上市町ではたらく

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会社独自の技術で機能性の高い薬を製造

富士化学工業株式会社 吉見幸樹さん

医薬品・原薬の製造を通して「人と社会と未来」への貢献を目指す、フジケミカルグループの富士化学工業株式会社。会社の強みでもある「スプレードライ加工」に携わる製造部製造第2課の吉見幸樹(こうき)さんは、入社3年目。地元・上市町在住で、子どもの頃から身近に感じていた会社に就職した。薬に関する知識が全くないところから、入社後、先輩に教わりながら仕事を覚え、フォークリフトの運転もこなせるようになった。全国でも有名な薬や機能性の高い薬の製造に携わっていることを誇りに思い、仕事に励んでいる。

製造部製造第2課 吉見幸樹さん(20)

製造部製造第2課       吉見幸樹さん(20)

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独自技術でニーズに合った薬を製造

――入社の経緯を教えてもらえますか?

上市川沿いにある郷柿沢工場

上市川沿いにある郷柿沢工場

 地元・上市町出身です。富山県は薬が有名なので製薬会社に興味があり、上市高校卒業後に18歳で入社しました。現在3年目です。上市高校から入社している人もたくさんいます。

――では、会社について教えてもらえますか?      

 1946年、終戦直後に「世の中のためになる独創的な事業をしよう」と創業された製薬会社です。当社および他社製品の原薬合成から製剤にいたる医薬品の製造、医薬品に添加される賦形剤(ふけいざい)(薬の成形向上や服用を便利にするために加える添加剤)の研究・開発・製造を行っています。

――会社の強みは何ですか?      

 ほかの会社がやっていない独自の技術・分野があることです。僕が所属している製造第2課の「スプレードライ加工」や、フジケミカルグループ全体で、病から命を守る医療用医薬品の製造や、予防医学、アンチエイジングに効果的と言われる「アスタキサンチン」を配合した健康補助食品の開発、新薬の開発などは当社独自のものと言えます。

――吉見さんはどんなお仕事をされているんですか?

フォークリフトで倉庫から原料を運ぶ

フォークリフトで倉庫から原料を運ぶ

 製造部は1課から5課までありますが、製造第2課では「スプレードライ加工」で薬の原料の加工を行っています。液体を乾燥させて粉末にし、包装するまでの作業です。倉庫から原料をフォークリフトで運び、エレベーターで設備のある2階へ上げます。基本工程としては、①原料調製、②乾燥、③混合、④包装。仕事はこの4つが毎日ローテーションで変わるので、同時に覚えていくのが大変です。

――スプレードライ加工とはどんなものですか?      

 「スプレードライ」とは、日本語で「噴霧(ふんむ)乾燥」のこと。「スプレードライヤー」という設備を使います。高温に熱した空気を乾燥塔内に吹き込み、調製した液体の原料をスプレー(霧)状に噴霧することで瞬時に乾燥され、下に落ちてくる頃には粉末になって出てきます。スプレードライによる加工技術は当社の強みの1つでもあり、油や有機溶媒でも乾燥させることができる独自の技術も持っています。水に溶けにくい難溶性薬物でも有機溶媒に溶かしてスプレードライ加工したり、ナノ粒子にまで細かくすることで吸収性を改善したりするなど、お客様のニーズに様々な機能性を付加する対応ができます。

――素晴らしい技術ですね。スプレードライによって、どんな薬が作られるんですか?      

 原薬または賦形剤(ふけいざい)となる3つの自社製品「ノイシリン」「フジカリン」「エフメルト」を中心に製造しています。「ノイシリン」は当社で開発した制酸剤(過剰な胃酸を抑えるための中和剤)でもあります。このほか、他社へ医薬品や食品、化粧品、化成品のスプレードライ加工も行っています。

――スプレードライ加工が行われるのは富士化学工業さん全体の中で、どの部分に当たるのですか?      

 当社では有効成分となる原薬の合成製造から、患者様が手にする錠剤などの製剤を製造するまでを行うことが出来るのですが、そのちょうど間の造粒(ぞうりゅう、粉末のものを固めて粒状にすること)という工程となります。

――そうなんですね。吉見さんが会社で好きなところはどこですか?        

 有名な胃腸薬に含まれる原料を作っているので、身近な薬局でもよく目にします。そんな薬の製造に自分が携わっていることを誇りに思います。

男性の多い、明るく仲の良い職場

――仕事で大変なのはどんなことですか?

スプレードライ設備の管理画面をチェックする吉見さん

スプレードライ設備の管理画面をチェックする吉見さん

 製品によって原料や製造方法が全く異なるのが大変です。お客様のニーズに合わせた製品を製造するため、一つ一つの管理値(規格)が決まっています。2時間おきに温度や回転数等の運転条件をチェックしたり、製品のサンプルを採取して粒度分布という検査項目では、粒子サイズの分布や、水分が管理値内に入るよう、調節しながら進めていきます。万が一、管理値から外れると製品になりません。入社時には薬に対する知識も全くなかったので、入ってから勉強しました。

――フォークリフトの免許も取られたんですよね。

 はい。入社1年目に4日間の講習と実技で取得しました。講義の受講費用や資格取得にかかる費用は、1度は会社がみてくれます。

――楽しいのはどんなことですか?

