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はたらくらすコネクションin上市 > 企業・店舗ガイド > 03 サービス業 > JVS 株式会社 /ドローンスクール訪問取材
ドローンで見据える ひらく未来の農業
JVS 株式会社
産業用ドローンスクール、産業ドローンの販売・整備、ドローンコンサルティングを事業展開するJVS株式会社。
電力・公共インフラの点検、建設測量、災害対応など活躍の場が他分野に及ぶドローン。中でもドローンを活用した「スマート農業」は上市町において身近な農業人口の減少や高齢化といった問題へのアプローチとして大きな可能性を秘めていると言えます。
自身も農業に従事し同社のドローン事業を顧問として立ち上げ推進を行う井原真吾さんにお話を伺うべく開講中のドローンスクールを見学させていただきました。
特産品開発講習会での出会い
――井原さんは以前は特産品開発のメデルケの代表を務めておられましたがどのような経緯で現在の事業に関わっておられるのでしょうか?
僕はもともと農家の生まれで、20年ラジコンヘリでの農薬散布経験がありました。
「上市の」里山の環境が大好きで、この魅力を多くの人に伝えたいという思いで特産品の開発やツアーガイドなどを行ってきましたが、 ドローンと出会った時にとても大きな可能性を感じまして、そんなタイミングで当社の宮崎と出会い意気投合しまして、 顧問契約という形でドローンの事業に携わる事になりました。
メデルケの方は現在別の経営者の方に引き継いでいただいています。
――JVS株式会社の事業内容を教えてください
JVS株式会社の事業としましては現在 UAV講習・スマート農業⽀援・⼟⽊測量⽀援・インフラ点検と他分野でのドローン活用に関するものやスクール、ドローンの販売代理店を事業として行っています。
――様々ある中で特に手応えを感じているものは?
僕自身が農家の出身というのもあって農業ドローンには思い入れがありますね。
――今回「これからの仕事のカタチ」というテーマで取材させていただいてまして、私たちにとっても身近な農業とドローンの関わりについて中心にお話しをお聞かせいただきたいと思います。
里山を舞台にゼロから立ち上げたドローンオペレーター育成事業
――スマート農業⽀援としてドローンスクールを開校されていますがこれはいつ頃から?
2017年からスクール事業を始めまして、はじめは産業ドローンのみでしたが、2018年の4月からは農業ドローンのコースもスタートしました。
――ドローンスクールというのは何か全国共通の雛形のようなものがあったりするんですか?
雛形となるテキストはありましたが、もっと現場で即戦力としてドローンを使ってもらいたくて独自にカリキュラム開発をしました。
農業ドローンも産業ドローンも国土交通省の認可がないと使用することができませんので、認可を取るために必要なカリキュラムを前提として、さらに一歩踏み込んだ実用性を重視して構築しました。
内容はコースによって様々ですが、産業用プロスクールでは、操縦技術や安全運行管理など、汎用性の高いドローンの基本を中心に計3日間、 農業ドローンの場合は、基本的な操縦技術や知識に加え、実機を使用しての農薬散布の実習など計5日間のカリキュラムで習得していただきます。
――カリキュラムから独自に設計されたものなんですね
そうですね。 独自のものではありますが僕自身もJUIDA(一般社団法人 日本UAS産業振興協議会 *国土交通省が認定する講習団体)認定講師の資格もとり、スクール自体もJUIDA認定スクールとして開講しています。また農業用ドローンに関してはメーカー認定のマスター教官という県内唯一の資格を保持しています。
――白萩南部小学校で開講された経緯は
全国の他地域では「休校」を活用したドローンスクールなどが開講されている例もありましたし、私自身里山の魅力の発信や地域に雇用を生み出すことを目標にしていることもあって、もしドローンスクールを休校中の白萩南部小学校で開くことができたら、これまでやってきた活動以上に、より多くの人に里山の魅力を感じていただけて、雇用にも繋がっていくイメージができたんです。
――ドローンを活用する農家が増えることで雇用が生まれていくということですね
そうですね。今、日本の農業は、高齢化や人口減少などの問題もあり、農業従事者1人あたりが受け持つ農地の面積もどんどん大きくなっているという現状があります。ドローンを活用することで農作業がかなり効率化されますので、これからの時代の農業には欠かせないものになってくると感じています。
――具体的にどのように効率化されますか?
