上市町ではたらく

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名所と名物、上市町産そばが変える風景

グラーノ

2021年4月にオープンした「十割そば専門店&喫茶グラーノ」。上市町内でそばを栽培し、隣接された製粉所で製粉、そのそば粉で製麺した十割そばを店舗で提供するだけでなく、そばを使用したオリジナル商品も多数展開するグラーノの木下ご夫妻にお話を伺いました。

 
 

上市産そばの誕生

 

――事業内容を教えていただけますか?

 

雅仁さん まず農業!

上市の放棄田等で自家栽培したそばを、隣の製粉所で粉にして、それを製麺して、水とそば粉だけで作る十割そばを作って提供しています。

 

――栽培から製粉・製麺までやっておられるんですね!そのようなそば屋さんは珍しいのでは?

 

雅仁さん 製粉の機械だけ置いている店は見かけますが、玄そばを選別して脱皮したりということからやっているお店はほとんどないかもしれませんね。

 

――開店されたのはいつですか?

 

雅仁さん 2021年の4月20日です。

元々木下工業という建設会社をしてまして、そば作りは趣味として5年ぐらい前から栽培をはじめて、今会社とは別に「グラーノ」の事業もやっています。

 

――この事業を始められたきっかけ・思いをお聞かせいただけますか?

 

雅仁さん 自分でも田んぼを持っていて、自分で作ったそばを食べたいという思いで、少量ですけど栽培していたんですが、やっぱり今上市で農業している人がどんどん少なくなってきていて、放棄される田んぼが増えてきているという状況で、そういう田んぼをそば畑に変えていくことで、景観も良くなりますし、白い花が一面に咲くとものすごく綺麗なので、それで観光客も来るんじゃないか、町を盛り上げられないかなという思いもありました。花が咲いた時のきれいな風景もそばの大きな魅力ですから。

 

 

――町の名所・名物を作ろうという思いもあったということですね。

 

雅仁さん そういう気持ちはすごくありました。

ただそばを食べるということだけではなくて、その景色を見に人が集まってくるようになればいいなという思いが一番強かったです。

 

――実際上市の気候は蕎麦の栽培に適しているんですか?

 

雅仁さん 適してますよ。

 

――上市のどの辺で栽培しておられるんですか?

 

雅仁さん ゆのみこ温泉の裏の方とか、大岩に行く途中とか、館とか柿沢とかその辺で栽培しています。

 

――今後増やしていかれたりという思いもありますか?

 

雅仁さん もちろん増やしていきたいなと思っています。今田んぼをやる人も減ってきているので、町の方からも「ここやってもらえないか?」という話もあってそういう形でも増えてきています。今現在15町(1町=100m×100m)の田んぼ跡でそば栽培をしています。

 

――たくさん栽培されてるんですね。栽培は何人でやっておられるんですか?

 

雅仁さん 栽培ほとんど私1人です。草刈りとか人でのいる作業はアルバイトで手伝ってもらうこともありますけど、基本的には1人でやっています。

 

――それだけの面積やっておられるとなると、お店での提供だけではなく材料としても販売されているんでしょうか?

 

雅仁さん 業務用に卸もやっています。そば屋さんに玄そばで卸したり、粉にして卸したり、製粉だけ請け負うこともあります。

 

――栽培・中間加工・販売・提供全てをやっておられるんですね。地元で栽培されたそばを地元で製粉製麺してそれを食べることができるという地域は少ないのではないでしょうか!

 

雅仁さん そうですね。あまりないかもしれませんね。八尾かここぐらいしかないかもしれませんね。

 

 

 

そば喫茶とオリジナル商品の販売

――次にお店についてお聞かせいただけますか?

 

清美さん はい。ざるそばや天ぷらそばなど、そばのメニューもありますし、喫茶のメニューもあって、コーヒー一杯でもお気軽にご利用いただけます。

 

――お店でこだわっておられることや心がけておられることなどありますか?

