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アミューズメントパークのようなコンビニ
ファミリーマート上市中央店(元・サークルK上市中央店)
上市町役場の前にあるコンビニエンスストア。平成29年1月13日にサークルKからファミリーマートにブランド転換した。店内には工夫を凝らしたPOPや商品が充実し、ほかのコンビニエンスストアとは異質な、まるでアミューズメントパークのようなワクワクする雰囲気に包まれている。イベント時にはスタッフがコスプレでお出迎えするなど、とにかく楽しさであふれたお店。サークルK時代から、店長である久我さんのファンだというお客さんも多く、常に人が途切れることがないほどにぎわっている繁盛店だ。
お客さんに楽しく買い物をしてもらいたい
――まずこのPOP、すごく目を引きますね。商品もすごく充実しているし…。お店づくりの秘訣は何ですか?
「ご来店いただいたお客様にワクワクしてお買い物を楽しんでいただきたい」っていう思いが1番なの。普通のコンビニと比べてアイテム数はすごく多い。例えばパンの種類は日替わりで交互に取っているものもある。限られたスペースでより多くの商品を配置するために、棚を高くしてPOPで目を引くっていう工夫をしてるの。目立つ大きな販促物も実はほとんど段ボールとか布などの廃材や、ダイソーで買ってきた画用紙とかで、極力お金をかけずに作ってる。バックヤードの引き出しには、1年分のPOPを作ってストックしてあるのよ。
――全部手作りなんですね。繰り返し使えるようにラミネートもされてるし…。見ていてワクワクします。では、ここならではで買える商品ってどんなものでしょう?
オリジナル商品も充実してるし、地酒、仏花かな。仏花は年中置いてあるから喜ばれるよ。地酒は、地元上市町白萩地区の酒米で作っている「白萩」をはじめ、「満寿泉」や県内酒造のラインナップを揃えているので、おみやげにしてもらいたい。地域密着のお店として、自分だけの利益を追求するのではなく相手にも儲かってほしい。「win-win」ね。
特におでんはこだわりを持って仕込んでいて、オペレーション(計画)以上の手間暇をかけている。だから美味しいって言われるし、「夕食のおかずに」と、夕方に家族の人数分のおでんを買いに来るお客さんも多いの。家族の人数分を買うと、店頭に置いてあるおでんの容器では入りきらないでしょう? だからたくさんおでんを買うお客さんのために、うちではタッパの貸し出しもしてるのよ。
――人気の秘訣ですね。どうすればそんなに販売力が上がるんですか?
普段、PTAやボーイスカウトなどボランティアで頑張っていることで人脈が広がって、久我ファンになってくれる人が多く、お店に会いに来てくれるのよ。私と喋りたくて来てくれる人も多いしね。集いの場としての役割を担っているのかもしれないね。
――なるほど~。「ここに来れば久我さんに会える」と。久我さんの人柄ですね。
上市町の活性化の為にイベントにも積極的に協力していて、毎年10月に開催されているフォトロゲイニングの時は、チェックポイントとして、立ち寄り者全員におでんを無料で振舞っているの。チェックポイント通過者は毎回トップ。450人を超える参加者のほとんどの方が立ち寄って行かれます。こちらもたくさんのコスプレ参加者を迎えるのが楽しみですね。
お客様満足度を高める店づくり
――店づくりで力を入れているポイントは?
接客には1番力を注いでるね。新人研修で必ず言うのが、「あなたの笑顔と真心を添えて販売してね」っていうこと。お客さんは安い商品を買いたければ、スーパーに行けばいいし、急いでいるなら自販機がある。でも「ここでは商品だけを売るのではなく、あなたの真心も一緒に添えてね。値引きしてあげるのも嬉しいかもしれないけど、あなたの真心添えて接客したコーヒーはお客様にとって、とっても美味しいと思うよ」って言ってスタッフを育てる。そうすることで、100円のコーヒーにすごく付加価値がつくんね。テレビでキャビンアテンダントがいびきのうるさいお客様に、ほかのお客様に迷惑だからと直接注意するのではなく「お寒くないですか?」「のどが渇いていませんか?」と声をかけてさりげなく起こすのを見て、私も接客のプロとして、相手に心地よくお買い物をしていただきたいなと思った。
――お客様みんなのことを思って、ですね。
うん。声掛けも、押し売りじゃなくて「揚げたてです」や「セール中です」という「いい情報」をお知らせするつもりで言えば、こちらも心地よくできる。それが真心教育だね。儲けようというんじゃなくて、いろんな商品をお客様に買っていただいて喜んでもらいたい。コンビニの社会的地位は低いけど、ホテルの従業員のようにお客様満足度を高める店づくりをしようという気持ちでやってるの。だからスタッフにも、接客のプロとしておもてなしすることを教える。お客様から「いつ来てもスタッフの対応がすごくいいね」って、私じゃなくてスタッフが褒められたときが1番嬉しい。他店との差別化を図るために、会社独自でスタッフ向けのおもてなしセミナーを企画しています。スタッフがおもてなし集団化し、更なる接客のプロを目指します。
――接客のプロ! 確かに、いつも明るく元気な職場ですよね。
楽しい職場だよー。お客様から「いつも元気やのぉ」って言われるし、たまに引かれてしまうこともあるくらい(笑)。
――(笑)。ほとんどが女性スタッフですか?
