上市町ではたらく

大岩の独特な景観を守り発展させる

大岩観光開発

大岩山日石寺と大岩の各旅館(だんごや、大岩館、大岩荘)とドライブイン(金龍、瀧路)、上市交通、旭タクシー、湯神子温泉で組織する任意団体。大岩を発展させるために、それぞれが一丸となってイベントの開催や出店、新商品の開発などを行っている。会長は日石寺の中田真法(なかたしんぽう)さん。

会長 中田真法さん

会長 中田真法さん      

 

大岩のおもてなし

映画の舞台にもなった風景

映画の舞台にもなった風景

――どんな事業をされているんですか?
 毎年7月1日の大岩の滝開きや、その前後(平成26年は6月28日~7月2日)に開催する「そうめん山菜祭り」の企画から料理の販売などを行っています。また、大晦日の夜からお正月三が日には無料でうどんの振る舞いもやっています(数がなくなれば終了)。あと、毎年2月の「剱岳雪のフェスティバル」など町や県のイベントにもブース出店していますし、映画「剱岳点の記」の撮影が大岩で行われたときには撮影隊に弁当を作りました。

滝修行で有名な日石寺の六本滝

滝修行で有名な日石寺の六本滝

――大岩を中心に様々な活動をされているんですね。いつから活動を始められたんですか?
 設立は平成14年です。それまでは「協同組合 大岩観光開発」というものがあって、現在所属している9つのお店や会社のほかに旅館「いとや」さん、「門前館」さん、あと私個人と、計12が所属していたんですが、共同の駐車場が完成したことから、一旦解散したんです。今は賛助会員として、年会費2万円(イベント時別途必要)で誰でも入れる形にしました。

大岩山日石寺の境内

大岩山日石寺の境内

――それでタクシー会社や湯神子温泉も会員に入っているということですね。
 そうです。目的としては、大岩を発展させること。そのために、旅館やドライブイン、日石寺が一丸となって味やサービス、価格、品質、おもてなしなどの足並みを揃え、安定させるように、春に会合を開いて決めています。一店一店が大岩の顔として営業できるよう考えています。

重要文化財から隠れた名所まで

干支にちなんだ十二支滝

干支にちなんだ十二支滝

――大岩の魅力について教えてもらえますか。
 大岩は、独特な景観が魅力で、訪れる人によってさまざまな楽しみ方ができます。日石寺には国指定史跡大岩日石寺石仏、重要文化財大岩日石寺磨崖仏(不動明王像)をはじめ、三重の塔、山門、六本滝、十二支滝など寺院や名所があります。例えば十二支滝は干支にちなんで作られているので、お子さん連れが「あなたはねずみ年だからここね」と楽しんだり、マイナスイオンを浴びて休憩したりしてほしいです。また、上の方には神が宿る場所として祭られている夫婦岩(めおといわ)があり、夫婦

重要文化財の磨崖仏(不動明王像)

重要文化財の磨崖仏(不動明王像)

円満、家内安全、縁結びに訪れる人も多いです。渓谷が美しい千巌渓(せんがんきょう)など、隠れた名所もありますよ。門前街にはかつて宿坊だった旅館、それにドライブインがあり、それぞれの店が大岩に合った風情を出そうと頑張ってくれています。新しいメニューに挑戦されるのもいいことですね。
――なるほど。一口に大岩と言っても、いろいろなスポットがあり、それぞれが大岩の風情を作り上げているんですね。
 そうですね。訪れるたびに、また違った魅力が発見できると思います。

メグスリノキのアイスを開発

メグスリノキアイス(各250円)

メグスリノキアイス(各250円)

――2014年に、新商品を開発されたそうですね。
 はい。実は富山県の「歴史と文化の薫るまちづくり事業」の助成を受けていて、2014年が集大成の年なんです。そのソフト面の事業として「メグスリノキアイス(カップ・モナカ各250円)」を作りました。これは目と肝臓に良いとされる「メグスリノキ」の茎と葉、枝、皮を煮詰めてそこから抽出したエキスが入っています。
――日石寺では「メグスリノキのお茶」を飲むことができますよね。そのアイスなんですか?

