上市町ではたらく

かみいち町民のネタ帳を通して活性化

tef design factory(テフデザインファクトリー)

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上市まち博のポスターや「剱だけじゃない、」の観光キャッチフレーズのロゴデザイン、西中町商店街の各店舗に貼られた吹き出しの制作などを手がけ、2014年春からは「かみいち町民のネタ帳」というフリー冊子の編集も行っているデザイン会社。実家であり、日用雑貨を扱う伊東商店の一画で事業を行っている。フレッシュな感性で町にイキイキとした彩りを添える、若い会社だ。
(※インタビューは、2014年7月4日に行いました。 )

伊東将太さん(30)
代表 伊東将太さん(30)

 

「発信する」のがテーマ

革のリボン(ヘアゴム)

革のリボン(ヘアゴム)

――伊東さんの経歴を教えてもらえますか?
 県内のデザイン系専門学校の在学中、東京のデザインフェスタに行き、仙台の手作り時計と出会ったんです。ベルトが革で、一目で気に入りました。帰ってからホームページを探しても無くて、彼女(いまの奥さん)の「作らせてもらわれ」という一言がきっかけで、時計のお店にメールして作らせてもらうことになったんです。こっちが驚くほど気軽に受け入れてくれました。専門学校卒業後は、バイトなどをしながらフリーランスでホームページの制作などを行っていました。その後、インターンシップで訪れていた県内のデザイン会社の正社員になったんです。あるとき、時計屋さんがリニューアルすると聞き、再び仙台へ行くことに。そこでお店の方に再会し、なぜか「革やってみる?」と言われて作ってみたのが革製品の始まりです。無謀にも革を大量に仕入れ、最初に刻印を作ってから製作を始めました。店頭で研究もしましたよ。デザイン会社を退社し、個人での活動をスタートさせて、富山市にあるRed&Blue(レッドアンドブルー)さんやインターネット、イベント出店などで販売してきました。ホームページやチラシなどの頼まれた仕事も受けてきました。
――ホームページやチラシと革製品、どちらもデザインなんですね。
 僕は意思を持って発信していくデザイナーになっていきたいと思い、「自分の想うものを形にして発信できるかもしれない」と革を始めました。想いを形にしたり、デザインを通してメッセージを発信できるようになりたいと思い、やってきたんです。自分の中で、「発信する」というのがテーマですね。

これまでに制作したチラシ・パンフレットの一例

これまでに制作したチラシ・パンフレットの一例

――なるほど~。では、いまの会社を設立されたのはいつなんですか?
 tef design factory(テフデザインファクトリー)として活動を始めたのは2008年の1月です。
――奥さんの真由美さんとずっと一緒に?
 はい。専門学校の1つ後輩のこの方(真由美さん)と2人でやってきて、2011年に結婚しました。
――二人三脚でやってこられたんですね。では、社名の由来は?

革製品担当の真由美さん(奥さん)

革製品担当の真由美さん(奥さん)

 小学校で百人一首を習うじゃないですか、その中に「衣ほすてふ」というのがあるんですね(持統天皇の「春すぎて夏来にけらし白妙の衣ほすてふ天の香具山)」。「てふ」って古来より使われてきた日本語ですが、響きがどこか新鮮で、異国情緒すら感じてしまう不思議な言葉に思えたんです。当たり前のものでも、別の視点で見ることができればもっと世の中が楽しくなるんじゃないか、身のまわりの世界が変わるんじゃないか、こういうことを形にしていけたらと常々思っていまして、「てふ」という言葉がその指針となってくれると思い、名前に付けました。それに、「デザイン」というコトと「ファクトリー(製品)」というモノを加え、コトとモノ、両方で発信していこうという思いを込めました。デザインっていう概念はすごく広いんですが、垣根なく発信していけたら1番いいと思って。
――そうなんですか。面白いですね。

