移住者の声
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~意識の変化から出会いの連鎖~ 東京からUターン

伊東将太さん

富山県上市町出身の伊東将太さん(31)。革製品の企画制作とグラフィックデザインの仕事で起業し、展示会での出会いから東京へ。それを機に結婚し、夫婦で革製品の受注生産などを請け負った。上市町にUターン後、意識の変化から出会いの連鎖が生まれ、まちづくりやエコツーリズムにも関わるように。「地元に既にあるものや景色の価値を認め、それを活かして周りの人に提示していきたい」と考えている。

伊東さん

 
 

子どもの頃から考えていた起業を実現

――上市町で起業されたのはなぜですか?
うちはサラリーマンがいない家系なんです。母方の祖父は売薬業で祖母は商店を、両親は料理店を経営しています。父方の祖父は上市町の山あいにある種地区で鮮魚店を営んでいました。種では魚を売るだけではなく結婚式の料理細工を作り、歌まで歌っていたそうです。そういう環境で育ったからか、普通にどこかへ勤めるよりも自分で商売をしたいと子どもの頃から思っていました。上市町で起業するのは、始めるだけなら難しくないと思います。どこを借りるのも安く済み、若い人を応援してくれる空気もあるのでスタートしやすいと思います。だけど、どう発展させていくか、継続していくかは都会で勝負するよりも大変かもしれません。僕の場合は初めは漠然とものづくりをしていましたが、東京から戻ってからは上市だからこそできることをやりたいという意識が強くなりました。大変だけど、とてもやりがいはありますよ。

辛い生活の中で学んだビジネス

――東京に行かれた経緯を教えてください。
学生の頃から東京に出てみたいという気持ちはあったものの、タイミングを逃していました。でも28歳の時、バイヤー向けの展示会で出会いがあり、東京へ出てきてやらないかと誘われたんです。チャンスと思い、そのタイミングで入籍し、拠点を東京に移しました。東京では、いろいろありました。住んでいた街も雰囲気があって好きでしたし今となれば学びになったと思えることもありましたが、当時の自分にとってはほとんどが精神的に辛い時間でした。それまでの自分をまるっきり変えなければいられない状況といいますか、まあ、辛いこともたくさんありましたが、未熟な自分のための修行のつもりで半年間働き、富山に戻ってきました。
――東京へ行って得たものは何ですか?
自分よりもずっと規模の大きなビジネスをやっている人の、商売のやり方や考え方を見聞きできたことですかね。お客さんが満足できるものを提供するのはもちろん、作る側、売る側など関わる人みんなにメリットがある企画が大切だということ、売りとなる要素が最低3つは無いといけないなというように物事を立体的に考える大切さを学びました。短い期間でしたが、今となっては自分を否定する日々も人生に必要な時間だったのかなと思います。

価値観をプラスにひっくり返す

――辛い経験から前向きに学ばれているのが素晴らしいですね。
そうしないと生きられなかったというのもあります。東京から戻ったときは完全に自分を信じられなくなっていましたが、生きる為に仕事をしていく必要がありましたし、否定していては何も作れないので、逆に自分の考えや感覚を全て肯定し、自分の中にあるものを最大限に信用してみるところから始めたんです。開き直りですね。不思議なことにそこから出会いの連鎖が起きました。元々まちづくりに関わることに興味を持っていましたが、実際に役場の方をはじめ、今のe’conte(エコンテ)、上市町雇用創造協議会、商工会青年部などの多くの出会いが生まれ、上市にこんなにたくさん面白い人がいたんだなって思いましたね。出会いの連鎖は今でも続いています。都会に行くのもいいけど、地元が楽しい場所になっていった方が面白いなと今強く思います。東京へ行く前と帰ってきた後では、同じ上市なのに全然違う町のようにさえ感じます。
――たくさんの人との出会いがあったんですね。
そういう体験や出会いから気付いたのですが、まちづくりと人との付き合いって、すごく似ていると思います。付き合う人の良いところを見つけて行けば良い人間関係ができるように、町の良いところを見つけて行けばもっと魅力的な町になっていくと思うんです。ネタ帳を作るモチベーションになったことに、上市に住んでいる友人が「上市には何もない」と言っていたのが嫌だったことがあります。それって損する考え方じゃないですか。身近に感動を見つけられた方が幸せだと思うので、その価値観をひっくり返せたらというのがありました。僕が自分を肯定することでプラスの連鎖が生まれたように、町に住む人達の価値観をいい風に変えることが出来たら町にもプラスの連鎖が生まれるんじゃないかと思ったんです。今思えばネタ帳の制作も含めて、今の仕事の中で、自分と相手と関わる人、3者に得があるようにという東京で学んだ考え方も効いているのかもしれないですね(笑)。

上市に広がる環境は特別

――上市町のいいところは?
ひとつは景色です。都会の方では景色のいいところに行かないと感動は得られませんが、上市には感動的な風景がそこら中にある。それって特別なことだと思います。特にやっぱり剱岳はかっこいいですね。小さい頃から今日まで自分の成長に従っていろんな心情や価値観の時期があったと思いますが、いつ見てもかっこいいと思える特別な存在でした。あと、田んぼが広がっている風景も好きです。この価値に気付けたのは最近ですが。こういう環境を特別なことだと意識してもらうにはどういうしつらえをすればいいかも考えて行きたいです。今ある素晴らしい環境だからこそできる楽しい時間を過ごす、そういう生き方が豊かだと思います。いろんな人の話を聴いて考え方に触れ、形にしていきたいです。
――すごく共感します…! では最後に、町に求めることを教えてください。
人が集まればビジネスの種も増えて活気づくので、僕ぐらいかその下の世代がここで商売をしたいと思えるような環境・支援策があるといいですかね。チャレンジショップなど、一歩踏み出しやすくするバックアップがあればいいですね。持っているものはみんな違うので、それを伸ばしていけるような環境で商売の勉強ができ、卒業生が家賃を安く借りて事業を始められるようなバックアップも出来る学校のようなものがあればいいと思います。
――上市町には女性に特化した起業塾はありますが、確かに男性を対象にしたものもあるといいですね。伊東さん、どうもありがとうございました!
こちらこそありがとうございました。

はたらくらすコネクション記者・古野知晴のFuruno's voice!

以前、「tef design factory(テフデザインファクトリー)」の取材をさせてもらった伊東さん。お会いするたびに何事にも動じない印象を受けるのは、辛い経験の中でも前向きに大切なことを学びとり、自分に活かしてこられたからなんですね。否定されて自信を失ったところから、自分で肯定し自分のやり方を確立されてきたなんて、尊敬します。「今ある素晴らしい環境だからこそできる楽しい時間を過ごす、そういう生き方が豊かだ」という伊東さんの考え方に、私もとても共感しました。

 

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