まちの同期を作る合同新人研修「上市町クリーン作戦」

企業・組織の垣根を越えた取り組みの立ち上げメンバーの皆さんに座談会形式でお話を伺いました

「上市町クリーン作戦」から見える企業がつながる価値と可能性

町内に勤務する若手社員同士が肩を並べて清掃活動を行う「上市町クリーン作戦」。　主に新入社員を対象として、町内企業と行政とが連携して企画・開催されており、企業・組織の垣根を越えた交流はそれまで接点をもつことがなかった町内就業者同士に「繋がり」以上の成果をもたらしている。

企業・人を繋ぐクリーン作戦

事業の始まりは2021年。富士化学工業㈱から㈱池田模範堂への「コロナワクチン職域接種」合同実施の打診がきっかけだった。「この繋がりを地域貢献に発展させていきたい。」という思いが一致し、合同事業の計画が始動。この２社の企画に上市町役場とJAアルプスを加えて立ち上げた実行委員会が、いわゆる「上市町の同期」による地域活動を実現させた。

　眼目山立山寺で実施した第２回となる今年度の活動には8社が参加。廊下や参道の清掃のほか、新たに名刺交換や名札作りなどの交流要素や、本堂での座禅体験が組み込まれた。同じ地域で働く同世代が活動を共にすることで、通常の社員研修では得難い刺激となり、「もっと掃除するところはないですか？」という声も多く上がるほど、参加した若者の姿勢は積極性と主体性に満ち溢れていた。

クリーン作戦がもたらした光

　作戦終了後、振り返りを兼ねて㈱池田模範堂を訪れたJAアルプスの実行委員メンバーは、期せずして工場見学の機会を得た。その際、案内役となった若手社員の態度や受け答えに感銘を受けたメンバーは、自社の朝礼で「働いている会社のことを知り、誇りをもって仕事をしよう」と語った。また、富士化学工業㈱と㈱池田模範堂のメンバーも、打ち合わせのために何度も行き来し合う中で、互いの社風や業務環境の工夫に刺激を受け合った。コロナ禍により生まれた若者同士・企業同士の繋がりは、希薄だったそれらのコミュニケーションを創出するにとどまらず、企業・人材の成長や地域全体の発展に繋がる可能性を示しているのではないだろうか。

INTERVIEW

実際やってみて何が生まれた？

町の同期を作るとても良い交流の場

株式会社池田模範堂　大塚裕介さん

「会社の同期」のように「上市町の同期」を作ってくれればと思っていましたが、本当に良い交流の場で、このイベントを通して意気投合してそのままお付き合いしているという事例も耳にしました！また、クリーン作戦での繋がりをさらに発展させて、町全体で工場見学やワークショップなど子供向けの職業体験のイベントもやってみたいなと想像が膨らみました。

町の活気に繋がる可能性を感じた

上市町副町長　小竹敏弘さん

　お付き合いされている方がいると聞いて嬉しかったです。こういう機会で仲良くなって、その先に結婚とか町への定着というところに繋がっていく可能性のあるものなんだなと実感しました。そうでなくても、同じ年代の人が仲良くすることは町の活気にも繋がりますよね。

感化されて積極的になれる場

上市町総務課　真貝彩可さん

　2回目の時、名刺交換を担当しましたが、自由に交換と言われて動かない人も多いんじゃないかと思ってたら、みんなすごく積極的で社長さんに名刺交換に行く人もたくさんいて驚きました。普段はおとなしい職員も積極的な他社の社員に感化されて積極的に動いていたのかなと思います。

機会を作ることの大切さを実感

アルプス農業協同組合　幅敏幸さん

　「今社会人になった世代はコロナで交流を持てなかった世代なんです」と言うのを高校の先生からも聞いていたので、箒を持って突っ立っていたらどうしようと少し心配していましたが、どこの企業の方もとても積極的で驚かされました。コミュニケーションの場があると積極的に動ける。こういう機会を作ることの大切さを感じました。