そうね。女性の多い職場で、全12人中男性スタッフは4人。コンビニは細かい仕事が多いから、女性に向いてるの。夜中のシフトもあるけど、女性が多い方が売場が整うっていうこともあるね。でも、学生や若い男の子たちも、どんどん戦力になってくれているから、スタッフの成長も楽しみなんです。
頑張りのルーツ
――お店の立ち上げはどんな風だったんですか?
元々この場所にはセーブオンがあって、私はそこのバイトをしていたの。で、道挟んだ向かい、いまクリーニング店がある場所にサークルKがあった。上市に引っ越してきたばかりで3番目の子どもも2歳と小さかったし、最初は単なる1日4時間のアルバイトのつもりだったの。で、入って4か月で4番目の子を妊娠して、産まれるギリギリまで働いた。子宝のルーツは私かも。出産後は2か月で復帰して、いつの間にか経営者になっていたの(笑)。でもその1年後にセーブオンが撤退を決めて…。友人のつてで堀田社長から声をかけられ、平成16年8月にサークルKの店長をすることに決めた。30代後半で乳飲み子を抱えて、周りには「絶対無理でしょ」と言われたけどやってきた。立ち上げはいっぱいいっぱいで苦しかったけど、「女性だからできない」というのではなく、「できる人がやればいい」と思っていろんなことに挑戦してきたよ。男性の中で自分1人でも怖くない。PTA会長も、男女共同参画推進員でも上市の代表を務めたくらい。
――凄すぎです…。どうしてそんなに頑張れるんですか?
多分、人からやれって言われたことはしないと思うね(笑)。自分がやりたいことをやってきた。小さい時は「おはよう」も言えないくらい引っ込み思案だったけど、小学生のときにある先生に出会って、答えられたのを褒められたことが自信になった。4年生のとき、100ページある大学ノートが配られたの。そして、「好きなことを好きなだけ勉強して来られ」っていう自主性の宿題を出され、5ページ書くとシールが当たったんね。だから人の2倍努力して、毎日5時間かけて10ページやっていった。その時からエネルギーがあったのかも。
――小学生で5時間勉強って…(絶句)。
今も精一杯頑張っとるよ。その時その時で一生懸命。よく、久我さんだからできる、できて当たり前とか言われる。過去の自分の成績がライバルだから、それに勝つことが目標。選択肢があったら難しい方、辛い方を選ぶ。自分で自分の背中を押すのよ。若い時の失敗は恥ずかしいことじゃないからね。やらないで後悔はしたくない。いつもしんどくて…、だけど、前だけ向いて突き進む。
――力強い言葉ですね。励みになります!
若手の人材育成にも積極的
――今、若い人たちの人材育成にも貢献していらっしゃるそうですね。
若い子たちには、社会で間に合う人に育って欲しいというのが私の願い。うちにアルバイトに来た男子高校生の話なんだけど、その子、初めてのアルバイトがうちだったの。最初は他の女性スタッフに話しかけることができずに、ただ立っているだけでね。同じシフトのパートさんから「あの子、ずっと立ってて何もしない」ってクレームが出たの。それで私は「高校生がおばちゃんばっかりのところに来たんだから、あの子からは話しかけづらいはず。あなたたちから『外のゴミ箱、いっぱいになってないか見てきてくれる?』とか、声かけてみて。本当は動ける子だから」と言ってみたの。そしたら、その子なりに、このタイミングでこの仕事が必要だということがわかってきたみたいで、パートさんが声をかけようとしたら、本人から「今、行こうと思ってました!」って言葉が出るようになって、積極的に動くようになってくれたの。その後、パートさんが何も言わなくても、その子自身で「こうしたほうがいい」って判断できるようになって、自主的に動いてくれる子に成長してくれたの。
――それはすごい成長ぶりですね!
