上市町ではたらく

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仕事と野球を通してロキグループの成長に貢献する

株式会社ロキテクノ 北陸事業所 伊東大輔さん

設立40年の産業フィルターメーカー・ロキテクノ。本社が東京にあり、創業の地である上市町には北陸事業所がある。北陸事業所で働く、入社8年目の伊東大輔さん(33)に話を聴いた。伊東さんはBCリーグ・富山サンダーバーズの元野球選手で、現在は社会人硬式野球チーム・ロキテクノベースボールクラブ(現:ロキテクノ富山)に所属し、内野手(ファースト)兼副部長兼コーチを務めている。

機器生産部購買グループ 伊東大輔さん(33)

機器生産部購買グループ
伊東大輔さん(33)

  

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 野球と全く異なる分野へ

――会社について教えていただけますか。

上市町にある北陸事業所の事務所

上市町にある北陸事業所の事務所

 ロキテクノは、ろ過に関連するろ過器の「濾器(ろき)」と「テクノロジー」からつけられた社名の通り、各種産業の製造工程で使用される、精密ろ過(ろか)用のフィルターカートリッジとフィルターシステムの製造・販売を行っています。ロキテクノ伊東会長のご尊父である創業者が1978年12月に、出身地である上市町で糸巻きフィルターカートリッジの製造を始め、東京都大田区で本社となる「日本濾器株式会社」を設立しました。1984年、上市町に北陸工場を新設した後、全国各地に工場や営業所を設け、2013年にグループ化。海外展開を加速させ、新たな市場の開拓を行っています。2020年は滑川市でも新工場が稼働する予定です。

――会社の特徴は?

産業用精密ろ過フィルター

産業用精密ろ過フィルター

 製品開発ができるB to Bのメーカーですが、幅広い業界で活躍していることが強みです。世の中の人は「フィルター」と言ってもピンとこないかもしれませんが、本当に幅広い用途があり、身近なところにフィルターをご使用いただいています。決して表に出るものではありませんが、食品や日用品の製造工程を始め、皆様の生活において身近な所で活躍しています。それがフィルターメーカーとしての誇りであり、存在意義でもあると思っています。

――伊東さんはどんなお仕事をされているんですか。

 2010年の入社から2014年までの4年間は東京本社で営業部や社長室勤務でした。2015年からは北陸工場に異動し、購買部にて調達と購買を担当。2017年までは取引先との価格交渉などをメインに行っていました。現在は、モノの仕入れに関して3つの仕事をやっています。①新規サプライヤー(新しい仕入先)の開拓。②新しいフィルター開発に使われる素材について、最先端の材料を国内外から探すこと。海外の展示会にも行きます。③高額の製品購入時におけるネゴシエーション(交渉)、この3つです。

――仕事の上でどんなことが大変ですか?

伊東さんの仕事中の様子

伊東さんの仕事中の様子

 全部です(笑)。対外的にサプライヤーさんと交渉することは勿論のこと、グループ内や部署間での社内調整をすることも労力がいる仕事ですが、それが楽しい部分でもあります。自分が「こういう風にしたら会社が良くなる」と思い描いたプランが通ると嬉しいですね。いろんな展示会に行っては新しい素材を探し、製品化するときや、その先でロキテクノの売り上げに貢献するとき、やりがいを感じます。

――そのほかに、野球クラブのお仕事もされているんですよね。

 はい、ロキテクノベースボールクラブ(現:ロキテクノ富山)の運営も行っています。ただ、仕事ありきの野球なので、メンバーはそれぞれの部署で仕事をしっかりこなした上でやる決まりです。

――仕事と野球との両立は大変じゃないですか?

 そうですね、選手という立場以外にも多くの役割を担っている立場ではありますが、前向きな姿勢でやれています。大変なことの方が成し遂げたときに達成感がありますからね。

――そうですね。

打率3割の成果がやりがいにつながる

――入社までの伊東さんの経歴を教えていただけますか。

 神奈川県横浜市出身です。野球選手を目指して子どもの頃から野球を続けてきて、富山に来たきっかけも、2008年にBCリーグ(プロ野球独立リーグ、ベースボール・チャレンジ・リーグ)に所属する富山GRNサンダーバーズ(富山県のプロ野球チーム)に入団したことでした。2009年にサンダーバーズを退団し、就職活動をしていた時にロキテクノの伊東会長からお声がけいただいて、2010年に25歳で入社しました。

――ずっと野球選手として活動されていた伊東さんが、サンダーバーズ退団後にロキテクノさんに入社されたのはなぜですか?

