-
はたらくらすコネクションin上市 > 企業・店舗ガイド > 01 製造 > 新越部品株式会社 上市工場 堂口裕水さん
PDFのダウンロードはこちら(新越部品の基本情報記事も掲載)
班長としてリーダーシップを発揮
新越部品株式会社 上市工場 堂口裕水さん
自動車の神経とも言える部品、ワイヤーハーネス(自動車用組電線)を一貫生産する会社。ワイヤーハーネスの日本シェアNo.1である矢崎グループの子会社で、本社は南砺市にある。入社5年目の堂口裕水(ゆうな)さん(22)は、組立工程の班長として、みんなが作業をしやすいように表示作成などの業務改善、カンボジアの研修生の指導などを行う。どんなことも楽しむポジティブな性格で、ほかの社員とコミュニケーションを密にし、仕事をお願いしやすい関係性の構築に努めている。
企業情報はこちら
仕事も何でもポジティブに楽しむ
――会社について教えてもらえますか?
新越部品株式会社 上市工場は、ワイヤーハーネス(自動車用組電線)日本シェアNo.1の矢崎グループの子会社で、「北陸電装株式会社 上市工場」として昭和62年(1987年)に設立しました。平成24年(2012年)にグループ再編により社名を「新越部品株式会社」に変更。それまでは上市工場が本社でしたが、ここからは南砺市に本社を置いています。
――なぜ上市町に工場を建てられたのでしょうか。
元々矢崎グループは電線を製造しており、北陸電力とのつながりがあって上市町を紹介されました。トラックやタクシーのタコメーター(エンジンの回転数を表す機器)、乗用車の速度メーターなども製造しています。当時は車が爆発的に売れた時代。ワイヤーハーネスは、自動車の神経・血管に相当する電線の束であり、自動車が走行する上で安全性や利便性を確保するための電気・電子機器をつなぎ、電源供給・信号の伝送を行います。上市工場では、このワイヤーハーネスを一貫生産体制のもとで製造してきました。現在は観光バスのワイヤーハーネスを中心に作っています。
――では、堂口さんの入社の経緯を教えてもらえますか?
私は富山市出身です。普通科の高校を卒業して18歳で入社し、現在5年目です。高校3年生の秋に企業見学をした際に何社か回った中で、雰囲気が一番良かったこちらを選びました。工場長の荻野さんの優しい雰囲気や、女性が多くて和やかな空気が、働きやすいイメージを持たせてくれました。
――元々、工場でのお仕事を希望されていたんですか?
実は接客を希望していたんですが、ここなら仕事がしやすそうだと思いました。ワイヤーハーネス自体もここに入るまで知らなかったくらいですが、今では観光バスがニュースで取り上げられていると、不具合はないかとドキドキします。
――接客も似合いそうですね。ここで実際に働いてみていかがですか?
楽しいです。組み立てするための下準備や、電線にくっつく部品を圧着するのを「前(まえ)工程」と呼び、組み立てから検査までを「後(あと)工程」といいますが、私は後工程の担当です。検査にいる時間が長いので、モノとにらめっこしながら無心でできるのが好きです。組み立てたものの部品や長さなど、細かいところを検査するとき、完成見本と見比べて間違い探しのような感覚でやっています。あとは、「導通(どうつう)検査」と言って、正しいところに正しい電線が入っているかを機械で確認する検査などもあり、どの作業も好きです。
――本当にお好きなんですね。組み立てのほうはいかがですか?
組み立ては、車に組み付けるものを1人につき1つ作ります。細かいことは得意ではないので、モノを作るとか組み立て作業などの大きい仕事のほうが得意でやりやすいです。でも検査のほうが好きなんですよね。
――仕事をされる上でどんなことを心がけていますか?
不良を出さないよう心がけています。あとは、つまらないと思ったら負け。無心でやるか楽しくやるかなら、楽しくやったほうがいいと思っています。その場の雰囲気になじむのが得意で、何でも楽しむタイプなんです。嫌だと言いつつ、やれば楽しむ。やればやっただけ楽しくなります。「スーパーポジティブナルシスト」と言われるお笑い芸人ばりにポジティブです(笑)。
――いいですね~(笑)。
お願いしやすい関係づくり
――いま頑張っているのはどんなことですか?
