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はたらくらすコネクションin上市 > ブログ > INTERVIEW > ハッピー上市会座談会【前編】
こんにちは。ブログ担当の大室です。突然ですが「ハッピー上市会」って知ってますか?
富山県の中小企業家同友会という集まりから派生して立ち上げられた、上市のことならなんでも話せる会で、月に1回の会合を約7年前からやってるそうです。
私は、このブログの担当が決まった今年の5月に初めて行ってみたんですが「こんなに色んな人が集まって様々な試みをしている会があるなんて、上市ってすごい!」と思いました!
そんなハッピー上市会をぜひ多くの方に知ってもらいたい、町の魅力として紹介したい……ということで、会長・副会長と、最近の集まりでプレゼンしてくれたお二人に来てもらって、色々お話ししてもらいました。
座談会メンバー
(左から、高田大輔さん、松井健彰さん、小柴順子さん、西川由香さん、大室。松井エネルギーモータースジョイカル上市中央店にて)
小柴順子さん
株式会社コージン(上市町森尻)会長。ハッピー上市会の会長として立ち上げから現在まで会を率いてこられました。
松井健彰さん
松井エネルギーモータース株式会社(上市町正印)代表取締役。ハッピー上市会の副会長として、会長を支えながら会の運営に携わっておられます。
西川由香さん
株式会社とやまヒューマンサービス執行役員・上市事業部長。ひなたぼっこ上市(上市町稗田)管理者。今年7月のハッピー上市会の会合で「認知症になっても自宅で暮らせる町」と題して、プレゼンして下さいました。
高田大輔さん
有限会社高田鉄工(上市町森尻)代表取締役社長、上市町空き家再生プロジェクト代表。今年8月のハッピー上市会会合で「にぎわう上市を創るためには」と題し、地域の産業育成についてプレゼンして下さいました。
※記事では敬称略
自己紹介
みなさん、本日はお忙しいところお集まり頂きありがとうございます。まずは自己紹介をお願いします。
小柴 電気機械器具部品製造業 株式会社コージンの会長をしております、小柴順子と申します。具体的には、産業機械、ロボット、電気自動車、ハイブリッド車などの部品を作っております。
松井 上市町で現在はガソリンスタンドを2軒と、自動車販売・整備の拠点と、全部で三つさせて頂いております、松井エネルギーモータース代表の松井と申します。
高田 有限会社高田鉄工の高田と申します。上市町の森尻の方で事業をやらせて頂いております。鉄骨、鉄工所、今ここにある松井エネルギーモータースさんも建てさせて頂いた、建築の仕事をさせて頂いております、そちらで代表を務めさせて頂いております。
西川 株式会社とやまヒューマンサービスの西川です。上市では、ひなたぼっこ上市、ハッピーとやま上市、お気良倶上市の事業所名で、介護あんしんアパートなども運営している会社の事業部長をしています。
ハッピー上市会のはじまり
早速ですが、ハッピー上市会はどのような経緯でできたんですか?
小柴 これまで40年間上市町で商売させて頂いて、自分のできることで何か町にお返ししたいというか……恩返ししたいという思いがだんだん強くなってきたんですね。
そんな時、中小企業家同友会の勉強会で「エコノミック・ガーデニング」について学ぶ機会がありました。地域の経済を活性化するには「お店や事業所など地域の産業を発展させ雇用を生み出し、町の経済を循環させていく」というお話でした。アメリカの事例ですが15年間で雇用が2倍、税収は3倍を達成した市があったとのことでした。
小柴 その勉強会があったのは、2013年頃でした。当時「消滅する可能性のある都市」の中に上市町が入っていました。「これは大変!何とかしなきゃいけない!このまま何もしなければ上市町がなくなってしまうかもしれない」というので、中小企業家同友会の上市におられる会員さんにお声かけして、課題解決するために一緒に活動しようと立ち上がったのがハッピー上市会の始まりです。
ハッピー上市会への参加のきっかけ
町への恩返しという思いが出発点だったんですね。他のみなさんは参加のきっかけは?