大きく分けて2つあります。まずは農薬散布です。これは従来の10倍の効率アップになります。2人一組でホースを持って散布したり、トラクターを使って散布したりという作業を、ドローン1台でこなすことができます。搭載されたGPSやセンサーを使って速度・高さと連動して自動散布も可能で、スピードや均一さも向上し精密な散布ができます。
――なるほど。もうひとつは?
もうひとつは成育診断です。これは10倍どころか100倍、いや、10000倍以上の効率アップです!
従来の方法は圃場の何箇所かでハンドスキャナを使ってサンプリングをして成育診断を行うのですが、この場合数箇所サンプリングするのに1時間くらいかかる上、手の届く範囲での計測となり、全ての稲の生育状況を正確に把握するのは不可能でした。
それがドローンを活用することによって、約10分で行えてしまいます。しかも上空から広大な農地の茎一本に至るまでくまなく解析できるので、肥料や農薬を必要な箇所に必要なだけ与えることができ、より細やかに手をかけることができます。
――劇的な変化をもたらしますね。先ほどおっしゃった農業従事者一人あたりの農地の面積が広くなっているという現状にとてもマッチしているように思えます。
今までは人手がたくさんあったので、従来のやり方が成立しましたが、人手がない中で広範囲をカバーしなければいけないこれからの時代には、 科学的なデータに基づいたスマート農業の導入が必須になってくると考えます。
――実際受講される方もこれからの世代の方が多いですか?
今受講されている方はまさにそうですね。お父さんが田んぼを持っておられて、今後のために「息子さんが」ドローンを導入されるそうです。 過去にも、地域の農業の未来を危惧して、ドローンの導入を決めた組合長さんがおられたんですけど、ドローン講習後、ドローンの導入を聞きつけた若い世代が興味を示しはじめて就農に至ったという話も聞いています。これからもそういう事例は増えていくのではないかと思っています。
――新しい時代がやってきているんだなと感じました。
若返りが起こることで農業全体が活気付いていくことを願っています。
――応援しています!ありがとうございました。
●受講者の声●
――今回どのような理由でドローン講習を?
社長(お父さん)が田んぼをやっていて、たくさん持っているんですけど、だんだんと年齢的にも大変になってきているので、ドローンを活用して効率化して引き継いでいくために会社でドローンを購入することにしました。
――会社で購入されるということですが将来的に事業としての展開も視野に入れておられるんですか?
将来的にそのような発展系も考えていますね。人手不足で高齢化も進んでますので、近隣からの要望があれば応えていけるようにというのも考えています。
――先を見据えての導入ということですね。残りのカリキュラム、頑張ってください!
●取材者ITO’s VOICE●
井原さんとはかれこれ10年近い付き合いになるのですが、農業、ツアーガイド、スキースノーボードのチューンナップ、動画制作、特産品開発といろんな事業をやってこられました。
ある時は井原さんが編集長、と私がデザインと編集という関係で情報誌を作ったこともありました。
このように並べると、一見興味本位であれこれいろんな事に手を出しているようにも見えますが違います。この列記した事業のほぼ全ては現在進行形で継続しておられるのです。そして今回の取材を通して気がつきました。全ては愛する里山の魅力を多くの人に感じてもらいという想いと、上市から面白い仕事を生み出したいというその信念から生まれてきた事業なのです。
目まぐるしい変化の中で生きていかなければいけないであろうこれからの時代、ひとつの肩書きに囚われない働き方もひとつのスタンダードとなってもおかしくないと私は考えます。
●DATA●
企業名 | JVS株式会社 |
住所 | 上市町横法音寺2 |
電話番号 | 076-481-6773 |
FAX番号 | 076-482-6534 |
ホームページ | https://www.jvs-drone.com |
ホームページよりお問い合わせください。 | |
創業 | 2019年2月21日 |
代表取締役 | 相馬 淳一 |
事業内容 | 産業用ドローンスクール、産業ドローンの販売・整備、ドローンコンサルティング |
会社・製品の強み・主な実績 | プロの現場で即戦力となる産業ドローンを提案しています。 |
上市町との関わり・創業の決め手 | 上市町種地区の休校でスクールを開催。中山間地域の活性化のお役に立てることに、やりがいを感じています。 |
求職者へのメッセージ・アピール | 今まで培ったプロの経験をドローンと組み合わせて新しい仕事を創造していきましょう。これからの新しい未来の仕事を作っていくことに意欲のある方、ぜひ一緒に頑張りましょう。 |
従業員数 | 25人 |
過去3年間の採用実績 | 2022年度 新卒0人、中途6人 |