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多品種・小ロット・短納期が得意な熱い会社
株式会社 内山精工
幅広い機械製品で利用される軸受(じくうけ、ベアリング)のレース(回転するエレメントが接触する輪)の加工や自動車部品・油圧機器部品などの旋削(せんさく)加工を行う会社。多品種・小ロット・短納期という、手間のかかる加工を得意とし、他社では難しい作業でも進んで受注してきたことから、取引先からの信頼が厚い。品質、生産性向上を常に考え、継続的な改善活動の中から考案された自社製品も多く、仕事を通して働く社員の幸せづくりを目指している。松井エネルギーモータース株式会社の松井さんからの紹介。
農機具修理から84年の歴史
――会社の歩みを教えてもらえますか?
昭和6年に、祖父の精一が25歳で創業しました。元々は新町にあり、農機具の修理から始まった「有限会社 内山鉄工所」という小さな工場だったんです。最初は近所の農家さんから農機具修理の依頼を受けていたのが、次第に農機具の修理や製作に加えて、もちつき機や冷凍機などの設計開発も手がけるようになり、昭和26年からは不二越の協力工場として軸受用レースの旋削を始めました。計3回の移転を経て、機械部品加工会社に成長してきたんです。
――歴史がありますね。今年で何年目ですか?
84年目ですね。100年企業を目指して…あと17年ですね。
――84年目! 内山さんで3代目なんですね。「内山精工」さんの「精」は初代・精一さんの名前からですか?
いえ、多分違います(笑)。精密加工の「精」だと思います。
――そうなんですか(苦笑)。内山さんが入社されたのはいつですか?
平成14年、29歳のときです。金沢工業大学を出て、アピアスポーツクラブのインストラクターを経て入社しました。
――スポーツクラブのインストラクターをされてたんですか? 異色の経歴ですね。そこから会社に入られたということですね。
そうなんです。僕は次男なので会社に入る気は無かったんですが、兄は東京で起業し、母から「最近、お父さんの背中が丸くなってきて…」という言葉を聞いて。プレッシャーもあったけど、「弱い親父を見たくない。親父の力になりたい」と思って入社を決意しました。そこで一般社員として会社の仕組みなどをいろいろ勉強させてもらって、課長補佐、専務を経て、2年前の6月に社長になったんです。
――やっぱり、大変なこととかありましたか?
ありますよ、そりゃあもう(笑)。勝手にプレッシャー感じると言うか、専務と社長じゃ全然違いますよね。専務のときは、何かあれば社長の判断を仰げる状態でしたが、今はもう自分で判断しなければならないですから、本当にこれでいいのか…迷っちゃダメなんですけどね。社長になる少し前に、リーマンショックがあったんです。それまでは右肩上がりで来てたんですが、リーマンショックで不況になり、生産調整で社員に週に3~4日休みをとってもらうような状況になったんです。その時は世の中みんな不況だから仕方がないと思ってたけど、1回持ち直して、またすぐ不況で同じような状況になって、こりゃエライことになったなと思いました。世の中のせいにするわけにもいかんし、何とかせんなあかんなとすっげー思いましたね。
――それはどうやって乗り切られたんですか?
とにかく、目の前のことを一生懸命やる! 現場のみんなの頑張りが僕の励みになりました。社員が頑張ってるからなんとかせんなあかんと、何度も思いましたね。会社の売り上げって、現場の人たちが作ってるわけじゃないですか。僕は注文を取ったりしてますが、現場のみんなが一生懸命制作を頑張ってくれているからこそ今があるんです。だから現場のみんなが働きやすい環境を作ることを常に考えてます。
会社の内は宝の山
――働きやすい環境というのは、具体的にはどのような?
