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新巻鮭!
上市町のデザイナー伊東です。
あけましておめでとうございます。
本年もよろしくお願い致します。
昨年末に、妻がカミールのスーパー(元気市場つるぎさん)で新巻鮭の切り身を買いまして、
あの、よく魚屋さんの店先に吊るされてる年末の風物詩ともいうべき鮭。その切り身ですね。
それを年明け1月3日にいただいたのですが、
なんだか新年早々「ヘウレーカ!」と叫びたくなるような発見、
といったら大げさですね。「気づき」がありました。
新巻鮭、年末年始でなくても売られていたりするので日常的にも食べることはできるのですが、
私は塩鮭は甘塩派。
なので、塩味のきつい新巻鮭ほとんど食べることがありませんでした。
背中側の身は肉厚なのでそれほどでもないのですが、
腹側や皮なんかは塩粒が浮き上がっていて、一欠片でご飯一膳いけるぐらいです。
前に一度食べた時はそのしょっからい部分は残してしまいました。
しかし、鮭の皮好きの私からすると、本来一番美味しいところを残してしまった事が悔しく、
心残りでなりませんでした。
未練というのでしょうか。
もう一度アイツとやり直したい。
そんな気持ちでいっぱいでした。
それから数ヶ月を経て、今年の年明けにチャンスが訪れたという訳です。
1月3日、食卓に上った新巻鮭と対峙した時、
気がつきました。
その前に、なぜこんなにしょっぱいのか、それは言うまでもなく保存のためです。
鮭の塩漬けは室町時代からあるそうで、もちろん冷蔵庫もない時代ですからしっかり塩漬けして殺菌・制菌しておかなければいけなかったと言う必然的な理由による塩気です。
ただ、この頃の鮭の塩漬けは、塩でガッチリ固めていたため、今のものよりずっとしょっからく、
まるで塩の塊を食べているような味だったそうです。
これが現代まで続く「新巻鮭」になったのは江戸時代の後期とのことで、
鮭のハラワタやエラを取り除き、十分に水洗いをしてから甘塩(うす塩)をしてワラで巻くという製法を
工楽松右衛門という発明家の方が考案したそうです。
塩の塊のようだと味を二の次にしてまで保存が効くようにして、
飛脚が大切に届けてくれたものを、その時代の人が無駄にするはずがありません。
この部分を捨てるはずがない。
前回同様残った「しょっからい部分」を見つめながら、妻に言いました。
「なぜ鮭茶漬けというものが生まれたか分かる気がする。」
と、それらを箸や手でちぎりご飯の上に乗せ、
熱いお茶をかけてさらに身をほぐして、
そのお茶をすすると、もはやスープ。
鮭の旨味と作り継がれてきた歴史が詰まった深い味わいに変化していたのです。
薄っすらと焦げた皮が香ばしくて野性味があって、非常に良いアクセント。
塩加減は程よく、というかスープとしては薄味なくらい。
お茶に旨味を浸み出した身の方は味も食感も柔らかくなっていて、
まさに、今をもって完成しましたという感じ。
これだ!これが正解だ!
これは、本当に美味しい。
そして、お茶漬けにとっても新巻鮭の「しょっからい部分」にとっても、
それぞれが高め合い、2つの味の足し算ではない別の味に変化しているこの関係。
これは、デザインの理想形でもあります。
鮭茶漬けはお茶漬けの鮭味ではないのです!
新巻鮭の必然性とご飯にのせてお茶をかける必然性が掛け合わさって高め合ってできるのが鮭茶漬けなのです!
ああ、新年早々いいことに気づかせていただきました。
後から調べてみると、石狩鍋なんかは新巻鮭を使いそうですね!
納得!! いい出汁が出て絶対うまい!!