上市町ではたらく

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株式会社 立山農園 上市本店

大正13年の創業から93年の造園会社。上市本店では5,000坪の広大な敷地に庭園見本やポケットガーデン、圃場(ほじょう、樹木を育てる畑)、苗木売り場、灯篭(とうろう)売り場があるほか、店舗の中に生花を販売する部門の「フローリストTATEYAMA(タテヤマ)」が入っている。代表取締役の土肥正昭さんは、「一軒一軒、全てのお客さんに満足してもらえるように心がけています」と話す。

代表取締役 土肥 正昭さん(78)

代表取締役 土肥 正昭さん(78)

 
 

昭和初期に遊園地やカラーカタログ

湯神子温泉の通りにある上市本店

湯神子温泉の通りにある上市本店

――創業からの経緯を教えてもらえますか?
大正13年に、私の祖父・土肥政之(まさゆき)が創業した会社で、93年経ちます。祖父の親が材木屋さんで、元は湯上野に8町歩(ちょうぶ)=24,000坪の土地があり、馬が5頭おったと言っていました。でも、田んぼの水の取り合いになるのが嫌で、現在の湯崎野に来て造園土木工事の店舗をオープンしたそうです。

昭和初期の写真。奥にブランコや滑り台が見える

昭和初期の写真。奥にブランコや滑り台が見える

昔は遊園地もあり、近辺の小学生がここへ遠足に来ていました。昭和5年から、当時珍しいカラーのカタログを作成し、県外に配って売っていたそうです。

――遊園地やカラーのカタログって当時としては画期的ですよね。
そうでしょう。上市本店だけで5,000坪の敷地があるので、地元の子どもたちに楽しんでもらいたいという思いがあったんだと思います。でも戦時中に遊園地は取り壊され、「花なんか作っとる場合じゃない」と食料となる野菜を作るようになりました。

昭和初期のカラーカタログ

昭和初期のカラーカタログ

野菜苗や白菜、すぐり菜(大根などの若い葉を間引いたもので、栄養価が高い)などを八百屋に出荷していました。私の小さい頃には、乳母車に積んで、ひいおばあちゃんが切り花を町へ売りに行っていた記憶があります。株式会社の設立は、昭和29年です。
――土肥さんが仕事を始められたのは?
昭和31年の高校卒業後に、宝塚の園芸関係の店へ3年間、丁稚奉公に行っていました。働きながら通信教育で東京農大農学部を終業し、21歳から立山農園で働き始めました。昭和50年、38歳で社長に就任し、公共工事のほか、能登島などのゴルフ場のグリーン造形・植栽工事、一般のお客さんの庭作りを行いました。宝塚で働いていた店は平成7年の阪神・淡路大震災のときに潰れてしまったので、後片付けや復興の手伝いに行きました。最近ではホームセンターなどの量販店が方々にできたため、店頭とホームページでのネット販売も行っています。

自由に見て回り、庭造りの参考にできる園内

立山農園のスタッフのみなさん。左から3人目が土肥社長

立山農園のスタッフのみなさん。左から3人目が土肥社長

――立山農園さんの強みは何ですか?
全員技術者だということです。みんなで40種類以上の資格・免許を持っています。資格がそれぞれ発揮できるよう、担当を決めています。私は職業訓練指導員の免許を持っているので、富山市の職藝学院の学生さんの実習指導なども行っています。職藝学院からは、卒業生を採用しています。当社は定年後も継続して雇用しており、終身雇用です。1級造園技能士をはじめ、次から次へと出てくる新しい資格取得にかかる費用の助成なども行っています。
――信頼できる技術者の方ばかりということですね。では、お客さんに対して心がけておられるのはどんなことですか?