うちの会社の理念に、「会社は仕事を通し、みんなが幸せになるため努力する場所である」というのがあるんです。うちの幸せの定義は、会社のユニフォームに刺繍している四つ葉のマークに表しています。「健全な心身、豊かな物資、家庭円満、働きがいのある職場」、この4つが合わさって、社員全員が幸せになってほしいとの願いを込めています。心も体も健康であること、働いた対価としてお給料をもらって自分の好きなものを買ったり、自分なりに豊かに暮らせること、家庭が円満であること、あとは働き甲斐のある職場につけるということ。人生の大半は仕事に時間を費やすので、そこに働き甲斐がないと人生が楽しくないじゃないですか。ものづくりって「より良いモノを より安く より早く作る」ってよく言うんですけど、うちはその上に「より楽に」を付けています。どんなに良いものを早く作っても、僕らがしんどかったらイヤじゃないですか。それをいかに楽に作るか、楽にいいモノが作れれば、絶対安くできるし、早くできる。それをみんなで考えて、改善していこうと言っています。
――なるほど~。
あと、会社のスローガンで「会社の内は宝の山だ」っていうのがあるんです。宝の山とは、ひとりひとりの成長と無駄を無くすことです。こういうことを目的に努力することが宝になり、みんなで宝を掘り起こそうと、それが働き甲斐に繋がるだろうと思ってやってます。先々代から言われてきたことを、先代の現会長が2000年を迎えるにあたって、「こうありたい」と言葉としてまとめました。よく「あるべき姿」ってあるじゃないですか。誰かが決めたような「こうあればいい」っていう型にはまるんじゃなくて、自分たちがどうしたいかが大切。だから、「あるべき姿」じゃなくて「ありたい姿」をイメージし、それを実現する為にみんなで考え、みんなでやる、そしてそれを楽しむ。
――「ありたい姿」、いいですね。
問題点を見つけたらみんなで対策を考えて、すぐ行動しよう、うまくいったらみんなで喜び合おうと。すべてこれは能動的なんです。受け身じゃなくて、自ら考える、そういう集団になろうと。僕は会長が言ってきたこの言葉を何回も聞いて、行動しながら少しずつ腹に落ちてきました。
――では、内山さんとしてはどんな会社にしたかったんですか?
基本的にはこの流れの中で、会社の中も周りの地域も社会も、みんな笑顔があふれるようにしたいですね。会社の中も働きやすく改善して、いいものを作ってお客さんに笑顔をもらって、それが世の中で使われて、使う人も笑顔になってくれれば…いいなぁ。とにかくみんなが明るく楽しく前向きに取り組める、活気ある職場になったらいいなぁと思いますね。うちの会社の前庭に、おじいちゃんが残した「感謝 心 人の和」という石碑があるんですけど、これがないと自分の幸せも社員の幸せもないぞというおじいちゃんの教えなんです。人の和っていうものをすごく大事にしてるんですが、自分ひとりじゃ何もできないじゃないですか。みんなの力を合わることで大きな力を生み出すことが出来ると思うんですね。会社のマークは、内山の内と山が入ってるんですが、人が支え合うように大の字になって手をとりあって輪(和)になるという意味が込められています。
辛いことに向かってこそ成長する
――お客様に対して大切にされているサービス方針は?
お客さんの信頼を裏切らないこと。1つは品質ですよね。いいものを作り、納期を必ず守る。
――結構無理なことを言われたとしても…?
そうですね。よくありますよ(笑)。でも、それに応えることでうちらも力がつくし、お客さんにも喜んでもらえるし、喜んでもらえたらまた次に注文も来るし…。スポーツと重なるんですけど、辛いことに向かってかないと成長しないじゃないですか。そこから逃げとってもダメなんです。無理なことは無理って言うけど、「明日までくれ」って言われてどうしても無理だったら、「明日には無理だけど明後日までならできます」と答えて、完全に否定はしないように心がけています。どうやったらできるか考える方が楽しいと思うんです。
――なるほど~。かっこいいですね。
先々代が、「簡単な注文はうちに持ってくるな。ほかでできん難しいもんをうちに持ってこい」と言ったのがルーツで、うちが受けているのは数が少ないもの、複雑なものが結構多いんです。基本的には数が多い方が、機械の設定も変えずに同じものをずっと作ってればいいから楽なんですけど、単価が安い。そうじゃなくて、複雑なものや数が少なくて設定替えで人手がかかることを、うちはやってますね。今となっては「空洞化、空洞化」と言われる中で、そういう特殊なものはなかなか海外でやりたがらないと思うんですよ。だからこそ、「うちが国内でやるぞ!」という感じです。そういう意味で、団結力をどんどん伸ばしたいですね。
――すごく前向きな言葉がストレートに伝わってきますね。
(笑)。
スイッチはいつ入るかわからない
――内山さんは、会社の理念にある「健全な精神」を実践されていて、子どもの頃からずっと空手を続けていらっしゃるんですよね。
そうなんです。小学校に入る前から始めて、現在5段です。でも、小さい頃は空手に行くのが嫌で、道着を隠したりしたこともありました(笑)。中学・高校の時は野球部に入っていて、部活が終わってから空手に行くという二刀流でした。
――え~!