生産を回すことです。3か月先のオーダーが入るので、大きい製品は先に先にと作っていきます。特に海外へ出荷するときは単位も大きいので、次の月に仕事が詰まってしまわないように采配します。
――堂口さんは組立工程の班長さんなんですよね。
はい、2018年4月に班長になりました。仕事の内容は、班のメンバーの誰に何を作ってもらうかの指示出しが増え、検査を行うことが少なくなりました。年齢層は自分の親世代の方もいますが、優しい人が多いのでやりやすいです。後工程全体で仲が良く、いい意味で個性的な人が多くて楽しいです。今は現場にいますが、休んだ人や作業が間に合っていないところの応援に入り、検査や組み立てなどを行うほか、作業がやりにくいところの「表示」を作っています。
――「表示」とは何ですか?
写真を撮って、作業のやり方を示すものです。
――かわいいイラストが使われていて、作業がわかりやすくなっていますね。堂口さんは立場的に、人に教える機会も多いと思いますが、どのようにされていますか。
いままでワイヤーハーネスを作ったことのない人に教える新人教育は、上の人にも相談に乗ってもらっています。現在、カンボジアから5人の研修生が来ていて、そのうち2人の指導を担当しています。身振り手振りで伝わるようにゆっくりしゃべり、言ってわからないときはやって見せる、日本語で書いてあげるなど工夫しています。日本語でいつも日誌ノートを書いてもらうのですが、そこにひらがなでコメントも書き入れますね。
――仕事でどんなことが大変ですか?
生産工程全体を見て、出荷がドッと集中して来たときに誰にどう分配するかの采配が大変です。また、バスの製品は重いもので30kgもあり、腕の力が必要なことや、電線にテープを巻くときにビニールテープを指で切ることなど…。電線にテープを巻くのは、ほかの会社ではやっていないことです。
――はさみは使われないんですか?
組立工程では、製品の近くではさみを使ってはいけないんです。万が一にも電線を切ってしまうと断線し、クレームの原因になってしまうので。テープは手でも切れるのではさみは使いません。
――どんな人がこの仕事に向いていますか?
細かい作業が好き・得意な人ですね。私はそんなに得意じゃないですが(笑)。あとは、やったことのないことをする、チャレンジ精神のある人です。例えば、テープ巻きなどは普通に生活していく中であまり関わりのないことですが、そんな風に、仕事で初めてすることもできるようになっていかなくてはなりません。
――学生時代にもっとしておけば良かったと思うのはどんなことですか?
情報の授業をもっときちんと受けておけば良かったと思います。日常業務には使いませんが、パソコンで表示を作る時などに役立ちます。
――では逆に、やっておいて良かったことは何ですか?
いろんな人としゃべり、仲良くなることです。元々めちゃめちゃ人見知りなんですが、あえて人と接することをしてきたので、フレンドリーにしゃべることができるようになりました。この会社の人はみんな結構フレンドリーで距離が近いですね。コミュニケーションをとることで、「これお願い」と言いやすい関係性を築くことができます。
――具体的にはどんな風にコミュニケーションをとられるんですか?
自分は食べなくても、疲れていそうな人を中心に、みんなに飴を配ったり声をかけたりします。
――なるほど。休憩は1日にどれくらいあるんですか?
10時に5分と、お昼に40分、15時に15分の計60分です。
上市町の駅伝やフォトロゲイニング大会にも参加
――上市町で働くことは堂口さんにとってどんな意味がありますか?
上市町にはおばあちゃんちがあるので、子どもの頃からよく来ていました。けれどこの会社のことは知らなかったです。会社から山が見えるのが好きなんですよ。虫は嫌ですが、自然を見るのが好きです。駐車場がいい立地にあるため、カモシカが横断するところや夕焼けも見ることができます。自宅は海の近くなので、山が近いのは新鮮に感じます。1日のうちで太陽に向かって出社して、太陽に向かって帰って行くため、常に眩しいです(笑)。
――上市町のフォトロゲイニング大会にも会社から協賛・参加されているんですよね。
はい。協賛し、上市工場は2017年の第3回でフォトスポットになっていました。私は第1回から第4回まで皆勤賞です。同僚と、社名の入ったおそろいのピンクのTシャツを着て参加しています。去年は味蔵で休憩がてら、イタリア米のジェラートを食べたのが美味しくて印象に残っています。
――ほかにも体力づくりは何かされていますか?
はい。会社から上市町駅伝に、私も含めた5人1チームで2~3チームが出場しています。2017年にはレディースの部で優勝しました。バドミントンのクラブもあり、町の大会にも出ました。中・高とテニス部だったので、元々体を動かすのが好きなんです。趣味でボルダリングを始めました。富山市の総合体育館やフィットネスへ行くこともあります。
――アクティブですね! お休みは運動がメインですか?