水琴窟(すいきんくつ)の音色も楽しめる立山農園の園内

水琴窟(すいきんくつ)の音色も楽しめる立山農園の園内

アフターサービスと無料診断です。「木が元気ない」「虫が付いた」と聞いたら車に乗って見に行き、提案・アドバイスします。また、ほかでは写真撮影がダメだと言われる店もありますが、うちは「ご自由にどうぞ」と言っています。お客さんは園内を見て回り、写真を撮ることで、それを参考にして予算を組んでいただけるんです。一軒一軒、全てのお客さんに満足してもらえるように心がけています。お客さんはもちろんそれぞれの思いがありますし、施工する私達としても一種の作品ですから、お互いに満足できるように仕上げます。満足してもらえることで、そのお客さんからの紹介もあるんです。ハウスメーカーさんがお客さんのところに持っていく図面の外構(家の外にある門、車庫、カーポート、塀、柵、垣根といった構造物、庭木など)も設計・提案しています。
――庭にはどんな木がおすすめですか?

手間がかからず人気のエアープランツ

手間がかからず人気のエアープランツ

個人の好みがありますから、何種類か提案しますよ。香りが好きなら沈丁花(じんちょうげ)や蝋梅(ろうばい)なんかはすごくいい香りです。香りツバキ、金木犀もおすすめです。花が咲かないと香りがしないですけど。庭造りで重視しているのは、シンボルツリーを中心にして、それに合わせた造りを考えることです。以前は石をかなり使った泉水(池や石積み)が多く、その上に生け垣を作っていました。
――果樹はどうですか?
これまでは柿、栗、リンゴ、梨、ブドウ等が多く植えられていましたが、最近はブルーベリーや柑橘系の果樹を植える人が多くなりつつあります。今は育てるよりもすぐに食べたいという人が増えたため、これからは鉢に実をならせて売るために、鉢植えの準備をしています。富山市では、かつて結婚した人に樹木をプレゼントするという制度があり、5種類から好きなものを1つ選べるもので、需要も多かったです。その後制度はなくなりました。

芝生に代わるグランドカバーの「玉竜(40入り2,000円)」

芝生に代わるグランドカバーの「玉竜(40入り2,000円)」

――おすすめの商品は?
1つ目は、芝生に代わるグランドカバーで「玉竜(たまりゅう)」。植えると広がって芝生みたいになりますが、芝生よりも手入れ要らずで楽です。現在は1ケース40入りで2,200円とどこよりも安いです。また、盆栽は正月に玄関や床の間には必要なものです。最近、日本の文化が海外で人気を集めていて、中国や台湾、アメリカでは盆栽がブームになっています。生産の65%が輸出されているそうです。

土肥社長が手がけた盆栽

土肥社長が手がけた盆栽

盆栽で有名な香川県高松市の鬼無(きなし)では、最近盆栽ツアーに多くの外国人が来て、「これみんなください」と言って並んでいるのを指さし、全部買って行くほどの大変なブームだそうです。盆栽の手入れも大変で指の皮が裂けてね…。でもそういうものは全然苦にはならないです。
――外国人の方は家電だけでなく盆栽も「爆買い」されるとは、驚きです…。

薪や肥料、生花もおすすめ

ブナやナラ材を乾燥させた薪

ブナやナラ材を乾燥させた薪

――大変なのはどんなことですか?
造園工事は、景気や天候に左右されて仕事の波があるのが大変です。公共の事業自体が少なくなったため、方向性を考え、10年前に伐採木・剪定枝葉を処分する産業廃棄処理の「株式会社タテヤマ」と生花・総合園芸の「ふろーりすとTATEYAMA」の3部門に事業を分けました。冬期間は外の仕事が少ないので、「株式会社タテヤマ」で薪を作り始めたのですが、薪ストーブの普及で需要が非常に伸びています。県内だけでは追いつかず、岐阜県や長野県からも原木を仕入れ、約1年かけて乾燥させます。ブナやナラ材といった落葉広葉樹がいいですね。
――落葉広葉樹から薪をつくられるんですね。