ロキテクノ富山での伊東さん

ロキテクノベースボールクラブ(現:ロキテクノ富山)での伊東さん

 退団後、自分の新しい道を探したとき、いろんな選択肢を考えました。もちろん、ずっと野球で生きてきたのでスポーツメーカーなども考えられましたが、スポーツとは関係のない会社でどれだけ自分が頑張れるか試してみたい、全く異なる分野で自分の力を発揮しどれだけ闘っていけるかチャレンジしてみたいと思ったんです。自分への興味ですね。

――思い切った決断ですね。

 もちろん、伊東会長に惚れ込んだのもありました。伊東会長はスポーツ活動への支援も行っていて、サンダーバーズの社外取締役も務めていました。「社会に貢献する」という当社の理念に共感したことも大きいです。当社は、本業で得た利益を社会に還元するため、ユニセフへの支援を通して海外に水をきれいにする設備を提供するなど、様々な取り組みを行っています。

――素晴らしいですね。また、お名前も会長と同じ「伊東さん」ですね。

 はい、たまたま同じ苗字という縁もありました(笑)。

――入社後は、それまでと全く異なる分野でのお仕事ですね。

 そう、本社での1年目は本当にしんどかったです。化学の勉強から始めました。お客さんからも非常に厳しいことを言われ、泣いて帰ったこともあります。文系かつ体育会系の私にとっては、勉強しなければならないことが沢山ありました。

――そんな中、どう仕事に向かってこられたんですか。

 負けたくないという思いです。これはスポーツで培ってきたもの。野球ではNPB(日本プロ野球)という頂点に立てなかったですが、ビジネスで頂点に立ちたいという思いでやってきました。

――思いがつながっているんですね。伊東さんが頑張る原点になっているものって何ですか?

 やっぱり野球ですね。24歳まで夢を追いかける野球を続け、NPB選手になりたいと強く思っていたけれどそれは叶わなかった。けれど、この会社に働く場を与えてもらい、野球もできる。ロキテクノの社員としてのプライドもあります。すべてが楽しいことではありませんが、楽しいことがたとえ1割だったとしても、非常に大きな存在となることは間違いありません。野球に例えた場合、打席に立つと7回は失敗したとして、3回は成功する。仕事もチャレンジして得たそんな成果が楽しさや嬉しさにつながって頑張っていけると思っています。

北信越大会で初優勝し全国大会へ

――伊東さんはロキテクノベースボールクラブ(現:ロキテクノ富山)の立ち上げから関わっていらっしゃるんですよね。

 はい。もっとスポーツを通じて社会に役立てないか、より貢献できないかということで、入社2年目の2012年に野球チームを立ち上げることになりました。僕のようにBCリーグやNPBで活躍してきた選手たちの退団後の受け皿になることと、活動を通じて社名をPRできるという両方の側面があります。立ち上げの際は東京本社にいたので、最初の2年間は営業の仕事をしつつ、週末だけ富山に戻って野球をやっていました。

――クラブには何名の方がいらっしゃるんですか。

ロキテクノ富山のメンバー(全日本クラブ野球選手権)

ロキテクノベースボールクラブ(現:ロキテクノ富山)のメンバー(全日本クラブ野球選手権)

 現在、選手20名が在籍し、スタッフを含めると22名です。その半分の11名は当社の社員、残りの半数はそのほかの企業に勤めながら野球のみ当クラブで行っています。以前はほかの企業で勤めていたものの、縁があって入社し社員になったメンバーもいます。

――町田一也選手や成瀬友登選手など、元サンダーバーズの選手も数人いらっしゃいますよね。

 はい。現役でやっていた頃の仲間と一緒に、30歳を超えても白球を必死に追いかけられるというのは幸せなことです。NPBでやっていた人から、より質の高い技術を聞くこともでき、非常に大きな財産を得ていると思います。それが当クラブの強みでもあります。

――そんなメンバーに憧れて入団を希望される方もいらっしゃるのではないですか?

