上市町ではたらく

看板から舞台セットまで多彩に制作

クロダアート

屋外・屋内看板を中心に、造形物のスチロール加工や舞台セットなど多彩な制作物を得意とする、この道46年の看板屋さん。代表の黒田義夫さんは、イラスト描きやイルミネーションの取り付けなど、アートに関することならオールマイティとも言える技術があり、あちこちから引きも切らない。町のイベントに欠かせない人で、工作教室で子どもにペーパークラフトや木工を教える一面も持つ。

代表 黒田 義夫さん(65)

代表 黒田 義夫さん(65)

 
 

自然や人のイラストが得意

クロダアートの看板

クロダアートの看板

――創業の経緯を教えてもらえますか?
元々、イラストが好きで始めた仕事なんです。上市高校時代に映画看板が描きたくてクラブ活動で漫画研究会を立ち上げ、卒業後は県の漫画研究会に所属して富山新聞で読者の投稿ページなどの内容に合わせたイラストを描いていました。その後、富山市内の大手看板屋さんに入社し、35歳の時に下請けとしてやってほしいと言われて独立しました。看板に携わって46年です。独立して初めに、コピー機とシートを切り抜くカッティングマシーンを買いました。当時は仕事が忙しく、ナショナル(現パナソニック)のお店を毎日10軒回って看板のメンテナンスをしても終わらないくらいで、県外にもメンテナンスに回る日々でした。看板以外に、富山県埋蔵文化財センターの古代のイラストも担当しましたよ。

富山県埋蔵文化財センターのイラスト

富山県埋蔵文化財センターのイラスト

――素晴らしいイラストですね!
もちろん、実物は見たことがないから資料から想像した図ですが。絵はデッサンに始まってデッサンに終わる。自然のものや人を描くのが得意です。主に手描きでやっていて、Photoshop(フォトショップ、画像加工ソフト)やIllustrator(イラストレーター、デザイン制作ソフト)のほか、看板屋の専門ソフトを使うくらいです。看板屋なのに字は書かないんです。何が役に立つか分かりませんね。

何でもできるのが強み

カミールにあるつるぎくんの看板

カミールにあるつるぎくんの看板

――黒田さんの強みは何ですか?
「何でもできる」と言えるところ。元々、看板屋は内装も全部からんでくる仕事で、クロスを貼ったりセメントや左官工事、溶接もする、言わば「よろずや」です。講習会とかも好きで、高所作業車やクレーン、足場組み、フォークリフトなど資格や免許もいっぱい取ったので、お役に立てますよ。上市町の西中町商店街やあさひの郷公園で、毎年イルミネーション事業が行われていますが、その取り付けも担当しています。
――イルミネーションまでされているんですか。本当に、何でもできるんですね。
高所作業車で取り付けるので、結局、免許を持っている人がすることになるんです。富山市のイルミネーションが始まった頃にも取り付けしていましたよ。

上市高校の看板

上市高校の看板

最近は依頼があって鏡台やパーテーションの直しをしているところで、今日は劣化した屋外看板を撤去するために土台のセメントを壊していました。都会の方で「何でも屋さん」ってあるけど、あれで起業する人は元看板屋さんのことが多いですよ。かつての上司に言われたのが、「技術は練習すればできるから、一度会ったら何か頼まれた時にできると言え」。そう言うようにしていたら、仕事の幅が広がりました。
――そう言って、できるのが黒田さんのすごいところですよね。
営業は一度もしたことがないのに、おかげさまで仕事が途切れることがなく、感謝です。

毎日が文化祭の準備のよう

教育文化会館で舞台のセットなども設営

教育文化会館で舞台のセットなども設営

――黒田さんがお客さんに対して心がけているのはどんなことですか?
たくさん買ってくれる人も少しの人もみんなお客さんだから、同じ下請け価格にして安く受けるということです。 上市町では2年前まであった看板屋さんが辞められて、うち1社になりました。最近、若い男の子から町で看板屋さんを始めると直接連絡をもらい、嬉しいなと思っていたところです。辛いとか大変だとかはほとんど思わんから、ストレスがないですよ。

