上市町でくらす

大岩おわら宵の盆に思う

上市町在住のデザイナー伊東です。

8月12日は、民謡歌手寺崎みゆきさんと風の会さんによる「大岩おわら宵の盆」。

3年前よりポスターのデザインをさせていただいているご縁でいつも楽しませていただいております。

今回ははじめて妻と子供を連れての鑑賞でした。

 

大岩といえば夏場の日の高い時間の参拝と門前外でのそうめんが定番の場所ですが、

 

近年、夏場の夜間は十二支滝がライトアップされていて、

 

そのロケーションに惚れ込んだ、上市町のおわら踊りを愛する会である風の会さんと、2005年日本民謡フェスティバルで日本一にも輝いた上市町在住の民謡歌手寺崎美幸さんが意気投合し始まったこのイベント。

 

毎年八尾の風の盆でも踊っておられる風の会さんが大岩山日石寺のお不動さんに舞いを捧げる奉納舞も兼ねて行われています。

 

 

これは、単なる民謡コンサートでもおわら踊りの鑑賞会でもなく、

 

この大岩山日石寺境内のロケーションも含めた総合芸術であると位置づけ、デザインに携わらせていただいておりますが、

 

実際その迫力と美しさ、音が弾けそれに木々が呼応するような一体感は普段民謡を聞きもしない私でも、なんだか全身がゾクゾク。自分の体の中にある日本を再発見するような時間です。

 

1歳9ヶ月になる息子が果たして楽しめるのかという一抹の不安も、踊り子さんの列に割って入らんばかりのテンションで踊りまわる姿で払拭されたとき、

 

打ち合わせのワンシーンを思い出していました。

 

 

このイベントの実行委員会の中心人物であるNさん。

 

「今回で5回目ということで、ずいぶん浸透してきてますよね?前にお邪魔したときにもものすごい人でしたし!」

 

と私が言うと

 

「はじめは、『なんで大岩でおわらなんてやらんなあかんがよ?!関係ないねかよ』ってよく言われたけどね」

 

「じゃあ最初の立ち上げは苦労されたんですね。」

 

「うん。でも風の会も寺崎美幸もやってみたいっていう気持ちが強かったし、こういうときは誰かが先頭に立って進めていかんと、多数決みたいなことやっても決まっていかんからね!」

 

 

色んな人に聞きすぎるとなかなか形にならないし、尖った部分がなくなって面白みがなくなるというのは私も経験があります。

 

色んな人が納得するように肉付けしていった末、なんだかいらない贅肉がついてしまったり。

 

このくらいピュアな動機でシンプルに動いた方が結果的に多くの人の胸を打つものができるのかもしれません。

 

さらに話はひょんなことから「北アルプス吹奏楽団(上市町の社会人吹奏楽団)」の話に、なんとこの楽団結成を発案し募集をかけたのもこのNさんとのこと。。

 

Nさん自身ユーフォニアムを演奏されるそうで、

 

「わたしは音楽の道を諦めた人間でしたが、北アルプス吹奏楽団を結成することで夢が叶いました」

北アルプス文化センターができた1985年に結成され私が物心ついたときからすでにあったこの吹奏楽団

演奏者のこんなに純粋な気持ちで結成されていたんだなということに小さな感動を覚えました。

 

上市町に立派なコンサートホールができる。

 

吹奏楽団を結成してここで演奏したい!

 

募集をかける!

 

とってもピュアでシンプル!

 

ピュアな動機でシンプルに動く。

 

とても簡単そうで、意外と難しい。

 

 

仕事で企画が小難しくなってしまったときはこのことを思い返したい。

 

 

と、「大岩おわら宵の盆」ではしゃぎ踊る息子を見て思う。


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