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剱岳の見えるコミュニティの場
コミュニティ&カルチャールーム クロポッケ
時間単位、テーブル単位でルームレンタルのできるカフェ。スペシャルティコーヒーや薬膳茶、予約制のランチなどが楽しめる。店主の黒田直美さんは、上市町を中心に活動する女性起業家グループ「市姫東雲会(いちひめしののめかい)」の初代代表だったため、お店には地域の人のほかに起業家仲間の女性も多く集まる。お店は立山インター近くの「クロダ電機」の一画にある。
「女性のためのプチ起業塾」をきっかけに創業
――創業の経緯を教えてもらえますか?
私の父が昭和32年(1957年)に電機店「クロダ電機」を創業し、最盛期には上市町と立山町に計3店舗ありました。現在のこの店舗(クロダ電機)は平成7年(1995年)にオープンしましたが、時代とともに様変わりしていくのを感じながら、次第に「先祖から受け継いだこのスペースをもっと有効活用したい」と思うようになりました。
――上市町で開催された「女性のためのプチ起業塾」がきっかけだったんですよね。
はい、2012年に父が亡くなり、夫が跡を継いでくれました。量販店の進出、ネット販売の急速な進展などで、何とか人の流れを少しでもあるようにしたいと思っていたところ、2013年にチラシで上市町雇用創造協議会主催の「女性のためのプチ起業塾」が初めて開催されることを知りました。早速申し込み、1期生となったのは55歳の時です。
そこで年齢の異なる友人が増えていき、「こんな若い人たちと一緒に勉強しているなんて夢みたいだ」と思いました。本当に勉強になり、自分が変わるきっかけにもなりました。あれがなかったら今はないので、伊東前町長をはじめとする町の方々や上市町雇用創造協議会、塾のコーディネーターを務められていた株式会社ジーアンドエスの萩原扶未子先生、そこで出会った仲間達にとても感謝しています。それをきっかけに、起業塾だけでなく、薬膳・アロマなどいろんな講座に参加して勉強しました。
――起業塾に参加された時、既に構想があったんですか?
いえ、その時はまだ何をしようか悩んでいました。それから毎年開催される起業塾に参加し、2年後の2015年にクロポッケをオープンしたんです。その間、金沢市の萩原扶未子先生のところへ2カ月に1回くらいのペースで相談に通い、構想が徐々に固まっていきました。「地元の人に喜んでもらえるよう、レンタルスペースとカフェを作ろう。人が行き交う場にしよう」と思ったんです。
仲間のコーチングセッションを受けたのもきっかけの1つでした。口に出したら「やれる、やらんなん」と思いました。2015年12月に行ったクロポッケのオープニングセレモニーには、上市町の方々をはじめ、扶未子先生や支援機関の方々にご出席いただき、市姫東雲会の仲間が集まってセレモニーを手伝ってくれました。
――市姫東雲会は、初年度の塾が終わった後に立ち上げられ、黒田さんは初代代表になられましたよね。
はい。塾を卒業した後も交流し切磋琢磨していこうと、1期生の有志で起業を目指す会を作りました。伊東前町長が、上市町の商売の神様「市姫」と、夜明けを意味する「東雲」から「市姫東雲会」と命名してくださったんです。市姫東雲会は、地元のみなさんに応援してもらって始められたこと。県内各地から起業したいという気持ちの女性が集まっているので、塾が終わった後もここを事務局として集まる場にしてもらっています。会の代表は現在3代目に代替わりしましたが、これからも会を継続して活動・運営していってもらえるようにしたいです。
――現在も、地元の方はもちろん、ここに来れば必ず誰かに会えるくらい、女性起業家仲間が集まって来ますよね。
ありがたいことに、そういった仲間が、オープン時から毎月3つくらいの講座を開催してくれています。ほかに町のイベントにも協賛していて、「フォトロゲイニング」のチェックポイントに利用してもらったり移住者と地元の方が集まる「上市町暮らし」が開催されたりと、交流の場にもなっています。お得意さんや近所の人、仲良しの人が来てくれることが多いです。貸し切りのこともあるので来にくい人がいることは申し訳ないと思っていますが、いろんなイベントなどで初めて来てくれる人もいるのはありがたいです。
――どんなイベントが開催されていますか?
定期的に開催されているものでは、ウクレレ教室や大人の英語教室、ガーデニング教室など。その他に、単発の様々な講座を開催しています。
新感覚のメニュー・フィンガーフード
――起業するにあたって、なぜ「カフェ」を選ばれたのですか?