 

清美さん 3つあります。「健康」「楽しい食事」「お腹いっぱい」です。

そば自体、本当に健康に良いものなので、お店で出すものも健康に気遣ったものを出しています。それと、お腹いっぱいになって帰ってもらいたいという思いは強くて、無料のトッピングコーナーも充実させています。

 

――お店をオープンされてどんな反響がありましたか?

 

清美さん 「こういう気軽に入れるところができてよかったわぁ」とか「美味しくて楽しみにこれる店ができて嬉しい」とかそういう声をよくいただきます。地元の方に憩いの場として親しんでもらえていて嬉しい気持ちになります。

お店があることで、栽培したそばを食べたお客さんの「美味しい」っていう言葉が聞けるので、その喜びでまたそばの栽培を頑張ってもらえるし、お店も頑張れるし、それはお店やっててよかったなあと思うところです。とても力をいただいています。

 

 

――オリジナル商品も本当にたくさん揃えておられますね!

 

雅仁さん そばでいろんなものを作りたくて、業者さんにうちのそば粉を持ち込んで作ってもらっています。例えばカステラやどら焼きは地元の花月堂さんにお願いしてますし、そのほかにもアイスクリーム、そばのパスタ、乾麺なども同じようにうちのそば粉を使ってオリジナルで作ってもらっています。

 

清美さん こういうものはできますか?ってお願いして試作してもらって商品化しています。今も色々と作りたいものがあって相談しているところです。

 

雅仁さん 今オリジナル商品は有磯海サービスエリア、呉羽サービスエリアや宇奈月のビール館にも置いていただいてまして、お土産品としても展開しています。

 

――上市町で事業をする上での魅力ってありますか?

 

雅仁さん 私は元々上市の生まれで、仕事の都合で一旦富山市の方に出て26歳で戻ってきたんですけど、立山連峰・剱岳が一番綺麗に見えるところって上市だと思うんですよ。大岩とかいいところもあるし、水も美味しいし、上市って私好きなんですけど、もっと人が集まって来れるようなものがあったらいいなと。私もこの歳なので町に貢献できるようなこと、何ができるかなと思って今この事業をやってるんですけど、今やっていることって例えば富山市内ではなかなかできないと思うんですよ。放棄田のことであったりこの上市の自然環境だからこそできることだと思っています。

 

――今後の展望をお教えてください。

 

雅仁さん 田んぼを辞められる農家の方もどんどん増えていますし、今後はもっとそばの栽培に力を入れていきたいです。

福井県や長野県など、他の県では有名なそばの産地がありますが、富山県ももっとそばの産地として有名になればいいなと思っています。これから収穫量を増やして、地元産のそばとして普及していくことで、ひとつのブランドとして認知度を高めていきたいです。うちのそばの品種は「とよむすめ」という品種で、粒が大きくて美味しいんですよ。美味しいそばを楽しんでもらえるように、お店の方もこれからも2人で真心込めて頑張っていきたいです!

 

 

 

●取材者ITO’s VOICE●

グラーノさんがオープンした当初その外観から、カフェができたのかなと思っておりましたが、まさか地元でそばの栽培から手掛けておられる十割そばを出すお店だったということで驚きました。原材料を生産して製粉・製麺と中間加工や卸売まで、お2人で6次産業をやっておられるということもわかってさらに驚きましたが、その背景には放棄田をそば畑に変えることで町の名所にして盛り上げたいという思いや、そばの産地として認知度を高めていきたいという地域愛があって感銘を受けました。今後上市町産のそばが地域の名産品となっていくといいなと心から思います。

●DATA●

企業名 グラーノ
住所

上市町湯上野1300

電話番号 076-473-7770
代表取締役 木下 雅仁
事業内容 そば栽培、販売、そば店
会社・製品の強み 自家栽培、製粉、製麺
営業時間 火〜金 11:00〜18:00  土日祝 11:00〜14:30
定休日 月曜日

 


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