 もちろん、元阪神などで活躍していた藤田太陽選手らに憧れて入ったメンバーもいます。入団の際は、技術レベルの確認をする以外に、当クラブの理念や方針に賛同していただける人、というのが前提です。

――練習はいつされているんですか?

社会人野球大会富山県大会 優勝旗

社会人野球大会富山県大会 優勝旗

 1週間に4~5日の練習があり、平日は週2日、大会前は週3日やっています。仕事が終わった後に富山市へ移動して19:30~22:00に行っています。土日は丸山総合公園などで練習しており、日程はホームページでも公開しています。クラブでは年々、活動に力を入れてきており、今シーズンは40試合実施しました。土日に試合があっても月曜から通常通りの勤務があるので、うまくバランスをとりながらプレーしていくことが大切です。

――ということは、シーズン中は毎日仕事か野球の予定が入っているんですね。

 そうですね。でも、野球をやらせてもらえる環境があること自体がとても有り難いので、全く苦になりません。野球を通して会社をとにかく有名にする、会社に貢献するというのが、目標の1つです。2018年には北信越大会で初優勝し、9月に全国大会(第43回全日本クラブ野球選手権)に出場したほか、第4回JABA北信越クラブカップでも初優勝を飾ることができました。

――素晴らしいですね。おめでとうございます! 強さの秘訣は何ですか?

 ありがとうございます。7年目にして初めて全国の舞台を踏むことができました。要因としては、選手達の頑張りが大前提ですが、22名全員が「全国大会に出る」という強い目標に向けて活動したことが軸にあったと思います。

――具体的にはどんな活動をされたんですか?

 きつい練習をこなし試合の数を重ねることはもちろん、僕は昨年までキャプテンだったのですが、2018年から副部長兼野手コーチになったことで、運営のしかけを考えたんです。チームの目指すところを資料で説明し、口に出して具現化させる取り組みや、必勝祈願のため芦峅雄山神社へ参拝し、勝ち守りを全員に渡すなど、選手たちへの意識付けを行いました。今後、選手やマネージャーを増やしていきたいです。

成長のための研修制度が充実

――ロキテクノさんには研修制度も充実しているんですよね。

 はい、スマッキーカレッジという社員教育があります。階層別研修(新入社員・中堅社員・管理職)はもちろん、勉強する場を増やすため、それぞれの社員が講師となって得意分野をほかの社員に教えていく講座もあります。開発における重要ポイントなど仕事に関するもの以外にも、ゴルフのマナーなど、幅広い内容があります。

――それは講師として教えること、アウトプットを通してより本人の身に着くためですか。

仕事風景

仕事風景

 その通りです。ほかに、通信講座や社外セミナーの受講費用補助、資格取得報奨金制度、メンター制度もあります。

――現在、求人も行っていらっしゃいますか。

 はい、募集しています。高卒で入社する人も多いです。野球部への入部も合わせて希望してくださる方もいるので、私も注目しています。

――伊東さんから見られて、上市町の印象はいかがですか?

北陸事業所の北100mほどの場所にある創業の地「原点回帰の碑」

北陸事業所の北100mほどの場所にある創業の地「原点回帰の碑」

 働きやすい環境で、いい町ですね。田んぼと山が広がっていて…。会社の近くから見える剱岳の景色が本当に好きです。悩んだ時や落ち込んだ時でも、山を見ていると悩みが小さく感じられます。富山市に住んでいるので、通勤時に天気がいいと一望でき、すごくいい支えになっています。また、ロキテクノ創業30周年の時、創業の地に建てられたモニュメント「原点回帰の碑」は僕の中で大切な場所となっています。そう言えば、丸山総合公園野球場で練習中にカモシカが出てきたり、以前サンダーバーズに所属していた際も立山町総合公園でクマが出たりしたことがありました。

――カモシカはよく見ますが、クマですか!

「原点回帰の碑」の説明板

「原点回帰の碑」の説明板

 はい、トイレとスタンドのあたりに、3頭いました。親子だと思います。練習できずに見ていたのですが、そのうち逃げていきました。新鮮で貴重な経験でした。

――お休みの日に上市町で過ごされることは?

