上市町でくらす

 

(前編はこちら

 

私の母は専業主婦で、子ども関係以外の人とのつながりが少なく、寂しそうでした。そんな母の姿を見て育った私も、自分が大人になった時に人間関係を築けるか心配だったんです。でも、みなさんのように大人の女性が業種を超えてつながっていられるのを見て「あ、こういう関係にもなれるんだ!」ってすごく感銘を受けたんですよね。

 

古: それで言うと、起業塾の最初にニックネームで呼び合うっていうのがあって。
黒: あー、そうだね。あったね。
古: それでちょっと距離が縮まったかも。「黒田さん」じゃなくてクロちゃんとか、かおりんとか。
黒: ちーちゃんとか。 

 

一同笑い

 

黒: そうそう。それで心の距離ちょっと近づいたっていうのはすごいね。

 

11つのそういう工夫でつながりやすくなったんですね。

 

 
上市高校さんがハッピー上市会さんや役場と協力して職業体験などのカリキュラムを実施されているんですが、その事前学習で、生徒さんたちがはたらくらすコネクションの記事を読んでくれています。上市高校の3分の2は女子生徒なので、大人の女性がロールモデルとしてたくさん載ってると「将来どんな大人になろうかな」って思う時にすごく参考になると思うんですよ。母親か、バリバリ働くかの二極化ではなくて。 

 

黒: どっちか選ばんなんとか……そんなんじゃないもんね。

 

そうなんです。商業雑誌だと二極化しているように感じて「自分らしく生きられるのかな」って不安になると思うんですけど、こうやっていろんな形でお仕事と自分の生活バランスとって、しかもすごくつながりを豊かに保ちながら送る人生もあるんだって、高校生の希望になると思うんですよね。

 

広: ほら、卒業して進路どうするかって時に就職するか進学するかじゃなく「あ、ちょっと違う形でやってるんだなー」っていう人がいるのはいいよね。女性って就職しても結婚したり、子ども産んだりする中で、やっぱり生活のスタイルをどうしても変えないとならない時も出てくる……そこに起業って道もあるんだみたいな。
古: それね。

 

起業っていうと、私はあまりよく分かってなくてスーツ着た男の人が「IT起業しました!!」みたいなイメージだったんですけど、こうやって色んな起業の仕方があるんだって……色んな業種の方もいますしね。

 

広:バリバリじゃなくてもちょっとお小遣いって言うか、月に何万円かでも稼げる手段があるとね。

 

そうですよね。例えばそれこそ子育ての手が空いてきたら、仕事の比率を大きくするとか、細々とでも続けていれば……

 

黒: 自分でコントロールできるもんね。

 

そうですね。本当にその通りです。

 

広: 会社勤めだったらさ、決まった時間から決まった時間までそこにおらんといけんからね。やっぱりどうしても家族の誰かが風邪ひいたとか調子悪いっていう時に「休むか? 仕事するか?」っていうね。
黒: そうやね。
広: そういう時にちょっと自分でできることとか、本当にずっとお世話せんとっていう時に手に職があるとさ、自分のおうちでもちょっとした仕事のプラスになるっていうかね。

 

そうですね。

 

古: 今はね。コロナ禍になって、リモートワークも増えて。

 

一同: うん。

 

古: なんかすごく働きやすくなって……。所属しているプロジェクトデザインという会社もリモートワークさせてもらえてるんです。子どもが熱出して家で見んといけん時にも、子どもが寝た隙にパソコン使って仕事をしたり、夕方、上の子達が帰ってきた時に見てもらってその間にやったりもできるのでね。ありがたい。

 

そうですね、そうですね。

 

古: そう言えば話変わりますけど、去年のハッピー上市会さんの座談会は最初まず自己紹介から入ってましたけど、今回は……。

 

一同笑い

 

そうでした(笑)。じゃあ自己紹介してもらっていいですか(笑)

 

黒: え? 私からけ?
古:ここのオーナーだから。

黒: えーはい。私の名前は黒田直美と申します。今いらっしゃるこの場所が私の先祖が田んぼや畑をしていた場所です。約30年前に上市町の駅前にあった電機屋さんを、駐車場スペースを設けるために父が新しくここにも建てて。時代の流れとともに人の流れも変わり、量販店ができてくると電機屋さんがちょっと低迷したので、そこでたまたま父の死もあり、何かやりたいなと思って勉強したのが女性のための起業塾だったんですね。

