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他にない麺を生み出した製麺へのこだわりと、これからの大岩への思い
中華そば あざみ 大岩本店
大岩山日石寺の百段坂下に長らく空き店舗となっていた場所にオープンした「中華そば あざみ」。同じく大岩地区の「旅館だんごや」6代目でもある店主が「生そうめん」作りや「自家製平打ち手揉み麺」による中華そば屋の開店と、挑戦を重ねてきた背景には、生まれ育った大岩への想いが詰まっていました。
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店主の滝川 哲平 さん
滝川さんは旅館だんごやの6代目ということですが、どのような経緯でだんごやに入られましたか?
私はこの大岩で生まれて、小学校2年生になるまでは大岩の家に住んでいました。当時だんごやは祖父母がやっていて、母も実家の土石業の仕事をしながら、だんごやを手伝っていたのを覚えています。私もよくこの辺で遊んでいました。 小学校2年生からは富山市の方に引っ越して、大学は金沢で外国語を学んで、卒業後2年間海外で過ごした後に、富山のホテルに就職しました。 実家が旅館だからという気持ちは全くなかったのですが、それまでの経験を活かせるのがたまたまホテルだったという感じです。 それから同じ職場に勤めていた現在の妻と結婚して、妻が先にだんごやで働くようになって、しばらく経ってから私もだんごやに入りました。 今は宿泊予約の主流はネットの予約システムが中心ですが、その頃だんごやはそういうものに対応していなかったこともあって、自分の経験を活かしてサポートしたいという思いからでした。
旅館だんごやに入られてからはどのような仕事をされたんですか?
入ったからには今までにない目玉になるようなものを作りたいと思っていました。 というのも、私が子供の頃に見ていた大岩と比べるとお店も減って、寂しさを感じていたんです。これからこの場所で自分が旅館を続けていく中で、自分たちの世代で目玉になるものを作っていかないといけないという思いを強く持っていました。 そこで、自家製の生そうめんを作ろうと思い立ったんです。
– そういう経緯だったんですね。私も初めて見た時はビックリしました。生そうめんっていうものがあるんだ!作れるんだ!?って。
そうめんを「作る」ということ自体が新しい発想で、そうめんで新しい変化を生み出すには「生そうめん」しかないと思っていました。 いろんなオリジナリティの出し方があると思うんですけど、私は麺そのものでオリジナリティを出したい。できないかもしれないけど、やってみようと。
やってみて、実際どうでしたか?
実際、できませんでした。粉のプロなど、いろんな専門家にも相談しましたが、馬鹿にされることさえありました。 製麺機も色々買って試しました。いろんな麺の作り方を参考にしましたし、粉の種類や塩、水の配合を200通りは試しましたがうまくいきませんでした。 これはいよいよ無理かもしれないと思っていた時に、粉の業者の担当者が変わって、新しい担当の方に相談した所、「この成分を入れてみたら?」というアドバイスをもらって、それを試したら途端にうまくいったんです! 今になって思えば、細くて加水率の低い生そうめんはすごく難しいんですよ。日本で一番難しい麺を作っていたのかもしれません。そうとは知らなかったからこそ粘り強くやれたのかもしれません。
大変な労力をかけて生み出された麺だったんですね!!生そうめんの反響はいかがでした?
本当によく注文していただけましたし、ふるさと納税の返礼品にもなっているのでその分もあって、毎日朝4時から製麺していました。自分が作ったものに対してお客さんが来ていただけるというのはすごく嬉しいですし、楽しいです。 「あざみ」をオープンした今でも生そうめんと中華麺の両方を製麺していますよ。
生そうめんに挑戦されたあと、さらに中華そばのお店を出すに至った経緯はなんだったんですか?
生そうめんを出すようになったのと同じ頃に旧「いとや」さんがあった空き店舗に「まめぼう豆」さんがオープンされて、甘納豆を使ったスイーツやカフェメニューといった他のそうめん屋さんでは出していないものを色々出されていて、新しいお客さんがついていたのがすごくいい形だなと思ったんです。 そこから、自分も空き店舗になっている店をそうめん以外のもので復活させたいという気持ちが強くなりました。今「あざみ」がある旧「瀧路」さんは親戚ということもあって、その空き店舗を復活させたいという思いで始めることにしました。
そうめん以外のものにこだわられたのはなぜですか?
大岩は「夏のそうめん」というイメージが強くて、冬はどうしても閑散期になってしまうので、これからは冬でも来てもらえるようなものも出していきたいと考えていたんです。それと同時に生そうめんを作る製麺室を作りたいという思いもあって、そうめん以外で製麺技術を活かせるものは、と考えた時に「ラーメンだ!」と答えが出ました。
これまで経験のないラーメン作りですが順調にいきましたか?
生そうめんを作り出した経験があったので、それほど苦労なく麺もできましたし、スープもそうめんのだしの経験をベースに材料を置き換えていく感覚で作ることができました。 ただ、そうめんに比べて仕込みに時間がかかるんです。スープが出るまで10時間かかるので、朝4時から来て製麺とスープ作りをしています。はじめは一人でやっていましたが、今は社員さんと一緒にやっています。
そうめん作りを活かして作られたあざみの中華そばのこだわりは?
やはり一番は麺です。生そうめんの技術を活かして食感を出しているのと、自家製なので保存目的の添加物も一切入れていませんし、卵を使っていないので、うどんやそうめんに近くて胃に優しくスッキリしています。スープは大岩の風土に合わせて、海のものを使わずに作っていて、若い人も年配の人も食べやすい味にこだわっています。 うちは麺と肉の量が多いのですが、それは、冬の大岩でも平日でも来てくださるお客さんに対しての感謝の気持ちです。おなかいっぱい食べていってほしいという思いです!
– お客さんの反応はいかがですか?
「どこにもない麺だね」とか「食べやすい麺だからおじいちゃんおばあちゃんも連れてこれるね」という言葉をいただいたのが印象に残っています。30年前からここにあって、この後30年続く店というイメージで店作りをしたので、そういう感想をいただけるのはとても嬉しいです。
– お店や大岩エリア全体の今後に対する想いを聞かせてください。
あざみをオープンするにあたって、自分の力だけではなくて妻や家族、業者の方、地域の方、日石寺さんも準備期間から何度も顔を出していただいて、いろんな人の支えで開店できました。その恩返しも込めて、大岩を盛り上げていきたいと思っています。 今、大岩ではすだちの栽培に力を入れられているので、すだちを使ったメニューでコラボレーションしたいです。 それから、今後私よりも若い世代の方が新しい挑戦をされることもあるかもしれません。新しい挑戦が生まれて、大岩がこの先も長く人が来続ける場所であってほしいと願っています。そのためにもこの店を長く続けていくことで貢献していきたいです!
ありがとうございました。
●DATA●
店名 | 中華そば あざみ 大岩本店 |
住所 | 上市町大岩10 |
電話番号 | 076-473-1480 |
@azami_oiwa | |
代表 | 滝川 哲平 |
事業内容 | 製麺、中華そばの提供 |
営業時間 | 11:00〜15:00(売切れ次第閉店) ※現金払のみ |
定休日 | なし |