地元のネタを発信

「かみいち町民のネタ帳」で町を知ろう

「かみいち町民のネタ帳」で町を知ろう

――今年2月から、「かみいち町民のネタ帳」の編集を始められたんですよね。
 そうです。4月15日に発行しました。いままでチラシやポスターなどは作ってきましたが、企画・取材・編集までをトータルで行う冊子作りは初めての試みです。チラシだと、作った後に「面白かったね」と言われることが少ないですが、ネタ帳は反応がある。1度もお話したことのない人でも「見たよ」と言われることがあり、すごくやりがいを感じます。
――そうですよね。ネタ帳がどういうものか知らない方のために説明していただいてもいいですか?
 はい。かみいち町民のネタ帳は、上市町にゆかりのある方に町のネタを発信し、発信の手助けをするフリー冊子で、4月より隔月で全5冊発行予定です。県外の友達や親戚が遊びに来たときに町を案内できたり、職場で上市町の話題で盛り上がれたりするなど、町民の皆さんの発信の手助けをするために、町民必須のツールになって行くことを目指しています。また、ネタ帳を片手に町を巡る「ネタ帳遠足」など、誌面を越えた体験企画なども計画しています。これは、「上市町観光資源PR事業」の一環で、対外的な観光PRが目的ですが、あえて地元への発信をしています。まず上市町の方が地元の魅力に気づき、体験し、それを発信して身近な人からどんどん拡大していくようなイメージで、「町民ひとりひとりが発信源」ととらえるネタ帳のコンセプトに行きつきました。

土肥健太郎さん(30)

土肥健太郎さん(30)

――ネタ帳は上市町役場やカミールなどいろんなところに置いてありますし、町民の方へは全戸配布されているんですよね。いままでこういったものは上市町になかったですから、興味深いと思います。
 身近なものを取り上げることで上市町の価値観が良い方向に変わるきっかけになればと思います。町外・県外に向かって魅力を発信するという切り口ではなく、地元に向いた発信をすることにより、まず「上市に何か面白いところないの?」「なーん、何もないちゃ」というお決まりのやり取りを変えることが、現段階で自分ができる最も有効な観光PRだと思い、取り組んでいます。身の周りに楽しいものがたくさんあることに気付けたら、人生はもっと楽しくなるはずで、ネタ帳作り、デザインというものはそのお手伝いの1つの手法でしかないと思っています。それでもデザインの仕事のやりがいは、作って終わりではないというところ。ネタ帳を作ることもデザインですが、これを読んだ方が大岩へ行き、ネタ帳を手に持って歩く光景もデザインですし、その後、ネタ帳を手に家族との会話が生まれればそれもデザインだと思っています。
――あ、だから「ネタ帳遠足」をされているんですね。
 そうなんです。ネタ帳の中身を実際に体験してもらうため、ネタ帳発行後に行います。第1号では「大岩七不思議」を特集したので、今回はそこで紹介している場所を巡ります。
(※2014年4月26日に実施。詳細はネタ帳ブログネタ帳遠足 で紹介)
――面白そうですね。このネタ帳を制作するにあたって、スタッフに土肥さんが加わったんですよね。
 はい。中学校の同級生だった土肥くんに入社してもらいました。面白いものを面白いと思う気持ちがあって、人を楽しませたり笑わせたりできる人です。自分のいいところをもっと出していってもらえたら、自分のことも仕事のことも向上心を持って諦めずに進んでもらいたいですね。
 (土肥さん)伊東さんは、友達の中でも人とは違う角度で見られる人。違う角度からの良さを分かる人なんです。僕は以前は造園業や営業職をしていましたが、伊東さんの力になりたいと思い、入社しました。