(※詳細はクロポッケの記事をご覧ください)

 

 

黒: 渡辺和子さんの本で「置かれたところで咲きなさい」っていう言葉があり、それが大好きで。縁があってそこにおる限り、そこで何とか自分ができることを活かして人の為に何か役に立ち、それで満足できるような生活を続けられるようになりたいなっていうのが自分の中にあるもんだから。

 

なるほど……

 

黒: はい。子どもは2人とも東京で。1人は編集、もう1人は写真の仕事をやっています。今、88歳の母の介護もしてて、もう寝たきりなんですけど、車椅子に乗せて、デイサービスとショートステイと訪問看護などをミックスして使わせていただきながら、電機屋さんの事務もしています。うん、そういう感じです。

 

ありがとうございます!!

 

黒: よろしくお願いします。
古: クロポッケのオープンは何年だっけ?
黒: 2015年の11月でした。オープニングセレモニーの時は議員さん方にも来ていただいて、萩原扶未子先生にもお言葉いただくなど、盛大にしていただきました。電機屋さんのお客さんにも喜んでもらったし、メーカーさんからも「変わった電機屋ができた!」って言われて(笑)

 

一同笑い

 

古: あの時、ぎっしりお客さんがね。
黒: あ、そうそうそう。40人以上おったね。コロナじゃなくて良かったね。

 

一同笑い

 

広: その時はコロナなんて考えてもなかったね。
黒: そうそう。花輪いただいたり。お返しできているかどうかは分からんけども、この道でやっぱりまっすぐ進むべきだなって。その時にやって良かったなあと思って。

古: 私も司会をさせていただきました。
黒: そうだね、してもらったね。起業塾でちーちゃんとの出会いがあり、ロゴやイラストを作ってもらったり。私はとてもラッキーだったと思う。日が経つごとに色んな人とのご縁があって助けていただいて、今があるって感じです。ここのデザインも扶未子先生にいい人を紹介してもらえて、こういう感じになりました。
古: 立山連峰が見える、素敵な眺めだよね。

 

広: ここ窓開けましょうとか、壁をぶち抜くとか相談して?
黒: うん、壁をぶち抜くのはもう最初から考えてた。本当はカフェだったら道沿いにあるほうが人が入るからいいんだけど、あっち側は西日が入るし……。

古: 立山が見えるっていうのもここの財産という感じだもんね。

黒: あとやっぱり、東雲会の仲間がここで色んなイベントをしたり、勉強会をしてくれるので、お互いに相乗効果となって、色んな人に役に立っているんだなと思うと、すごいやり甲斐があります。

古: ここでね。いろいろ去年も講座したりとかね。
黒: 門徒であるお寺さんがここで法話会をしたり、不思議な人も来るが……。

 

一同笑い

 

古: クロちゃんに会いたくてみんな来る。
広: やっぱ人柄が……包容力があるって言うか。
古: そうそう。クロちゃんなら話聞いてくれそうってね。
広: ちょっと困ったらここに、みたいな(笑)
黒: 介護で疲れとる人も来るし、それぞれアイディアを出し合ったり経験をいろいろ交換したり……で、たまに電機屋さんの売り上げにもつながったり、これは本当にありがたいことです。長くなりました……ありがとうございます。

 

一同拍手

 

黒: はい、ちーちゃん。2代目代表。
古: はい。私は独身の時、ケーブルテレビの仕事をしてて。結婚して子どもが産まれてから深夜勤務とか保育園が休みの土日とかに働くのが難しくなったりして2人目の妊娠中にやめて……。その後どういう働き方をしていこうか迷った時に、起業っていうのは1つの選択肢としてあるのかなって思ったんですね。

 

 

古: でも、どうすればいいのか分からない。何のノウハウもないし……っていう時に「はっぴーママ」っていう子育て情報誌のライターの仕事を紹介してもらって。その仕事をやりつつ、職業訓練の方でイラストレーターとかフォトショップとかホームページのHTMLとか勉強するプログラムがあったから、そこ通ったり……県女性財団のエクセル講座に行ったりして、自分のスキルを高めようっていろいろ勉強して。だけど起業に関しては全然もう分からない。その時に、富山市のLiTa Club(リタクラブ)っていう大人が交流するスペース、家でも仕事場でもない第三のスペースとして開かれていた場所があって、そこでアルバイトすることに。
黒: そこが柳(りゅう)ちゃんのところ?
古: そう。平木柳太郎さんが経営されてたところで、そこでプロジェクトデザインの社長の福井さんとも知り合ったし。
黒: そうなんだ。
古: そうなの。で、そこにチラシが置いてあったの。上市町の……。
黒: 起業塾の?
古: 起業塾じゃない。その前のIT講座かなあ。その講座のチラシが置いてあって、ももちゃんが持ってきたやつ。
広: なるほど〜。

 

ももちゃん?

