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着物文化をもっと自由にもっと楽しく
かみいち子どもの感性を育む会きらきらのたね
きらきら着物バンク
日本が世界に誇る着物文化をより楽しく身近なものにするために、中学生を対象に着付けやお出かけ企画などを開催する「きらきら着物バンク」。自由なスタイルが個々の感性を育み、より楽しい文化として次世代へ繋げていく取り組みについて伺いました。
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(左)中野良子さん(右)代表の酒井千紗さん
立ち上げの経緯は?
酒井さん コロナ禍から日常が戻り始めた時期に「子ども達の感性を育む場を作ってあげたい」という思いで有志で立ち上げた「きらきらのたね」が母体となっていて、そこではミュージカルの上演などを企画開催していました。 2023年の夏、中野さんから提案を受けて、「きらきら着物バンク」を立ち上げました。 今は7人のメンバーで運営しています。
中野さんがこの活動を提案されたきっかけは?
きっかけは、着なくなった着物を譲り受ける機会が何度かあったことと、イギリス出身の着物研究者シーラ・クリフさんのインタビュー記事を読んで感銘を受けたことです。 シーラさんは、学生時代に日本に来られて着物に出会い、ヨーロッパ的ファッション感覚を取り入れたスタイルを長年実践・発信し続けておられる方なのですが、こういう感覚で若い人たちが着物文化に触れる機会を作りたいと思ったんです。
元々中野さんご自身も着物をよく着られるんですか?
中野 うちは母の実家が呉服店で、祖母も普段から着物を着るような人だったこともあって、私も幼い頃から着物を着せてもらう機会が多くありました。昔に比べれば、今は着物を着る人も機会も減っていると思います。でもその一方では外国の方から見ると着物はとても魅力的な文化として捉えられているんです。
酒井 海外の方にとっては魅力的な日本文化だけど、日本では着物が日常から遠ざかっている。
中野 その中で自分にもできることがあると気付かせてくれたのが、シーラさんのインタビュー記事でした。シーラさんはご自身のファッションや音楽やアートなどの感性を着物を通して表現されていて、本当に自由で楽しそうだったんです。そもそも着物が普段着として着られていた時代はもっと多様性に富んだ着こなしが日常に溢れていたそうで、こういう着物の世界があるんだって感銘を受けました。それで、私は子ども達が楽しく着物を選んでお出かけするような、着物文化の「楽しい入口」を作りたいと思い立って、酒井さんに相談したんです。
そういう経緯で始まったんですね!実際活動されて中学生の反応はいかがでしたか?
中野 みんな着物を着る時はすごくいい笑顔で、いっぱい写真を撮って盛り上がっています。
酒井 着物を着ると魔法がかかるんですよね。いつもとちょっと違う自分になれるといいますか、普段着で暗い色を選びがちな子も着物を選ぶときはとても明るい色を選んだり、積極的に自分でアレンジを考えたりして、一人一人が持っている感性が引き出されてきているように感じます。
中野 お出かけ企画では、普段行かない場所にも行くので、地元を再発見できる機会にもなっています。
酒井 着物を着ていくと、すごく思い出深い体験になりますね。私服で行くのと全く記憶の残り方が違うと思います。
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お出かけ企画の様子
お出かけ企画以外にはどんな取り組みがありますか?
中野さん この活動をしていると「うちにもこういうのあるから持っていってほしい」というご相談をいただくことがあって、中学生たちも一緒に引き取りに行ったことがあります。どんな方が着ていたのか、どんな思いで託されるかを子どもたちに直接感じて欲しくて。
酒井 ものだけではなく思いも受け継ぐ体験ですよね。
中野 その時にも「私これ着たい!」って声がその場で上がっていましたね。みんな着物を楽しんでいます。
着物文化の楽しむ機会を積み重ねておられる中で、ついにシーラさんをお招きしたイベントを開催されましたが、このイベント開催の経緯は?
中野 この活動のきっかけになった方でもあるので、いつかシーラさんを上市に呼びたいという思いは持っていました。
酒井 だんだんとその思いが高まってきて、「よし、呼ぼう!」となって、シーラさんに直接メッセージを送ることにしました。私たちの活動に対する思いをファンレターのように送りました。そしたら、返信があって「これは素晴らしい活動だからぜひ続けてほしい」と。すごく嬉しかったですね!何度かやり取りを重ねる中で、本当に来ていただけることになりました。
改めて、どんなイベントでしたか?
酒井 「More Free,More Fun」と題して、大岩山日石寺の方で開催させていただきました。日本舞踊の演舞のほか、シーラさんが監修したコーディネートで着物を着た6人の中学生「キッズシーラ」のファッションショーやシーラさんの講演・コーディネート解説が行われました。教育委員会、企業協賛、個人協賛など多くの方々に支えられて実現することができました。
どんな方が観に来られましたか?
酒井 着物愛好家の方、一般の方、シーラさんのファンの方で70名、中学生が約20名、服飾志望の高校生も来てくれていました。
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トークイベントの様子
シーラさん監修コーディネートというのはどのように進められたんですか?
中野 シーラさんは東京にお住まいのため、会って打ち合わせすることが難しかったので、こちらで着物や小物の写真を用意して、それを基にシーラさんにコーディネートをしていただいたのですが、驚きの連続でした。安全ピンを使ったり足袋じゃなく網タイツを合わせたり、ベレー帽を合わせたりという感じで、私たちの感覚では思い付かないようなコーディネートばかりで。
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キッズシーラのコーディネイト案
準備から当日まで含めて、印象的なメッセージはありますか?
酒井 世界は着物文化に憧れていて、どれほどみんな着物を欲しがっているかということを踏まえて「グローバルな時代の主役となる子ども達にぜひこの文化を楽しんで自分を、日本を主張していってほしい」という言葉が特に印象的でした。
中野 着物をもっと自由にもっと楽しく着られる場を作って、文化を若い世代に継承して行きたいと強く思いました。
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イベント当日のキッズシーラ
日本人として、自国の文化を誇らしく捉え直せる素晴らしい機会ですね。 イベントを経て、今後活動の中でやって行きたいことなどはありますか?
中野 今の活動は中学生が中心ですが、もうちょっと上の高校生くらいまで広げて行きたいです。あとは、販売などの機会を作って、自分の着物を持つきっかけづくりをして、着られなくなった着物を循環させていく活動もやっていけたらと思っています。
酒井 今参加してくれている中学生達にも長く関わってもらって一緒に活動していくような流れもできていったら嬉しいなと思います。
ありがとうございました。
●DATA●
名称 | かみいち子どもの感性を育む会きらきらのたね きらきら着物バンク |
代表 | 酒井 千紗 |
メンバー数 | 7名+着付けボランティア |
活動内容 | 自由に楽しく着物を着る機会を作る活動 |
@kirakira_kimonobank |