可能性を自分で伸ばす

上市町の観光キャッチフレーズのロゴ

上市町の観光キャッチフレーズのロゴ

――お客さんに対して、心がけておられるのはどんなことですか?
伊東さん「デザインの仕事はお客さんに100求められているとしたら、最低でも110~120は返したい。想像を少しでも超えたいいものを提案したいという気持ちはありますね。」
真由美さん(奥さん)「革製品を作る上では、『もっとこうしたい』と常に上を見ています。初めてのことにも挑戦して、お客さんを喜ばせたいと思っています。お客さんと会って話すことも好きだし、商品は人と出会うきっかけにもなってくれるんです。長く使うものなので、キーホルダーの長さや糸の色の希望を細かく聞いて作ったものに対して、直接お客さんの反応が見えるとすごく嬉しい。また頑張ろうと思います。あと、夫からは『自分の可能性を自分で殺してくれるな』とはよく言われますね。」
伊東さん「自分の良いところ、自分らしさを伸ばせば他の誰も持っていない自分だけの武器にできると思っています。殺すより生かす方が余計な力がいらないはずで、自然なことだと思います。水を止めるより流す方が簡単だというのと同じです。」
――なるほど…。では、仕事で大変なのはどんなことですか?
伊東さん「革製品の生産の部分ですね。なるべく自分たちの手で作ったものを販売したいので、1つ1つ全部ハンドメイド。大量生産ができないので、その分付加価値をつけて展開していきたいです。」
真由美さん「インターネットでの販売もしていますが、お客さんの顔が見えるイベントや展示会は大事ですね。直接、感想や意見が聞けるので、貴重な機会です。」
――革製品は奥さんがメインで作られているんですか?
伊東さん「そうです。今後は、革だけでなくいろんな素材のもので商品を展開していきたいと話しています。地元にある良いものの価値を気付いてもらえるようなことも、様々な角度でアプローチしていけたらと思っています。」

成らぬは人の成さぬなりけり

伊東さんは「この言葉の後半が大事」と語る

伊東さんは「この言葉の後半が大事」と語る

――今後の展望について聞かせていただけますか?
伊東さん「今年のテーマは、『やったことのないことでも挑戦する』です。上杉謙信の子孫、上杉鷹山の言葉『為せば成る、為さねば成らぬ何事も、成らぬは人の為さぬなりけり』という言葉を筆で書きました。『いい結果が出ないのはそれだけのことをやってないから』『ただやるだけではなく、しっかり考え、やれる限りのことをやらなければならない』ということを思って行動しています。」
真由美さん「何をやりたいと思って行動に移すかということが1番大事ですね。」
伊東さん「今後、上市町の中でマッチングしてブランド化をするようなこともできたらと思っています。自分たちにできうる限りのことで、より地域を活性化していきたいと思っています。」
――今日はどうもありがとうございました。
伊東さん・土肥さん・真由美さん「こちらこそ、ありがとうございました。」


tef design factoryのみなさん

tef design factoryのみなさん

独特な感性で、上市町のことを考え、言葉にする伊東さん。とても面白い人だな~と思いました。土肥さんと真由美さんとの少人数で仕事をされていますが、だからこそみなさんとても仲が良く、仕事がスムーズに進んでいる印象を受けました。ちなみに、伊東さんは「四季料理 華生」の戸田さんの弟さん。分野は違えども、ご兄弟で創造的なお仕事をされているって素晴らしいことですね。
上市町の人達に、地元の良さを再認識してもらい、ほかの土地から来た人に町のいいところを知ってもらうためのツール・「かみいち町民のネタ帳」。ホームページにはネタ帳遠足の動画も載せられていました。第2号は6月16日に発行されました。水に関するネタで興味深かったです。これからのネタも、楽しみですね♪

●DATA●

企業名 tef design factory(テフデザインファクトリー)
住所 上市町東江上266
事務所:上市町西中町11カミール2階
電話番号 076-482-6944
FAX番号 076-482-6944
E-mail info@tefdesignfactory.com
設立年月日 2009年10月
代表 伊東将太
事業内容

・グラフィックデザイン全般(ロゴデザイン、広告等DTP関連、看板、ショップツール等のトータル提案)
・革製品の企画制作

主な実績 ・上市まち博 ポスター、リーフレットのデザイン
・上市町雇用創造協議会 各種セミナーのチラシデザイン
・革製品は、Red and Blue(富山市)、中川政七商店をはじめ
国内約30店舗で販売
勤務時間 9:00~18:00
休日 日曜・祝日、隔週土曜、年間105日
ホームページ http://tefdesignfactory.com/
Facebookページ なし
過去3年間の売上高 右肩上がり
過去3年間の採用実績 2011年0人/2012年0人/2013年1人
福利厚生 / 従業員特典 保険(雇用、労災)、交通費支給

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