 

古: 上市町役場の百塚さん。ももちゃんね。
広: その時は、ももちゃんのこと知らんかったん?
古: そうなの。チラシを見て「ああ、こういう講座があるんだ〜。隣の上市町だし行きたいな」と思ってIT講座や色んな講座に行っとる中で、女性起業塾が開かれるというね。
黒: さっき話しとったやつね。
古: 1期生として飛び込んで。そしたら、色んな業種の色んな人がいて。女性の力ってすごいよね。
黒: うん。すごいよね。
広: うん。
黒: 色んな人おったね。
古: そうそうそう。そのパワーがね。
黒: みんなイキイキしとったね。
古: そのときまだ子どもが5歳と2歳とか……。
黒: 2人してテーブルの下走っとったもんね。

 

一同笑い

 

古: みんなから刺激を受けてやっていく中で、東雲会も立ち上がり、クロちゃんのみんなを包み込む力だったりとか、色んなものを教わりながらやって来て……。じゃあ「今までやってきたことを仕事にしたらいいかな?」って思って。

 

 

古: プロジェクトデザインに入ってはたらくらすコネクションっていうものとも巡り合ったし、ケーブルテレビの時の経験も生かして、ライターとか司会の仕事を始めて……そこからずっと来とる感じ。東雲会はクロちゃんが4年間代表をやってくれて、色んな人に色んな経験してもらいたいというので、「じゃあどうする?」ってなった時に。
広: ちーちゃんが立候補して。
黒: そうそう。

古: クロちゃんがやってきたものを継いで……私の中ではもう「クロちゃんしか代表ができない」っていう思いがあったから、別の誰かが一旦やることで他の人もやりやすくなるかなっていうところもあったり。そこから……どうしたっけ?
広: なかなかおらんかったね。
古: そうそう。やっぱり温度差はどうしても出てきてしまうし、あの初期のメンバーがすごい強いパワーを持ってるから、なおさら後から来る人がちょっと遠慮されたりもあったりして。そこはどう巻き込んでいくかだよね。

 

一同: うんうん。

 

古: で、次にサリーちゃんがなって、今4代目のかおりん。はい。
広: やっぱ熱量がその時と違ってきたりしている時期だったので、この後どうするかなって。
古: 卒業して行く人もいるしね。やっぱり色んなステージがあって。
広: うん。離れてかれる人もいるし。何て言うのかな、ちょっと停滞してここ数年ぐらい、どうしたらいいかなあって思いながら。

古: まあコロナもあってね。リアルでなかなか交流できんよね、とか。
広: 総会もオンラインでしてるんですよ、今。
古: けど、それによってね。また新たなつながりができたりとか。
広: ちょうど起業塾もなくなったところだったので一旦お休みして、この後どうしようかっていうのを考えつつやってきた。去年1年間で。

 

なるほど。

 

広:今まではこう、ずっと毎年やってきたことをやらなきゃいけないっていう。姫フェスも1年に1回の大きいイベントで、それを「どうにかやらなきゃ」みたいな感じ。それが全部一旦なくなったところで「じゃあ一体みんな何をしたいんだろうな」って。本当はやっぱり地元の女性の繋がりだったり、知りたい事をみんなで勉強したいとか、ちょっとイベントする場がほしいとか……。「ちょっとプチチャレンジしたい」「小さいことから始めていこう」ってことで、みんなでイベントやってこうかっていうような感じで。

 

 
イベントは、「会員じゃない方もどうぞ」っていつもすごくオープンな感じが

黒: パルマルシェもそうだよ。
広: そうそうそう。去年は本当に「何をしたらいいだろう」みたいな感じで、試し試し……。大岩でもやってみようかとなったり。

古: 私も去年からリボン始めたし。

一同: うんうん。

 

古: みんなすごく色んなことやられてて、ハンドメイドの人も何人もおられてすごい憧れがあったんですよ。

 

なんか分かる気がする……

 