父も私も元々コーヒーが好きだったからです。コーヒーと薬膳茶が楽しめるカフェにしたいと思いました。コーヒー豆は金沢市のMadera Campana(マデラ カンパーナ)さんから仕入れたもので、世界有数のコーヒー生産国の指定農園で作られ、輸入・焙煎された「スペシャルティコーヒー」です。世界のコーヒー豆の中で5%しかない、貴重な豆を使ったコーヒーで、香り・コク・酸味など10項目で評価され、コーヒーピラミッドの頂点に君臨するものです。
薬膳茶は地元・上市町のつるぎの味蔵でも販売されている株式会社ティーツリーコミュニケーションズさんの「ビューティー薬膳茶」シリーズのほか、季節の果物(きんかん)やウルトラショウガ、無農薬のなつめ、クコの実などをブレンドし、煮詰めた薬膳茶も提供しています。
――美味しくて体に良いので人気ですね。ほかにメニューはどんなものがありますか。
「上市でしょうが」のホット割り・炭酸割り、イチジクのホットティー、クロモジのアイスや予約制のランチなどをご用意しています。
最近は私がフィンガーフードにはまっていて、プレートでのお食事も提供しています(ドリンク別2,500円~、4名様以上で3日前までに要予約)。
――フィンガーフードというのは?
指でつまんで食べられる小さなお料理のことです。インスタグラムで見つけて、見ただけでワクワクし、そのかわいさに夢中になりました。2019年の3月から東京へ習いに行き、日本フィンガーフード認定講師資格を取得しました。
――見た目もとても綺麗で、華やかですね。これは作るのにとても手間がかかりそうな…。
手間はすごくかかりますよ。自己満足だけど(笑)。先日、上市町のデイサービスから利用者さん達が来られて食べてもらったら、「変わっとるね。こういうの生まれて初めて食べた」と喜んでもらえて嬉しかったです。特別なものではなく、この辺で手に入る・上市にあるもので工夫して作りたいと思っています。フィンガーフードの写真を撮るために、ミニスタジオも買いました。インスタグラムに投稿すると、一緒にフィンガーフードの講座を受講した仲間からもメッセージをもらって刺激になります。
――力が入ってますね。フィンガーフードはパーティーとかにも良さそうですよね。
はい。先日も女性起業塾の二次会で使っていただきましたし、5~6人の小さい同窓会や、日頃子育てや介護で忙しい方、ご高齢の方の懇談会にもどんどんご利用いただきたいです。趣味の会や、夜はカウンセリングなどにも使われています。要望いただければできる範囲でお応えしますので、場所に困った時はご相談ください。
――ルームレンタルの場合、どのような料金体系になりますか?
時間ごとにテーブル単位(1テーブル1時間600円)で利用できますし、人数が多い場合は店全体を貸し切り(1時間1,200円~)にもできます。着席は最大24人まで、飲食は要相談で予算に合わせてできます。
人が行き交い、出会う場
――教室や講座、イベントがたくさん開催されているんですね。
はい。月間の利用状況は、Facebook(フェイスブック)ページでお知らせしています。年に8回ほど、お寺のご住職による法話会も開催されています。宗教だとなかなか場所の確保が難しいそうですが、ここならアクセスが便利で駐車場もあるし、メニューが豊富だと喜んでもらえます。県外から話に来られる住職もおられます。毎回、お茶うけに手作り羊羹などを準備するのですが、来られる人が「今日は何かね」と楽しみにしてくださるので張り切っています。
――どんなことが楽しいですか?
やっぱり、いろんな人との関わりです。上市にはいろんな人がいるんだなと思いました。話を聴いてほしい人や景色を楽しみに来られる人、コーヒーを飲みたい人、電機屋さんに来たついでに寄られる人、逆にここに来たついでに電機屋さんで買って行ってくれる人…。また、自分のスペースを持って好きなようにやれることはとてもありがたいことだと実感しますし、このようにさせていただけて、家族にも感謝しています。
――そうなんですね。さらに、ここから見える景色が本当に綺麗ですよね。立山連峰が一望できる景色が窓に切り取られて絵のように見えます。
はい、秋にはコスモスが揺れ、窓枠が絵の額のように見えるとお客さんから言われます。庭はガーデニングの先生をやっている起業塾の仲間・広世かおりさんに教えてもらって整備し、花や野菜、ハーブを育てています。摘んだばかりの新鮮なハーブや野菜は料理に使っています。
――大変なのはどんなことですか?