嫌々空手をやっていた時期もありましたが、31歳で全国優勝を経験しました。僕は多分、スイッチ入るのが遅い方なんです。社会人になって3年ぐらいは空手が出来ず、25、26歳のときからまた始めて、37歳のときに日本代表候補になり、結局代表からは落ちましたが、途中からまた空手に力が入りだしたんです。自分のそういう経験があるから、どこでスイッチが入るかわからないと思うんですよ。
――仕事もですよね。社員の方のスイッチを入れてらっしゃるんですか、常に。
常に考えているわけではないけど、2交替なので朝と夕方に必ず、全員の顔を見て声をかけて、「あれ? 今日なんかおかしいな」と思ったら話を聴くようにしています。みんなが頑張ってくれているおかげなので、声掛けないとね。現場を回ってみんなの顔見て、みんなが笑顔でいると安心するんですよ。なんか変な顔してる人がいたら、気になるんですよ。「どうしたんだろう」って。
――「人」がお好きなんですね。
そうかもしれないです。スポーツクラブのときとか、いろんな人に会えて楽しかったですね(笑)。お客さんはそれぞれいろんな目的を持って来ているので、インストラクターは話を聴いて、目的を達成するためにどうしたらいいかを考えてプログラムを組んでいくんですね。ほかの人が行きたがらない強面の人が心を開いてくれたら、「よしっ」と思うんですよ。だから人が好きっていうのはそうかもしれないですね。でも、内山精工に入ったときはギャップがすごかったです。
――ギャップ?
スポーツクラブは社員やお客さんが体育会系の人が多くて、挨拶とかしっかりしてるんですよ。でも内山精工に来ると職人さんが多くて、挨拶しても「おう」とか顔も上げてくれないとか…。それでもくじけずに、顔を見て明るく「おはようございます!」と何回も言っていくと、段々顔が上がってくるとかね。ただそれを強要しちゃだめなので、「今日も元気な挨拶しましょうね~」と全体に対して言い、自分が率先してやっていく。まぁ、その方が気持ちいいですからね。好きでやってるところもあります。
――すごいですね。「姿を見て自然に学んでもらえるよう」に。
うーん。そうなってくれればベストだし、多分自分がそうやって育ってきてるし、そういうのが好きなので。返してくれれば嬉しいという感じです。求めちゃうとストレスになるので、あんまり…。
――仕事が楽しく感じられるときはどんなときですか?
社員が元気にイキイキと仕事をしている姿を見ると、「ああ、良かった」と思いますね。
――いま社員の方は何人いらっしゃるんですか?
社員が45名、パートが3名、派遣が4名です(2014年4月)。
――ホームページによると求人をされているということですが、どんな人を求めていらっしゃいますか?
ものづくりが好きな人で、前向きな人、元気な人。資格とかは特にいらないです。
今後の展望
――最後に、これからチャレンジしたいことを教えてもらえますか?
今やっていること以外のことをしたいですね。軸受にこだわらずに、うちの技術を活かせることに挑戦したい。何か世の中のためになる、自社製品を作りたいですね。現在、現場の改善提案の中で1コ特許出願しているものがあるんです。製品から出た鉄の屑をエアーで飛ばす「エアーブローステーション」というものなんですが、特許出願したという実績があると励みになりますからね。
――わかりました。内山さん、今日はどうもありがとうございました!
こちらこそ、ありがとうございました!
若手社員からの声
内山さんに、頑張っている若手社員を紹介してもらいました。
今年4月に入社し、やる気あふれる江下徹さん(22)は、「仕事を覚えることと、製品の入れ替え作業をもっと早くできるよう、頑張りたい」と話してくれました。新入社員らしくイキイキ頑張っているそうです。
7年目で、中堅社員としてラインを引っ張ろうと励む小川翔平さん(29)は、責任感の強い頼りがいのある人。「ベテランの人たちしかできないことがあるので、それを学んでいきたい」と話します。
2年目の泊映助(とまり あきひろ)さん(26)は、「今年5S推進委員会のリーダーになったので、係長とか周りの方に助けてもらいながら、俺だからできることを探していきたい」と意欲を語ってくれた、すごく真面目で素直な人。新しくリーダーを任せたので、内山さんは今から期待しているそうです。
「敢えて辛い・難しいことに挑戦し、乗り越えることで成長する」という言葉に、とても共感しました。ほかでは嫌がられるような難しい注文を喜んで引き受けてきたからこそ、技術を高め、会社として大きく発展してこられたんですね。みんなで改善し、社員が働きやすい環境を一緒に作っていかれるのもいいですね。
日本空手協会 上市支部の支部長でもある内山さん。社長でありながら、週に3回子どもたちへの空手指導をされていて多忙な身です。それにも関わらず、スポーツマンらしく活気に満ち溢れた方で、元気なパワーが伝わってきました。内山さんは松井エネルギーモータース株式会社の松井社長や株式会社コージンの小柴社長と仲が良いそうで、みなさん熱い方ばかり。取材を通して、上市町に隠されたパワーを感じることができて嬉しくなります。ちなみに、会長である父・内山康弘さんは、上市町では知らない人がいないくらい有名な写真家で、お兄さんの内山幸樹さんは株式会社ホットリンクの社長。2019年に息子さんも甲子園で有名になるなど、すごい一家です…!
