています。

無料または安価で楽しめるスポット盛りだくさん

――上市町の観光大使もされていますよね。
そうなんです。商工会女性部に所属しているお義母さんからの勧めで。上市にあるものや上市の良さなど、まだわからないこともいっぱいあるので、経験して理解したいと思っています。県外から友達が来た時に案内できたらいいなぁと思います。昨日初めて西田美術館に行ったんですが、面白かったです。マイセンの食器みたいなのがあってかわいかったですよ。
――シルクロードの陶磁器が常設展示されていますよね。ほかに上市町で好きなスポットはどこですか?
大岩山日石寺です。滝が涼しくて好きです。1番好きなのはゆのみこ温泉です。色合いや雰囲気が落ち着けてくつろげます。お風呂には、大岩の滝のように竜の口から流れ出る1本の滝があります。アルプスの湯もよく行きます。温泉なのにどことなくプールみたいで、炭酸泉の歩くお風呂や薬湯があり、長時間いても楽しめます。あと、町なかには何を食べても美味しい居酒屋があって、予約してから行きますが、そうでないと大抵満席です。
――ご家族と一緒に行かれるんですか?
はい。旦那さんが休みごとに、行ったことのないところへ連れていってくれるんですよ。去年のお盆には上市町の花火を見て、初めておしょうらいを家族と一緒にやりました。滑川市のホタルイカミュージアム裏の海や花火大会にも行きましたし、立山町の称名滝も、結構歩いたけど楽しかったです。県外の友人が遊びに来てよく一緒に行くのは、射水市の海王丸パーク新湊きっときと市場。新湊きっときと市場では、好きな魚を選んで刺身や焼き物にしてもらえ、その場で食べられるんです。
――それはいいですね~。
東京ではゲームセンターや映画館、遊園地、ショップとか何でもあるけど、毎週末行くかと言うとそうではないんです。お金がかかるし。富山では、遊びにあまりお金がかからない。衝撃的だったのが、海です! 無料で楽しめるし、近いから午前中に遊んで午後は別のことができる。黒部市の石田浜とか富山市の岩瀬浜とか、いくつも海水浴場がありますよね。黒部峡谷でキャニオニングも体験したら、めちゃくちゃ筋肉痛になりました。でも楽しかったですよ。今度は健康的に、山に登ろうと思っているんです。
――アクティブですね! 富山での暮らしを楽しまれている様子が伝わってきます。

田舎と都会、両方の良さを味わえる

――今のお住まいは?
アパートです。冬は寒いので、今度家を建てるのですが暖かい家にするのが大前提です。寒いのが苦手で、雪かきが楽しいと思ったのは最初の1回だけでした(笑)。車に乗っている雪を降ろすのが大変なんですよね。融雪装置の無いアパートなので、長靴を履いていてもその上まで雪が積もっていると中に入ってくるんですよ。びっくりしました。
――それは災難でしたね。ほかに上市町に住んでいて、困ったことは?
お店が歩いて行ける範囲に少ないのと、証明写真を撮ろうと思った時、東京だと駅に証明写真の機械があるのに上市駅には無くて、1時間ほど探し回ったことがあります。結局、家族に電話して聞いて、「ショッピングタウン パル」で撮りました。
――普段、何もない時はどこにあるかチェックしないですよね。マックスバリュにもありますよ。
ありましたね(笑)。その後見つけました。本屋さんもパルの中にはあるけど、少ないですよね。
――確かに。あとは上市町まちなか交流プラザ・カミールのそばにカッパ堂(パルのお店の本店)がありますね。それでは最後に、上市町への移住を考えている方へメッセージをお願いします。
上市町は暮らすにはとても良いところです。雰囲気も、田舎は田舎でいいところがいっぱいあります。空気も食べ物も美味しいし、自然の中で遊ぶのもいいです。黒部峡谷鉄道に乗って行く黒部市の祖母谷(ばばだに)温泉や、フェリーに乗って行く南砺市の大牧温泉など、秘境の温泉も多いので私は好きですし、住みやすい場所だと思います。東京からも大阪からも中間なので、仕事を辞めて移住するのではなく、続けながら通うこともできます。実際に私は通ってますし。田舎と都会、両方の良さを味わえる今の生活が気に入っています。
――小柴さん、どうもありがとうございました。
こちらこそありがとうございました。

はたらくらすコネクション記者・古野知晴のFuruno's voice!

小柴さんのお話を聴いて、地方で暮らしながら働くことの新たな可能性を感じました。今やパソコンとインターネットがあれば、どこでも仕事ができる時代。それに加え、北陸新幹線で2時間ちょっとで東京へ行けるようになり、できる仕事の幅はさらに広がっているんですね。
また、移住されてきた方や上市町に嫁いできた方向けに、証明写真や公衆トイレなど、生活に役立つMAPがあると便利なのかもしれないと思いました。
ちなみに、富山弁については「~ちゃ(※1)」「~け(※2)」「なーん(※3)」など「かわいいけど何言ってるのかわからない」と話してくれた小柴さん。まだ若い旦那様が「おっちゃん(※4)」と呼ばれているのを聞いて、「誰のことだろう?」と不思議だったそうです。富山弁せんべいによく書いてある「だいてやる(※5)」は直接聞いたことがないそうですが、生まれも育ちも富山県人の私もそれはあんまり聞いたことがないかもしれません…。

 

※1…語尾について断定の意味
※2…語尾について疑問形
※3…いいえ
※4…次男のこと。「おっさま、おっじゃ」とも言う。ちなみに長男は「あんま、あんさま」、長女は「あんね、あねま」、次女は「おおわ」
※5…おごってやる

 


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