メグスリノキのお茶(無料)

メグスリノキのお茶(無料)

 30年前から、お寺の祈祷日(1日、27日、毎週日曜)にはメグスリノキのお茶を沸かしているんです。メグスリノキは日石寺境内の山畑に植えていて、無農薬で育てています。毎年葉を取って乾燥させ、お茶にしています。
――それは手間がかかりそうですね。
 そうですね。だから大量生産はできなくて…。アイス用は濃く煮詰めてるから、エキスがたっぷり入っています。
――メグスリノキのお茶が美味しいですから、アイスも美味しそうですね。

大岩名物「ささまきだんご(500円)」

大岩名物「ささまきだんご(500円)」

 はい。お茶よりも濃い味で、大人向けでさっぱりしてて美味しいですよ。大岩の各旅館とドライブイン、ファミリーマート女川店、大岩不動の湯で販売しています。あと、昔あった大岩名物の「ささまきだんご(500円)」と「ささあんころ(500円)」を、7月から9月3日までの夏季限定で販売しています。これは10年間ほど途絶えていたんですが、再発売に到らせたんです。笹屋来(ささやき)という会社を作ったので、来年からは事業を受け継いでやっていきます。

景観の保全と整備

美しく補修された百段坂

美しく補修された百段坂

――先ほど「ソフト面の事業」と言われましたが…。
 はい。ソフト面がアイスで、ハード面としては、上の駐車場から境内に向かう道に、玉垣と石畳を整備することを進めています。大岩は過疎化が進んでいるのですが、この素晴らしい景観を守り、維持していくのが大切です。だから私たちは、傷んでいく道路や階段、参道などを補修し、来られた方に喜んでもらえるように頑張っているんです。上市町も、下に駐車場を兼ねた親水公園を整備されるなど一生懸命協力してくださっています。親水公園には桜並木が植えられ、大岩地域として一体化して発展することを望んでいます。
――わかりました。中田さん、今日はどうもありがとうございました。
 こちらこそ、ありがとうございました。


夫婦岩

夫婦岩

町指定文化財の山門

町指定文化財の山門

百段坂を上ると旅館が見えてくる

百段坂を上ると旅館が見えてくる

大岩と言えば、そうめんや滝が夏の風物詩。私も子どものころから、夏になれば必ず大岩へ行っていたので、大好きな場所です。大岩の入口にある「百段坂」は昔はもっと一段一段が高かったようですが、上りやすいようなだらかに作り直され、数えてみると今は無き「門前館」までで137段でした。
大岩では、たくさんの観光イベントや観光ツアーが行われていますが、その陰には大岩観光開発に所属する方々の努力があったんですね。大岩を訪れた人により楽しんでもらいたい、という思いで、それぞれ独自の様々なおもてなしを考えておられ、リピーターが多いのもうなずける心配りです。先祖代々、受け継いできたものを守るのはもちろん、その上で時代に合わせてイベントを催したり新しいメニューを考えたりして、切磋琢磨されているのが伝わってきました。
取材を通して、1人1人のできることは限られていても、大勢が知恵を出し合い、力を合わせれば大きなことができるんだということを教わりました。
イベントなどのソフト面で集客と中身の充実を図ることも大切ですし、各旅館や店舗の補修といったハード面も、大岩が観光地として保全されていくには大切だと思います。大岩全体で、八尾町や長野県の小布施町みたいに街並み保全されると素敵ですね。せっかくのこの素晴らしい雰囲気を、これからもぜひ守っていってもらいたいです。

●DATA●

団体名 大岩観光開発
住所 上市町大岩163
電話番号 076-472-2301、076-472-4950(事務所)
FAX番号 076-473-2221
設立年月日 平成14年8月
会長 中田真法
事業内容 日石寺を中心とした大岩の各旅館とドライブインの発展、おもてなしの強化
主な実績 メグスリノキアイスの開発、駐車場の整備
問い合わせ時間 9:00~16:00
休日 なし
駐車場 50台(日石寺駐車場)
ホームページ http://ooiwasan.com(日石寺)
Facebookページ なし

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