上市町でくらす

豊かさとは何か

上市町のデザイナー伊東です。

 

 

「豊かさとは何か」って文字にすると実に月並みなタイトルですが、最近これについて考えさせられる機会が度々ありました。

 

現在、上市町の観光資源をPRするための冊子の取材を進めていて、その中で本当に多くの「未知なる地元」に出会います。

 

先日こちらでご紹介した眼目山立山寺の「開山林」もその1つですが、

 

「豊かさとは何か」を感じた場所はとある山あいの集落。

 

取材させていただいた方の親戚のお宅を訪ねたときでした。

 

雲ひとつない秋晴れの日、

 

ここにはかつての山村の暮らしぶりがそのまま残っているような風景が広がっていました。

 

 

米を作り、野菜を作り、春には山菜、秋にはキノコを採り、自家栽培のシソが玄関先に干してあり、梅干しや健康茶に使う。

 

 

他にも色々なものが干してありますが、私のように昔の暮らしに無知な人間にはどれが何やらさっぱりわかりません。

恐らくはこれらの全てがなんらかの食材になるのでしょう。

 

ここはとにかく静かでのどか。

 

飛び交う赤とんぼは人間への警戒心がなく、スズメバチも攻撃性を感じません。

 

ここに暮らしている虫たちでさえもどこかおおらかでリラックスしているように見えます。

 

空はより青く感じるし、もぎって頂いた食べ頃のイチジクもとてもピュアな味わいに感じる。

 

 

同じ時間の中に生きているはずなのに、ここに流れている時間は、私が日頃身を置いている時間とは違うように思えます。

 

この時間の中にはたくさん大切なものが詰まっているように感じます。

 

 

ポケットに手を入れて、スマホを取り出して時間を確認する。

 

途端に、仕事のメール対応や電話、プライベートなLINEの返事などをしなければいけないことを思い出し現実の世界に引き戻される。

 

「ああ、豊かさとは何だろう」

 

 

帰りに家の方が色々と持たせてくださった。

今獲った無農薬栽培のオクラ、朝どれのキノコ、みょうが、ビン詰めした水煮のタケノコとすす竹。

 

 

 

タケノコのビンを開けたのは2日ほど経ってから。

ふたを開けた瞬間に広がったタケノコのいい香りで幸せな気持ちになった。

 


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