自営なので休みがないこと、何もかも自分でやることです。家族の病気などでお客さんに迷惑をかけられないというプレッシャーや責任があります。クロポッケは午後からオープンですが、午前中はクロダ電機の事務の仕事を継続しています。今は母の介護やお店のことがあるので、外のセミナーや経営相談に行けないため、それなら自分が興味のある講座の先生に来てもらおうと思い、クロポッケで講座を開催してもらうこともあります。
――そういったいろんな講座で勉強され、Facebook(フェイスブック)やインスタグラム、ペライチなど、新しいツールを使いこなしておられますね。
必要だからやっているだけですよ。特にインスタグラムは、写真で感激してコメントするけれど、それ以上のことはお互いに求めず、サラッとしているのがいいですね。息子もインスタを頑張っていて、その様子が見れたり交流できたりするのが楽しいです。また、金沢の近江町市場がPayPay(ペイペイ)に力を入れていると聞き、クロポッケにも早速導入しました。
――時代の波に乗られていますね。
ほかに、上市町の特産品や季節によって野菜なども販売しています。棚にある本は自由に読んでもらえたらと思っていますし、思い思いの過ごし方をしていただければと思います。
――では、最後に、今後の展望を教えてもらえますか。
これからも、継続していろんな人にますます使ってもらえるようにしたいと思っています。 バラバラに来られたお客さん同士を紹介し、ここでお友達になられることも多いです。いろんな人がつながるのは私も楽しいですし、応援しています。
――たくさんの人が行き交い、出会う場になっている…素敵ですね。黒田さん、今日はどうもありがとうございました。
こちらこそありがとうございました。
私、実はコーヒーが苦手なのですが、そんな私でもクロポッケさんの「スペシャルティコーヒー」は美味しいと思いました。コーヒー好きな人にはぜひ飲んでもらいたいです!
そして、黒田さんとはプチ起業塾の1期生で同期でした。普段は「クロちゃん」「ちーちゃん」とニックネームで呼び合っているので、文章で書くと何だかちょっとよそよそしく感じますね(笑)。ちなみにコーチングセッションに付き合ってもらったのも私で、市姫東雲会の2代目代表を引き継ぎました(現在3代目の代表がいます)。今回、取材という形でも関わらせていただけて嬉しいです。
塾を経て開業し、2019年12月で4周年を迎えたクロポッケさん。いつも優しい笑顔で迎えてくれるので、とても温かく、近くに行くと用事がなくても寄ろうかなと思える場です。たくさんの仲間達に囲まれながら、これからも地域の人達や女性起業家から愛されるお店であってほしいです。
ちなみに、クロポッケさんは上市町で唯一(2020年1月末現在)、「HACCPの考え方を取り入れた衛生管理」を実施している「食の安心・安全・五つ星事業」の五つ星店に認定されています。「HACCP(ハサップ)」とは世界的に導入が進められている食品衛生管理の手法で、これに対応した衛生管理を積極的に行っている食品施設を認定し、プレートで知らせるのが日本食品衛生協会の「食の安心・安全・五つ星事業」(2018年から施行)です。
●おすすめメニュー●
●DATA●
店名 | コミュニティ&カルチャールーム クロポッケ |
住所 | 上市町横越25 クロダ電機内 |
電話番号 | (076)461-6630 |
ホームページ | https://peraichi.com/landing_pages/view/kuropocket |
Facebookページ | https://www.facebook.com/kuropocket/ |
インスタグラム | https://www.instagram.com/kuropocket/ |
https://twitter.com/kuropocket | |
kuroden@ma.net3-tv.net | |
営業時間 | 14:00~17:00(ただしルームレンタル優先、レンタルは時間外も可) |
定休日 | 水曜 |
駐車場 | 30台(共同) |
メニュー | ・クロポッケスペシャルティブレンド珈琲(460円) ・上市でしょうが ホット割り(460円) ・ビューティー薬膳茶(各種450円) ・限定で季節の薬膳茶あり(500円~) ・アイスクリーム(450円~480円) ・ご予約制ランチ(ドリンク別1,000円~、前日予約) ・フィンガーフードプレートでのお食事(ドリンク別2,500円~、4名様以上で3日前までに要予約) |
設備・情報 | 予約可、全席禁煙、ベビーカー持ち込み可、キッズチェアあり、離乳食持ち込み可、PayPay可 |
店主 | 黒田直美 |
オープン年月日 | 2015年12月1日 |