 そうめんを食べに家族で大岩へ行くことや、2歳の娘を連れてカミール2階のわんぱく広場や公園へ行くことがあります。富山にはサンダーバーズの頃に2年、ロキテクノ北陸工場へ来て5年、計7年ですが、結婚して子育てするには非常にいい環境ですね。たくさんの方々のご支援のおかげで活動できています。

――最後に、今後の目標を教えてください。

 仕事も野球も、ロキグループの成長に貢献していくことがミッションだと思っています。得意分野を生かし、その成長の中心になっていける人材になりたいです。野球の目標は日本一、それしかありません。

――伊東さん、今日はどうもありがとうございました。

 こちらこそありがとうございました。


社会人野球大会富山県大会 優勝旗

社会人野球大会富山県大会 優勝旗

伊東さんとお会いする前は「野球選手」というイメージが強かったのですが、実際にお会いすると「やり手のビジネスマン」という印象の方が強かったです。サラリーマンとしての仕事をこなし、ロキテクノベースボールクラブ(現:ロキテクノ富山)では内野手兼副部長兼コーチといういくつもの役割を担う伊東さん。表情も言葉も力強く、こんなに人間的魅力のある方だとチームや部署のみんながしっかりついてきてくれるのだろうなと思いました。 JABA(公益財団法人日本野球連盟)に登録しているのは、富山県内では4チーム。「ロキテクノベースボールクラブ(現:ロキテクノ富山)」のほかに「伏木海陸運送」、「富山ベースボールクラブ」、「BANDITS BASEBALL CLUB」があります。伊東さんをはじめとするロキテクノ富山のみなさんが、これからもっと富山の野球シーンを盛り上げていかれるのが楽しみですね!

●DATA●

企業名 株式会社ロキテクノ 北陸事業所
住所 富山県中新川郡上市町稗田40
電話番号 076-473-0251
FAX番号 076-473-1166
ホームページ 株式会社ロキテクノ http://www.rokitechno.co.jp/
ロキテクノ富山 https://rokitechno-bc.com/
Facebookページ 株式会社ロキグループ https://ja-jp.facebook.com/rokitechno/
ロキテクノ富山 https://www.facebook.com/Rokitekunobesuborukurabu/
E-mail saiyo@rokigrp.com
設立 1978年12月12日
代表取締役会長 兼 社長 兼
最高経営責任者
伊東 伸
北陸事業所長 兼 ロキテクノ富山 部長 久世 正俊
事業内容 各種産業用精密ろ過フィルター製品、フィルターシステム関連機器、オゾン発生装置、水処理システム、 および一般消費者向け浄水器・加湿器等の開発・製造
会社の強み ろ過フィルターは生活に身近な製品の製造に不可欠な存在です。事業拡大の為、滑川市に「北陸事業所」を完成させ2020年2月4日より稼働いたしました。
上市町との関わり、創業・移転の決め手 ろ過フィルターは生活に身近な製品の製造に不可欠な存在です。1984年2月上市町に北陸工場を新設しました。
求職者へのメッセージ・アピール トップクラスのろ過技術を持ち、新規事業の立ち上げや海外展開を積極的に続けています。若手でも活躍のチャンスがある社風です。
インターンシップ実施の有無 あり
資本金 12億8,408万円(2019年9月末現在)
勤務時間 8:30~17:15(休憩60分)
休日 完全週休2日制(土日祝祭日)、夏季及び年末年始休暇、慶弔特別休暇、創立記念日休暇、誕生日休暇、ワークライフバランス休暇(1年につき5日間付与、15分単位で取得可)※年間休日125日以上
年次有給休暇:入社初年度に11日間付与(勤続6.5年以上で20日付与、1時間単位で取得可)
従業員数 531人(男性299人、女性232人)(2020年5月現在)
過去3年間の売上高 2017年 90億2800万円/2018年 99億5300万円/
2019年 99億8300万円
過去3年間の採用実績 2017年度 19人  2018年度 18人  2019年度 21人
福利厚生・従業員特典・設備 各種社会保険完備(健康保険、雇用保険、厚生年金、労災保険)、社員持株会制度、慶弔見舞金制度、永年勤続表彰制度、育児休業制度(最長2年間取得可)、育児短時間勤務制度(子供が小学校を卒業する迄)、介護休業制度、確定給付企業年金制度、福利厚生アウトソーシングサービス、保養施設、クラブ活動(テニス、フットサル、ゴルフ、ソフトボール、釣り等)、社員旅行(5年毎)、その他社員教育(スマッキーカレッジの開講)にも注力し、資格取得報奨金等の制度があります。

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