松井 小柴会長と、当時は中小企業家同友会で共に学ぶ仲間だった山崎県議から「上市町でこういうことを考えているんだけど」というお声がけがあって、それで初めて行って、ぜひ参加させて頂きたいなというのがきっかけです。
なんですけど、元を辿っていくと……その時は経営者になって4年目くらいで、自社の存在意義とか、ここまでの歩みみたいなのを振り返ってみたりする機会があって。
それを振り返ってみると、創業がうちの祖父なんですけど、昭和37(1962)年に自宅の稗田という場所でですね、自宅の玄関先で日用雑貨店を始めたんですね。戦争に行ってきて色々と体に不自由があったもので、お世話になった近所の皆さんのお役に立ちたいということで始めたんです。徒歩だと30分ほどかかる町中まで行かなくても、麦わら帽子や鎌、軍手だとかが手に入るように、ということですね。
松井 で、そのうちに家庭のカマドがガスコンロになってきて、それでプロパンガスを入れさせて頂くようになりました。そして今度はお風呂が自宅につきだして、灯油の配達をさせて頂いて……で昭和45(1970)年、車がどんどん増え出したところで「ガソリンスタンドこの辺でやってみたらどうけ」という声も頂いて、ガソリンスタンドを始めて……そういった形で自動車の販売とか自動車の整備とかで今に至るんですけど。
やっぱりそういうのを振り返ってみると、地域のみなさんの色んなお声に耳を傾けて、その中で成長させて頂いた企業だということが改めて、自分の中ですごく腹に落ちたんですよ。
そういう「何か地域に返して行かなきゃいけないな」と思ってた頃にハッピー上市会のお話を頂いて「ああこれはぜひ自分も立ち上げに加わらせて頂きたいな」ということで参加しました。
町のみなさんと共に歩みながら事業を発展させてきた、という背景があったんですね。
高田 僕が初めてハッピー上市会さんに参加させて頂いたのは、松井さんからのお声がけで、6年前かと思います。僕も中小企業家同友会で色々勉強させて頂いた時に「会社経営=社会性」と言いますか、地域に対して何かをする、地域が盛り上がることによってその地域の企業も盛り上がるということが自然と頭の中にはあったことなので……
西川 私の最初の参加は2016か2017年だったと思います。うちの若い男性職員が「こういう会があって参加してみたいんだけど」って言ってきて「そうなんだ〜」って。「西川さんも行かないですか?」って言われて、ちょっと参加させて頂いたんですね。
その時は中小企業の経営者の方ばかりで、私はその頃いち社員で「こんなとこにいてもいいんだろうか??」っていう思いが強かったんです。で、会社の会議の日と重なることも多くて、2年間ほどブランクがあったんですね。
そして2年後に、松井さんに上市高校さんの職場見学の枠をわざわざ作って頂いて、再度参加という形になった時にですね、すごく大きな会になっていて「すごいな!!」と思って……行政の方も上市高校の先生方もおられて。それからはなるべく休まないように参加しようと思って、会社では事業部長というような立場にさせて頂いて、少し自分の思いが先行できるようになったので、参加させて頂いたという形です。
プレゼンについて
どうしてハッピー上市会でプレゼンしようと思ったんですか?
高田 「まちづくり」とか「地域を盛り上げる」とかって、よう分からんがんがですよね、正直言うと。
ただ、財力も時間も限られた中で次第に、自分の事業ともつなげやすく、かつ町も困っとることがだんだん合致して行動につながったことがあったんですね。たまたまその時に松井社長からプレゼンする機会を頂きました。私の何年間かの中間報告のような形で発表させて頂いた感じになります。
私も聞いてましたが、空き家再生プロジェクトなどすごく興味深いお話でしたよね。
高田 ゼロから1を作るようなことをやってるので、プレゼンの後のグループディスカッションでは行政の方などから「こういうことすればさらに良くなるんじゃない?」というご意見も頂きました。
西川さんは「認知症になっても自宅で暮らせる町」というプレゼンをしてくれましたが、きっかけは?
西川 「私がここでできることって一体何かな?」とハッピー上市会に参加しながら色々考えていて……会社の理念の中に「明るく豊かな地域社会の創造を追求する」という言葉があるんですね。
会社としても地域にもっと役に立てること、それによって職員が成長できることをどんどん行っていくという理念なんですが「地域で困ってることは何かな」ということを考えた時に、認知症ということが浮かんできて。
西川 ぜひ町として関わっていく何かのきっかけにならないかなということで、松井さんに「実はこういうことさせて欲しいんだけど」って言ったらご賛同頂いて。
「プレゼンがとても参考になった」という感想が多かったみたいですね。
これからのまちづくり
松井 これからその部門広がっていくと思いますね、ぜひ何か上市町で強みにしていきたいというお話が出てましたし、これから具体的な流れにできたら。
西川 高齢者多いのでね、やっぱり切実な思いだと思うんですよね、皆さん。そこになんとか関われたらなと思います。