高級活性堆肥「土肥バーク(40L入り650円)」と「魔法の土(25L入り950円)」

高級活性堆肥「土肥バーク(40L入り650円)」と「魔法の土(25L入り950円)」

そうです。また、「土肥バーク(40L入り650円)」もおすすめです。木材樹皮を粉砕精選し、微生物と酵素の科学により熟成した高級活性堆肥です。土壌に施すと地力を高め、豊かな実りを期待できるほか、土壌改良剤としても有効な商品です。他の肥料と一緒に使うと、より効果を高めることができます。 また、剪定した枝葉を粉砕したチップをゴミ袋1袋100円、または軽トラ1台100円でお渡ししています。除草効果抜群です。ほかに、ツツジの産地として有名な栃木県鹿沼市の「鹿沼土」が鉢物に良いとして人気が高いので、その土を配合して培養土「魔法の土(25L入り950円)」を作っています。花、野菜など何にでもいいです。
――それでは最後に、今後の展望をお聞かせください。
園内のミニ庭園を全面改装します。箱庭を造り、ベランダ庭園へのニーズに応えるほか、よりモデルとなる庭園になるようリニューアルします。園内をさらに充実させ、品揃えを豊富にし、お客様にご満足いただける様、努力していきます。
――リニューアルが楽しみですね。土肥さん、どうもありがとうございました。
こちらこそありがとうございました。

はたらくらすコネクション記者・古野知晴のFuruno's voice!
日本画家・坂田潤世さんの絵が飾られている

日本画家・坂田潤世さんの絵が飾られている

祖父・政之さんの名前が入った創業当時の書

祖父・政之さんの名前が入った創業当時の書

立山農園さんのオフィスには、日本画家・坂田潤世さん作の絵が飾られていました。坂田さんの両親が以前立山農園さんで働いていた縁で、土肥さんが20年ほど前に購入したそうです。天井から床まである大きな絵は大迫力でした。
時代の流れに応じて変化し続けて来た立山農園さん。土肥社長はとてもパワフルで面白い方でした。昔バンドでギターを担当していた経験を活かし、自ら作曲した立山農園の社歌があるそうです。しかも、個人でタレントさんとしても活動しているとのこと。多彩ですね! 3年ほど前から、高岡市の温泉旅館「磯はなび」のCMやJAの除雪機・耕運機のCMなどに登場しているそうです。今度から、もしかして…と注意して見てみようと思いました。

●DATA●

店名 株式会社 立山農園 上市本店
住所 上市町湯崎野93
電話番号 076-472-2000
FAX番号 076-472-1217
E-mail info@tateyamanouen.jp
営業時間 8:30~17:30
休日 ・店舗は年中無休
・現場は日曜・祝日休み、土曜は月1~4回休み、年間87日、
お盆、年末年始(12月30日~1月6日)、その他有給休暇など
駐車場  
ホームページ http://tateyamanouen.jp/
代表取締役 土肥正昭
オープン 創業 大正13年 株式会社設立 昭和29年
事業内容 ・環境緑化、造園土木工事(上市本店)
・伐採木・剪定枝葉処分、薪販売(株式会社タテヤマ)
・生花・総合園芸(ふろーりすとTATEYAMA)
・不動産(貸しテナント)
・建設業、産業廃棄物処理業
主力商品 土肥バーク(高級活性樹皮堆肥)、庭石、灯ろう
主な実績 富山地区広域圏クリーンセンター植栽工事、富山空港植栽工事、
上市町の公園管理、富山県・石川県のゴルフ場新設工事、
城址公園整備で優良土木建築工事表彰の平成元年度最優秀賞受賞、
ほたるの里工事で最優秀賞受賞
資本金 2,000万円
従業員数 23名
過去3年間の採用実績 平成25年1人、平成26年1人、平成27年1人
職藝学院(富山市)卒の定期採用あり、定年後も継続雇用(終身)
福利厚生・従業員特典 保険(健康、雇用)、厚生年金、
資格支援・費用助成(1級造園技能士等)、
子育て支援(元気とやま! 子育て応援企業)、
社員旅行あり(助成あり)

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