古: 今までやってきたことっていうのは司会だったり、取材だったりライターだったり……物じゃなくてサービスだったから。物として残るものを作れる人にすごく憧れて。

 

一同: へ〜〜。

 

古: もともと好きだし、リボンを作りたいなと思って勉強して資格取ってリボンのワークショップを始めたんで……みんなと一緒だったら心強いし。滑川のエールでも出店したりしてたんですけど。

黒: お嬢さんと一緒におれるしね。
古: そうそう。小学5年生の娘と一緒に……。ワークショップで何人もお客さんおられたら、作る速度がやっぱり人によって違うから同時にって難しくて。そしたら娘が教えてくれて。

 

一同: おお〜。

 

黒: 助かるねー、いいよね。
広: 小さい時からね。色々勉強会にも一緒に行ったりさあ。
黒: そうだよね。
広: 体験できるってすごいいい環境だよね。色んなとこ連れてってもらえるしね。ぜひ起業してもらいたい(笑)

 

一同笑い

 

古: 大きくなったら、友達と一緒に店を出すんだって。パン屋さんとケーキ屋さんと……。一緒に住んで一緒に店を出したいって。
黒: 可愛いね、うん。

 

お子さん自身のその経験もそうですけど、親子の交流って食事を共にするか、宿題を見るかの二択にちょっと忙しいとなりがちなのに、お母さんの仕事に一緒に行くだけでなく接客までするみたいなことが親子のコミュニケーションの1つとしてあるってすごくユニークで……

 

黒: いいよね。

 

いいですよね。

 

古: そういったつながりで、花sou(はなそう)の奥育子さんの新しい商品のモデルに娘を選んでくれて、写真撮ってもらったりとか、娘にとっても色んな経験が出来てるなって。

 

もう次世代が……! 背中を見て、私の子どもの頃と全然違う経験を自然とされてますよね。まあ母が悪いわけじゃないんですけどね。

 

黒: まあそういう時代だったっていう。

 

そうですね。

 

古: 私の母は共働きでずっと外で働いてる人で、「そうしなさい」っておばあちゃんから言われてたり。

 

一同: へー。

 

古: だから、私も大きくなったら働こうって。
広: うんうん。
黒: おばあちゃんに育てられた?
古: そうそう。
黒: そうなんだ〜。

 

 

ちなみに私の夫がプロジェクトデザイン勤務でご一緒させていただいていて、家での会話で時々古野さんが登場するんですけど「校正のプロだからやっぱ僕の書いたものはやっぱ全然ダメなんだよね〜」とか言ってて。

 

一同笑い

 

古: そんなことないですよ(笑)

 

校正された後を見るのが、すごく勉強になるみたいなこと言ってて。

 

古: いつもね、からかわれる……鬼の赤ペン先生だって。

 

一同笑い

 

いい加減にして欲しいあの人ほんと……もうちょっとリスペクトして……

 

一同笑い

 

でもその校正のスキルっていうのは、その職業訓練とかで?

 

古:それはですね、はっぴーママのライターをしてた時に自分の書いた原稿が、編集部の校正の人にもう真っ赤になって帰ってくる(笑)。それを見ながら「ここは、こういう表現が必要なんだ」って学んで。
黒: すごいね。

広: うん。
古: でも今もまだ全然。プロジェクトデザインのホームページに載せる文章を書いてるんだけど、それもまた県外にいるマーケティングの専門家の人に教わりながらやってて、もうすごい直されるし凹むけど、それもすごく勉強になるから。

 

やっぱり言葉で表現して伝えるってすごい難しい……

 

黒: 文章にするの大変だね。
広: すごい難しい。
黒: 難しいよね。
広: なんか書いとったらさ。何を伝えたいかわからなくなるし、結局最終的に「何を書きたかったっけ?」みたいな(笑)。しゃべるがも難しいけど文章書くのが難しい。

 

だからこそ、そこをこうやって鍛えられているとあらゆる分野で役に立ちますよね。

 

黒: 本当にすごい。
広: すごいすごい。しゃべれるし書けるし。

 

本当に! どのチャンネルでもいけますね。

 

古:「そうです!!」ってね。自信持って言えるようになりたい(笑)

 

一同笑い

 

広: 大丈夫。
黒: 大丈夫よ、私よりもずっと。これからも活躍してほしい。

 

一同拍手

 

古: ありがとうございます(笑)。かおりんに行ってください。

 

(後編へ続く)

 


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