小柴 ハッピー上市会を立ち上げた当初は経営者を中心にと思っていましたが、社員さんだったり、地域一般の方だったり、色んな方にどんどん参加して頂き、連携しながら町を元気にしたいという思いがより強くなってきました。参加者が自由に意見交換や問題提起が出来、皆さんで共有する。そして一人一人出来ることで協力し、実行する仲間を増やし、町の活性化につなげたいと思います。
松井 地域づくりというのは、ひとりのスーパーマンがやることじゃなく、できるだけ多くの、しかもいろんな立場の方々が、自分のできる一歩を踏み出すこと、これが大きな力になる。会長ともいつも話してるんですが、できるだけ色んな方が色んな意見を言える場にしていきたい。僕は高田さんになれんし、高田さんも西川さんになれんし、それぞれの持っとる中で、気づきとか発信、これが大きな力になっていくんですよね。
小柴 どんどん輪が広がっていくような気がしますね。このコロナ禍の2年間苦しんできましたけど、リモートで開催も出来るようになりました。
松井 それで町の「第8次上市町総合計画」ってできたじゃないですか。その策定にハッピー上市会もかなり参画できたんですけど「最終的に目指すとこはここだよ」っていうのができたんですよ。
小柴 8年間のハッピー上市会のみなさんの町への思いの表れが、反映されたと思います。今までの第7次までの計画は行政中心で、町民の意見や思いがあまり取り入れられていなかったと思います。どこの市町村でも、計画は行政の仕事だったからでしょうか。
これから、行政と町民が一緒に町の課題に取り組むためには、町民の意見を取り入れた計画にということで、ハッピー上市会もワーキンググループの一つに選んで頂きました。行政の方と一緒に何回も議論を重ね、3つの提案をしました。審議委員会でも採択していただき、行政と住民が協力し、素晴らしい計画が出来たと思います。これはおそらく県内でも上市が最初ですね。
松井 これは作って終わりじゃないですからね。作って始まりなので。
暮らしとハッピー上市会
ここまでお仕事のお話を中心に伺ってきましたが、仕事だけでなく暮らしにも、ハッピー上市会の影響はありますか?
西川 プレゼンさせて頂いた時に、じゃあ自分は地域に、いち西川由香として、地域に戻ったら何やっているかなというと、やってないんですよやっぱり(笑い)
(一同:笑い)
西川 町内会とかなかなかできないし……じゃあ何ができるのかなと。お節介かも知れないけど、隣のお父さんにちょっと勇気を出して「草刈りしようか」って、今まで絶対言えなかったんですけどちょっとできたりとか。ここで自分が言ったからには、やっていかないといけないなというか(笑い)
(一同:笑い)
プレゼンがご自身にもすごく良く作用しているんですね。
高田 僕も西川さんと同じで、個人で見たら町内活動に参加しているかっていうと、ほぼほぼしていないっていう(笑い)
(一同:笑い)
松井 高田さんのところはお父さんとか、おばあちゃんとかがやってるよね。
高田 そうそう、会社としても溝さらいとか草刈りとかくらいはやっとんがんですけど……
ただハッピー上市会でいろんな行政の方との繋がりを持てたことによって、今の空き家再生のこともやり始めてるんですよね。
これは森尻の人たちに今すぐ何か役に立つ訳じゃないですけど、将来的には上市全土の人には関係してくることかなって思ってまして、そういう形での繋がりがあるかなと思います。
なるほど、回り回って町全体を少しずつ変化させていく感じですね。
大変だったことと仲間
ところで、活動にあたり大変なこともあると思いますが……
松井 忙しい中仕事もあるし、地域活動も大変じゃないかという質問に対しては、それはないです。地元の中小企業の経営者の仕事の半分は地域づくりだと思っていて、仕事としてやっています。
お金が発生するものだけが仕事という訳ではなく、地域を作っていくのが事業経営者の仕事の一つだと思ってますので、ちゃんと時間を作って取り組んでいます。
金銭的利益を出すだけが仕事じゃないというお話、興味深いですね。
地域に密着した顔が見える関係でのお仕事だからでしょうか、いわゆる「職住近接」の強みですよね。
松井 ただ、あえて大変だったことと言えば、約7年半のハッピー上市会の活動の中で、あるとき会の規模がいきなりシュッと小さくなってしまったことがあったんですね。なかなか思いが伝わりにくかったりとか……
回を重ねてやっていくことで、色んな方が理解を示して集まってくれるようになりましたが、そこまでは大変な面もありました。
小柴 3年目くらいでしたかね。どんどん参加人数が少なくなりまして、ひどいときは私と松井さんと、もう1〜2人で……
当時「どんなことをやって行こうか」と色々相談して、朝日町や射水市を始め他地域の団体の取り組みを勉強することにしました。そのうちに「どうしたら町の皆さんが、上市でもっと元気に幸せに暮らせるか」っていう思いが強まってきて、また再度色々な方に声をかけたりして、輪を広げていきました。
辛い時でもね、松井さんはじめ一緒にいる仲間がいたから、相談しながらなんとかここまで来れたと思います。
仲間って感じしますよね。
仕事以外で、自分の住んでるところのそばでこういったネットワーク、人間関係って築きにくいところもあると思うんですけども、上市だとこの会があるお陰で、すごく良い人間関係ができてきていますね。
(後編に続く)