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山菜は文化だ
人間が山菜を食べるようになったのはいつからなんだろう。あんなに手間のかかる食べ物!
採る時期も食べ方も、ほんとによく見つけたな!!と思うのです。
まず、時期。時期を逃すと食べられない!
ワラビやゼンマイなんて、放っとくとシダの葉っぱになっちゃって、きっと固くて食えない!
タケノコなんて、典型ですよね! 食べ物じゃなくなる。
あと、タラノメとか、コシアブラなんかは木になってたり、
根っこを食べるものがあったり、普通の草みたいにしか見えないものや、
猛毒のものもあったり、
現在のように食べられるものや食べ方などが確立されるまでには膨大な時間と、時には命の犠牲も払ったんだろうなと察します。
そして処理の仕方!
これもほんとにいろいろ試されて見つけ出されたんでしょうね。
昔は読んで字のごとく灰を振りかけて熱湯に浸し文字通り灰汁抜きをしたのかなと推測しますが、よくゼロから見つけ出したものです。もうわかんねーから灰でもぶっかけとけ! エイヤー! ・・・あっ! アク抜けとる!!
みたいな感じだったんですかね。
しかし、山菜は処理のタイミングも大切。新鮮なうちに的確な処理をしないと、まともに食えたもんじゃないという、いやはや山菜とは恐ろしく神経質な食材!!
この先人たちの膨大なトライアンドエラー・努力の積み重ねの上に今日の当たり前があり、
私たちはこの里山の幸を「幸」として味わうことができるのです!
そして春先に採集したものを、年間を通した食料にするための保存の知恵も素晴らしい。
まあ、それだけ食材と食法の開拓をしなければ山の中では生き残っていけなかったのかもしれません。
ところで、
なぜこんな季節に、時期でもない山菜の話をするのか。
先日、私の事務所があるカミールの1階の元気市場つるぎさんで山菜盛り合わせオードブルの貼り紙を見かけまして、
この時期に山菜のオードブルが食べられるなんて、実は超贅沢なんじゃないかとあらためて思ったのと、この加工場を訪れた時のことを思い出したからです。
この山菜オードブルを作っている「剱いおりの郷」さんというのは、
剱岳に最も近い集落・伊折地内に加工所を持ち伊折地区周辺で収穫された山菜をふんだんに使ったオードブルや真空パック商品を製造販売している加工所です。
以前山菜料理の真空パックの製作で関わらせていただいたのですが、
この時の経験から
山菜は食材であると同時に伝承された文化である
という意識に変わったのです。
今から4年ほど前でしょうか、打ち合わせで伊折を訪ねた時、
出身者である代表の酒井さんの先導で少しだけ集落内を歩いたのですが、4月に入るか入らないかという頃にも関わらず場所によっては1メートル近く雪が積もっていて、
その年それほど雪の多い年でなかったことや、近年雪の量が減っていることなどを考えると、
この集落に人が多く住んでいた頃、冬は雪で完全に埋まっていたであろうことが容易に想像できました。
そしてここにくるまで市街地から車で40分近くかかったことなどを踏まえると、雪に埋まった期間、買い物にも行けないであろうこともイメージできました。
今でこそ日本全国海の町も山の町も島の町も、限りなく均一に暮らしのレベルと文化のレベルが保たれていますが、この集落に人が沢山いた頃は、絶対違う!
と直感しました。
ここだけに育まれる文化やここにしかないルールもあったはず。
雪が降れば別の国。
そんなイメージでしょうか。
実際お話を伺うと、確かに冬は雪に埋まり、
2階の窓からの出入りをし、家々を行き交う雪の大谷のような道ができ、長い冬の間の娯楽として村での演劇会が開かれることもあったそうです。
その間の食料は何と言っても、春先に採って塩漬けにして蓄えてある山菜だったというわけです。
長い長い冬が終わると村の多くの男たちは林業の出稼ぎに行ったそうで、雪が溶け出稼ぎに行く頃に春祭りが行われ、獅子舞が家々を舞い、お祭り料理が振る舞われます。
当時山では常備食としてイヤと言うほど食べられた山菜ですが、現代ではかなりの人気食材。
上市でも大岩地区をはじめとするいくつかの料理店や加工所でも通年提供されています。
そのうちのひとつがカミールで貼り紙を見かけた「剱いおりの郷」さんの山菜オードブル。
3,500円の大きいセットもあるのですが、今回1,500円のオードブルを注文してみました。
カミールの元気市場つるぎさんで注文することができます。
山菜は尊くて美味い!
このクオリティの山菜料理を春じゃなくても食べられると言うのは、贅沢!上市町民!