運動しているか寝ているか…どちらかです。最近は料理も始めました。カフェで本を読んでいることもありますよ。
――これから就職を考える学生さんにメッセージをお願いします。
無理をしない程度の、「自分でもできそうだな」「楽しそう」と思ったところに行くといいんじゃないでしょうか。「この仕事は合っていない」と思って入っても続かないですから。新越部品での仕事は、やってみて慣れていくしかないので、覚えるのには多少時間がかかりますが誰でも大丈夫です。
――最後に、今後の展望を教えてください。
生産を回すのが大変なので、いまと同様にきちんと回せたらいいなと思います。また、ほかのみんなが作業をやりやすいようになればいいなと思い、組立工程のやりにくいところを改善しています。検査は細かいところを見て目が疲れるため、その他のやりにくい部分も含めてどうにか改善してあげたいと思います。それによって不良や手直しの減少につながり、能率がアップすることにもつながります。
――さすが、班長さんなので班のみんなが仕事をしやすい環境を整えられているんですね。堂口さん、今日はどうもありがとうございました。
こちらこそありがとうございました。
第3回フォトロゲイニング大会には私も参加し、駐車場入口のところで写真を撮っていました。そんなご縁があったので、今回取材で中に入れていただくことができ、感慨深かったです。 社員の方で25歳以下の方は20人。全体的に女性のほうが多く、ワイヤーハーネスという自動車の部品を若い女性の方々が作られていることに驚きでした。
堂口さんは、22歳という若さでありながらみんなのことをよく考え、リーダーシップがあって素敵な女性でした。言葉の端々から、自分の仕事だけでなくみんなのことを考えられているのが伝わってきて、リーダーシップとはこういうものだと実感しました。
荻野工場長は堂口さんの言われる通り、柔和で面白い方。敷地内の池で鯉を飼育されたり、自分で育てたラベンダーでポプリを作られて休憩室に吊るされたりと、社員のみなさんの癒しや憩いとなることをされていて、とても興味深かったです。こういった遊び心があるのがいいですね。
また、工場内で実際に動いている「自動搬送車」を初めて見ることができ、心躍りました。先日、別の会社でイレクターを使った什器などの作業提案の話を聴いたところだったので、関連性を感じて嬉しかったです。
●DATA●
企業名 | 新越部品株式会社 上市工場 |
住所 | 上市町砂林開181 |
電話番号 | 076-472-1055 |
FAX番号 | 076-472-2677 |
ホームページ | http://www.shokoren-toyama.or.jp/~kamiichi/kami-kou/top-2.html |
Facebookページ | なし |
設立 |
1987年(昭和62年)1月21日 |
代表取締役 | 山岡 忠利 |
事業内容 | 自動車部品のひとつである自動車用組電線(ワイヤーハーネス)を設計から組立まで一貫生産体制のもと製造。当事業所では現在バスの製品を生産。あいおい損保代理店 |
会社・製品の強み | 自動車に必要な電線や情報回路をコンパクトに束ねたワイヤーハーネスの生産量は世界一を誇り、性能の良さにも定評があります。 |
上市町との関わり・創業の決め手 | 矢崎グループの子会社として設立。南砺市に本社があり、希少なバスの製品を上市工場で生産しています。 |
求職者へのメッセージ・アピール | ものづくりが好きで、チャレンジ精神旺盛な方をお待ちしています。 |
インターンシップ実施の有無 | なし |
資本金 | 1,000万円 |
勤務時間 | 8:00~17:00(休憩60分) *短時間(1日6時間程度・パートタイム・時給800円)勤務もご相談に応じます。 |
休日 | 日曜、その他年間休日カレンダーによる、年間113日 ・月3~4回程度土曜日休日あり ・年末年始、GW、お盆に9日間の連休あり 週休二日制、年間118日、その他(有給休暇など) |
従業員数 | 全体647人、上市工場97人(男性34人、女性63人) |
過去3年間の採用実績 | 2016年度 新卒5人 中途12人 2017年度 新卒4人 中途8人 2018年度 新卒2人 中途7人 |
福利厚生・情報 | 雇用保険、労災保険、健康保険、厚生年金、財形 退職金制度:あり(勤続1年以上)、退職金共済あり 資格支援制度あり、クラブ活動(バドミントン・マラソン)、社員旅行年1回 |