 基本、どの作業も数人で行うのですが、僕は課内で一番年下なんです。できなかったことができるようになったと認めてもらえることや、教えてもらったことが自分だけでできるようになり、成長を感じることが嬉しいです。先輩方はみんな優しいです。年の近い方もたくさんおられ、課内の半数が20代です。男性ばかりなので気を遣わなくて良いのもいいですね。

――職場はどんな雰囲気ですか。

製造第2課のみなさん。奥に見えるのはスプレードライ設備

製造第2課のみなさん。奥に見えるのはスプレードライ設備

 明るい方が多く、休憩時間にはワイワイ喋っています。休みの日に遊ぶこともありますよ。

――仲がいいですね。お休みは決まっているんですか。    

 土日も設備はずっと稼働しているので、休日は会社の年間カレンダーによります。週に1日くらい夜勤もあります。

――男性ばかりなのはどうしてですか?  

 以前は女性もいたのですが、いまは男性ばかりになっています。スプレードライの設備は、洗浄のために設備を分解したり組み立てたりするため、機械的な知識がある人や工業系の人が向いているんです。僕は総合学科からだったので、分からないことを先輩に一つ一つ聞いて覚えました。もう少し仕事を覚えてから、後輩が入ってきてくれるといいなと思います。

――どんな人が向いていると思いますか?        

 薬品を扱うので、正確さやほかの人との協調性がある人です。危険物取扱者の資格や化学・薬品の知識を持っているとなお良いと思います。

仕事と自分の時間を両立

――地元で働くというのは、吉見さんにとってどんな意味があることですか?

 上市中央小学校に通学していたので、通学路に本社・本社工場があり、富士化学工業を身近に感じていました。勤務している郷柿沢工場までも家から車で5分程度なので、通勤時間がかからない分、自分の時間がとれるのがいいですね。

――通勤が5分! それはいいですね。お休みにはどう過ごされますか。        

 地元の友達とご飯に行くときは、町内のお店に行きます。ラーメンの都へはよく行きます。たまに県外へ遊びに行っても、富山に帰ってくると空気がきれいだと感じ、「帰ってこれた」と実感します。

――上市愛を感じます。地元で好きな場所はどこですか?         

 大岩です。家族でたまに行きます。  

――大岩はニュースやケンミンショーでも取り上げられましたね。      

 はい、一躍有名になりましたね。上市高校3年生のときには学校でドラマ「恋仲」の撮影があり、窓から見ていました。

――それは羨ましいです(笑)。最後に、今後挑戦してみたいのはどんなことですか。        

 危険物取扱者など、仕事で必要な資格を沢山取得して、専門知識や技術的にも日々の仕事に活かしたいと思っています。

――仕事に活かされる資格取得、ぜひ頑張ってください。吉見さん、今日はどうもありがとうございました。        

 こちらこそありがとうございました。


工場敷地内道路脇の花壇

工場敷地内道路脇の花壇

前会長・西田安正氏の肖像画

前会長・西田安正氏の肖像画

郷柿沢工場の敷地がとにかく広いことにびっくり! 「1人で●●へ行ってください」と言われたら迷子になりそうなほどでした。敷地内に西田美術館までありますもんね。道路わきの花壇にはサルビアなどが植えられていて、整然とした中に温かいものを感じました。 製薬会社の倉庫に初めて入らせてもらったのですが、会員制大規模倉庫店のような雰囲気にわくわくしました。あんなに大きな袋やタンクの中に入っていた原料が加工され、薬となって私たち一般消費者の手元に届くことに感動です。吉見さんが「自分の携わった薬が薬局に並んでいるのを見て誇りに思う」と言われましたが、私も地元にある製薬会社の製品を手に取れるだけでも嬉しいです。 取材でお邪魔した会議室のそばには、前会長・西田安正氏の肖像画があり、やはり芸術に造詣(ぞうけい)が深い方だったんだなと思いました。西田安正氏が設立された西田美術館もおすすめですよ。

●DATA●

企業名 富士化学工業株式会社
住所 上市町横法音寺55
電話番号 076-472-2323
FAX番号 076-472-2330
ホームページ http://www.fujichemical.co.jp/
Facebookページ なし
創業 1946年(昭和21年)10月10日
代表取締役会長兼社長 西田 洋
事業内容 医薬品製造・販売、医薬原薬受託合成・加工、食品添加物製造・販売
会社・製品の強み 世界トップレベルの医薬品スプレードライ技術。ライフサイエンス分野でアスタキサンチン原料、製品を供給しています。
上市町との関わり・創業の決め手 戦後、人々を救済するという思想の下に創業しました。現在も世の中が求める商品の開発に取り組んでいます。
求職者へのメッセージ・アピール 他にはない技術と開発力で世界の人々へ健康を届ける為、情熱溢れる仲間を求めています。
インターンシップ実施の有無 なし
資本金 1億円
勤務時間 8:30~17:00
休日 週休二日制、年間118日、その他(有給休暇など)
従業員数 498人
過去3年間の売上高 2015年 1,206,589万円/2016年 1,224,398万円/ 2017年 1,188,472万円
過去3年間の採用実績 2016年 新卒14人、中途12人 2017年 新卒9人、中途4人 2018年 新卒4人、中途13人/4-10月末まで
福利厚生・情報 住居、 資格支援、健康保険、雇用保険、 クラブ活動、厚生年金、社員旅行

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