私、その子にヒーロー賞をあげたの。本人は「なんで俺なん?もっと俺より仕事できる人いるのに…」ってびっくりしてたけどね。でも、私はその子にあげたかった。「最初は、言われないと動けなかったあなたが、教えてもらって動けるようになって、そのうち何も言わなくても自発的に動けるようになったよね。私はその成長幅にヒーロー賞をあげたかったの」と言ったら、本人もすごい喜んでたよ。いろんなタイプの子がいるけど、中でも、自分から気づいて動くことができない子は、学校でも家庭でも叱られることはあっても、褒められることがないから、劣等感を持っているのね。他の人からすると当たり前のことでも、できなかったことができるようになって、それを褒められたら嬉しいでしょう?劣等感を持っている子には、成長を褒められる経験をしてもらいたいな、と思っているの。
――高校にも出向いていらっしゃるとか。
ご縁があって、ある高校で就職を目指している子どもたちの面接官をしとるんね。この前やったのは、女の子のグループ。目を隠してしまうような前髪とか、ポニーテールで触角(耳横の髪を細く下げること。虫の触角に似ていることから名付けられ、顔が小さく見えると女子中高生に人気のヘアスタイル。)作っている子とかいっぱいおるんよ。まぁ、おしゃれしたい年頃だからわかるけど、面接ではNGでしょ。とはいっても、大人から一方的に「それはダメ」と言われても、彼女たちは納得できないじゃない。だから、彼女たちにも面接官役をしてもらったの。普段のあなたたちの服装、髪型、言葉づかいが、面接官として見るとどう見える?って。面接官役の子には、「受験者役の子に、良いところと、ここをこうするともっと良くなるよというところを教えてあげてください」って伝えたの。そうすると、彼女たちにもなぜ良くないのかがちゃんとわかるんだよね。
――なるほど。その子のまだ見えていない可能性を信じて伸ばしてあげる声かけは、子育ての参考にもなります。今日はお話が聴けて良かったです。ありがとうございました。
こちらこそ、ありがとうございました。
お客さんからの声
毎日訪れるという70代の女性客は、「店長はじめ皆さんの接客が1番素晴らしい。笑顔で。店長の久我さんの指導がいいからだね。何か探してるとそばへ来て教えてくれ、親切味がある。場所的にも入りやすいから、スーパーへ行くと安いけど、ここでイチゴや牛乳、ヨーグルトなどを買いに来るの」と話してくれた。
また、1人で自転車に乗って買い物に来ていた10歳の男の子は「たまに来るよ。10円の駄菓子とか、安いものがいろいろあるから」と話し、30代の男性は「入りやすい場所にあるのと、仕事場が近いから毎日来てる。スポーツ紙の部数が多い。パンの種類も多くて、好きなパンが置いてあるのもいい。今日だけでこれで3回目(の来店!)」と話してくれた。
店内に一歩足を踏み入れると、商品の量やPOPに驚かされます。「こんなのを考えられるなんて、すごい!」と思わされる、巨大なプリンや焦げ目の付いた巨大焼きとりなどの数々…。POPのアイデアは久我さんが出し、イメージをスタッフに伝えているそうです。「見て見て~」と訴えかけてくるPOP達を見て、サービス業であればどんな職種でも参考になる部分が多いのではと思いました。
ほかにも、「人気のあるお店づくり」のポイントを大盤振る舞いで教えてもらえました。とても参考になりますが、決して誰にでもできることではないと思います。久我さんに会うと、「こんなに頑張っている人がいるんだから、私も頑張ろう」と元気をもらえますよ。そこにこそ、集客の秘訣があるのかもしれませんね。
●DATA●
企業名 | ファミリーマート上市中央店(元・サークルK上市中央店) |
住所 | 上市町横法音寺82-1 |
電話番号 | 0764737555 |
FAX番号 | 0764737555 |
kuga.namiko@gmail.com | |
設立年月日 |
平成16年8月29日 平成28年5月20日 平成29年1月13日 |
代表 | 久我奈美子 |
事業内容 | コンビニエンスストア業務(商品の品出し、陳列、発注、レジ接客、その他) |
勤務時間 | 1日24時間のうち8時間(週40時間)程度、残業あり。 (早朝や夕方の短時間アルバイトや土日のみ、 平日週3日の半日、週1~2日の勤務も可) |
休日 | 勤務希望に合わせたシフト制。その他有給休暇など。店舗は年中無休 |
ホームページ | なし |
Facebookページ | https://facebook.com/namiko.kuga30082/ |
主力製品・商品 | おでん、お弁当、ドリンク、雑誌、新聞、カウンターフーズ |