上市町こどもの城での工作教室

上市町こどもの城での工作教室

今は上市町と富山市での仕事がメインですが、夜中に富山を出発して東京・お台場で仕事し、その日の夜に帰ってくることもあります。毎日文化祭の準備をしとるようで、周りからは「楽しい仕事だね」って言われます。
――特にどんなことが楽しいですか?
毎日全て楽しいです。看板というものは毎回作るものが違うので、同じものがない。飽きがこない仕事だと言えます。いろいろやっていると目が肥えてくるので、人に頼めば楽だけど自分でやった方が早い時は、

竹とんぼ

竹とんぼ

やってしまいます。子どもたちと接している時は特に楽しいですよ。「上市町こどもの城」で開かれる工作教室でペーパークラフトや木工を定期的に教えていて、毎年6月の市姫さんどでは紙とんぼの体験教室も開いているので、小学生の友達がいっぱいいるんです(笑)。趣味も多く、サイクリングやスキー、山登りにはまって剱岳に登ったこともあります。
――多趣味ですね。黒田さん、お仕事が忙しそうなのにどうやって時間を捻出されているんですか。

2010年の竹とんぼ競技大会参加者

2010年の竹とんぼ競技大会参加者

仕事を夜遅くまでやって、自分の時間を作っています。この前も、南砺市福光の小学校からの依頼で、授業参観で竹とんぼ作りを教えてきました。竹とんぼにはすごく力を入れていて、国際竹とんぼ協会の富山支部会長を20年ほど務めているんです。毎年グリーンパーク吉峰で竹とんぼ競技大会を主催しているんですが、今年も4月に開催するので、準備で大忙しです。
――今後、挑戦したいのはどんなことですか?
将来は学校の用務員のおじさんになりたいです。物の補修とかはとりあえず何でもできるので。
――看板のプロの用務員さんですね! 黒田さん、どうもありがとうございました。
こちらこそありがとうございました。

はたらくらすコネクション記者・古野知晴のFuruno's voice!
カミール2階の交流スペース看板

カミール2階の交流スペース看板

引き出しが多く、気さくでとっても楽しい黒田さんのインタビュー。目をキラキラとさせながら話される黒田さんの様子から、本当に、仕事も趣味も楽しまれているのが伝わってきました。
「毎回作るものが違うので、同じものがない。飽きがこない仕事」という黒田さんの言葉に、毎回違う分野の方の取材をしている私も大いに共感しました。
黒田さんはほかにも、射水市の海王丸パークでの手作りいかだレースにチーム「冒険王」としてタイタニックとジョーズの形のいかだを作って出場し、3回も優勝したそうです。
また、毎年お盆に上市町で行われている「ふるさと観光上市まつり」で設置される「におとんぼ(竹のやぐら)」作りの指導など、技術を活かしていろんな場面で活躍されています。
毎年4月の竹とんぼ競技大会には、全国から愛好者が集まってくるそうです。高さ50mが優勝ラインだそうですよ。我こそはという方、ぜひ富山県へ!

●DATA●

企業名 クロダアート
住所 上市町東町84
電話番号 076-472-1313
FAX番号 076-472-1313
E-mail kurogasaya@ma.net3-tv.net
創業年月日 1985(昭和60)年4月
代表 黒田義夫
事業内容 看板製作
主力製品・商品 屋外・屋内看板、造形物のスチロール加工、舞台セット、イラスト、イルミネーション
主な実績 2000年国体から上市町の看板を製作
資本金 100万円
営業時間 8:30~18:00
定休日 日曜
ホームページ なし
Facebookページ なし
従業員数 1名
過去3年間の売上高 横ばい
過去3年間の採用実績 平成25年0人/平成26年0人、平成27年0人

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