●DATA●
企業名 | 株式会社 内山精工 |
住所 | 上市町広野3132 |
電話番号 | 076-472-0192 |
FAX番号 | 076-472-0164 |
ホームページ | http://www.uchis.co.jp |
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https://twitter.com/SeikouUchiyama |
Facebookページ |
https://www.facebook.com/uchiyama.seiko.1931/ |
info@uchis.co.jp | |
創業 | 1931年(昭和6年)4月 設立 1980年(昭和55年)4月 |
代表取締役社長 | 内山 彰博 |
主力製品・商品 | 軸受部品、自動車部品、機械要素部品の機械加工 |
主な実績 | 自動車、新幹線や人工衛星に使われるベアリングの部品 |
会社・製品の強み | 他社が嫌がる仕事を積極的に取り組むことで技術力を高めてきました。それに伴う改善力も強みの一つ! |
上市町との関わり・創業の決め手 | 農機具の修理・製作から始まった鉄工所が原点。次第に機械部品の加工を手掛ける会社に成長してきました。 |
学生へのメッセージ・アピール | ①人を大切にする経営 ②仕事を通して人間性も育成 ③創業92年の歴史はお客様や地域からの信頼も厚い |
資本金 | 1,000万円 |
勤務時間 | 8:00~17:00、夜勤17:00~26:00 |
休日 | 週休二日制(土・日曜)、年間114日、その他有給休暇など |
従業員数 | 64人 |
過去3年間の売上高 | 2022年度:7億3千万円/2021年度:7億5千万円/2020 |
過去3年間の採用実績 |
2022年新卒2名、中途5名 2021年新卒1名、中途2名 2020年度0名 |
福利厚生 / 従業員特典 | 保険(健康、雇用、労災、団体)、厚生年金、資格支援、 子育て支援(育児介護休業規定あり)、退職金、 社員旅行(毎年、10年に1度海外へ)、クラブ活動(フォトクラブ) |
●求人情報●
職種 | 生産技術・製造 |
仕事の内容 |
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就業時間 | 8:00~17:00、入社3ヶ月以降をめどに交替勤務あり(17:00~26:00) |
休日 | 完全週休2日制、年末年始、お盆、GW |
賃金(月給) |
【交替勤務あり】 ※交替勤務開始は9月〜 【交替勤務前】 【諸手当】通勤・住宅補助・家族・役職・能力・交替・深夜 |
特記事項 | 【会社説明会の日程】随時行っておりますのでお気軽にご相談下さい。 【参加申し込み】採用担当の内山まで電話かメールでご連絡下さい。 【採用選考会】未定。 【選考内容】1次面接、適性検査、2次面接 【採用選考会応募方法】履歴書、卒業見込み証明書、成績証明書を送付下さい。 【送り先】〒930-0412 富山県中新川郡上市町広野3132 株式会社内山精工 【参加申し込み・お問い合わせ先】 担当:内山彰博 mail:smg@uchis.co.jp tel:076-472-0192 fax:076-472-0164 |
●インターンシップ情報●
概要 |
内山精工でものづくりの楽しさを体験してみませんか。「こんな所でこんなモノづくりをしていたのか!」などなどビックリドッキリ色んな体験をしてみましょう。「働くとは」「何のために」「人との関わり」などを感じられます。気軽にお問い合わせ下さい。 |
対象 | 高校生・大学生(学年問わず) |
時期 | 都度相談 |
日数 | 1~5日間(要相談) |
実習内容 | CNC旋盤の操作、生産ラインの補助作業、CAD図作成など |
実習場所 | 上市町広野3132 |
同時受入人数 | 2名 |
情報・申し込み方法 | 富山県インターンシップ推進センターのHPで募集しています。Webで登録の上、エントリーできます。 |
明るく・楽しく・元気良くをモットーにみんなで働きやすい職場作りに励んでいます。そんな雰囲気も感じてもらえたらと思っています。