上市町ではたらく

ご先祖様や大切な故人の方が入るお墓を提供

有限会社杉本工業所

墓石をはじめ、石に関する仕事を請け負う会社。自分の人生の礎を作ってくれたご先祖様が入られる大切なお墓を、お客様の思いに応じて提供する。写真を彫りこめるペットのお墓や、特許をとった「回転式納骨棚」など、オリジナル製品が多数。お墓を建てて10年後の無料点検サービスや2回分の無料クリーニングなど、アフターサービスも充実。専務取締役の杉本俊二さんは「お客様に親身になって満足していただけるものを提供できるよう、付加価値について考えていく」と話す。
(※インタビューは2015年1月28日に行いました。)

専務取締役 杉本 俊二さん(39)

専務取締役 杉本 俊二さん(39)

 
 

お墓はご先祖様や大切な故人の方が入る家

正印交差点近くにある上市店

正印交差点近くにある上市店

――創業の経緯を教えてもらえますか?
 1955年(昭和30年)頃からじいちゃんがやっていた会社では、墓石も扱っていました。親父が石屋に修行に行き、1973年に「杉本工業所」という名前で石材屋としてスタート。僕の生まれた1975年に今の半分の大きさの工場を建てました。その後拡張し、1987年に有限会社を設立。1993年に展示場ができ、2005年に富山市で鉱物・パワーストーンのお店「いしころや」をオープン、2007年に立山店をオープンしたんです。
――杉本さんは元々継がれるつもりだったんですか?

大きな観音像が目印

大きな観音像が目印

 いえ。3人兄妹の長男ですが、元々継ぐ気はなかったんです。昔は都会に憧れがありましたが、インターネットもなく、テレビや雑誌で情報を得ていたんですよね。上市町から1番近い都会が富山市で、高校も電車に乗って富山市まで行っていました。高校卒業後は縁あって東京に出て、石材屋や飲食店などの仕事を経て21歳で富山に戻ってきたんです。親父の「子どもたちに何か残してやりたい」という気持ちを聞いて考えが変わり、この会社に入社しました。いろいろな経験をして思ったのは、「結果を出すには自分が行動しなくてはならない」「自分の選択には責任を持つ」ということです。人ってやっぱり1人では生きていけない、支えられて生かされているものだと思います。昔バイト先で、「インターネットが普及してその場でショッピングできるようになっても、買うのは人。画面の先には人がいて、いろんな人の思いが詰まっている。人と人との商売を大事にしないといけないよ」と言われたことがあり、その時は意に介さなかったけど、後になってよく思い出します。
――そのバイト先の方、いいことを言われますね~。杉本さんは今専務をされていますが、専務になって変わったのはどんなことでしたか?
 入社当時は現場で作業員として先輩の指示に従っていれば良かったのが、現場長が辞められて引き継ぐことになったんです。25歳で現場長になると同時に、専務になりました。それからは自分が発した言葉や指示が全て自分の責任となった。何か起こった時、自分自身の評価ではなく、会社の評判となる。そこで意識が変わりましたね。それまで張り切ってなかった人間が、いきなりいろいろ言うようになったものだから、一緒にダラやってた同僚は「何だ?」と思う。そこで人間関係もぎくしゃくしてしまったんですが、経営者団体に入ったことで転機がありました。いろんな業種の方と話したり勉強会に参加したりする中で、仕事をこなすための段取りしかできていなかったのに気付き、このままじゃダメだと思ったんです。お客さんと話す中でお客さんの思いに触れ、お墓という「モノ」を販売するだけでなく「ご先祖様や大切な故人の方が入る家」なんだと、自分の意識が変わってきた。人間関係も次第に改善していきました。
――いくつもの転機があって、今があるということですね。今、杉本さんが大事にされているのはどんなことですか?

ライフスタイルに応じて様々な形のお墓がある

ライフスタイルに応じて様々な形のお墓がある

 まず、お客さんの思いを聴きたいなと。お墓って、いろんな石種・形・価格があって、高ければいいというものでもないんです。これまで自分の人生の礎を作ってくれたご先祖様が入られる大切なもの。お客様にとってみれば、どんな石種・形でもそれは本物で、最高のものなんです。それを僕らがどういう風にして安心して提供できるか。お客さんと話してどれだけ応えられるか。責任を持って工事することはもちろん、商品を提供して終わりではなく、長くお付き合いしていきたいと考えています。そのためには会社が長く存在し続けることが大切で、本物じゃないと会社は残っていかないと思うんです。
――お客さんのためにも会社を長く続けるという考え方、素敵ですね。長くお付き合いされる中で、お墓の補修や困りごとの相談も受けられるのでは?
 そうです。相談もよく持ち掛けられます。そういう時は、笑顔と「こんにちは」の挨拶、「ありがとうございました」という気持ちが絶対必要。自分自身の気持ちも晴れやかになりますし。おかげさまで、上市町の方に可愛がっていただいて、立山町や舟橋村、滑川市、富山市にもお客さんがおられ、お墓のお引越しなんかだと県外もやらせていただきますよ。鹿児島まで運んだこともありました。

ペットのお墓など供養をトータルで考える

テーブルとベンチ

テーブルとベンチ

――杉本工業所さんの強みは何ですか?
 「石のことでしたら何でもします」ということ。石の仕事に関しては断りません。うちの会社でできることとできないことははっきりさせますよ。他の会社を紹介することもあります。製品の強みももちろんありますが、それだけじゃない部分を見つけていき、「富山で1番任せられる」と言われるようになることが大事。従業員は技術が高く、誠心誠意持ってやれる、心のある人間ばかりだと思っています。僕がいなくても、絶対お客様に親身になって、満足していただけるものができる。上市でずっとやってきた実績があるので、嘘はつけません。値下げとかじゃなく、これからもずっと会社の付加価値について考えていきます。

写真をレーザー彫りしてあるペットのお墓。全部で5種類あり、石は4種類から選べる。

写真をレーザー彫りしてあるペットのお墓。全部で5種類あり、石は4種類から選べる。

――付加価値と言うと?
 お墓を建てて10年後の無料点検サービスや、2回分のお墓のクリーニング(苔落としなどの掃除)券をプレゼント(期限なし)するなど、アフターサービスを充実させています。50回忌が終わったらお骨を土に返すんですが、骨つぼに入ったままでは土に還らない。だからお墓の中心には45cmのマス(土間)で土に通じたところを作ります。それが丸見えだとかっこ悪いし、湿気も上がってくるので、杉本式の土間は取り外せる蓋を付け、備長炭を敷いて湿気を取るなど工夫しています。富山県は特にお墓の中の水や湿気を嫌う地域なんですよ。基礎工事が大事なので、工程は全て写真撮影などして記録に残し、お客様にお渡ししています。
――なるほど~。お墓と一口に言っても、奥深いですね。では、おすすめの製品はどれですか?

「回転式納骨棚」杉本工業所のチラシより

「回転式納骨棚」杉本工業所のチラシより

 ペットのお墓(7,500円~)ですね。ペットの写真をいただいて石にレーザー彫りし、はめこむことができます。また、納骨しやすいよう工夫した「回転式納骨棚」は、特許をとりました。
――どちらも珍しい、オリジナル製品ですよね。
 はい。今のような形のお墓を、一般の人が持ち始めたのは明治時代からだと言われています。まだ100年ちょっとの間に、お墓の形はどんどん変わってきました。都会の方ではマンション式もあるくらいなので、この先どうなるか分かりません。墓石だけでなく、もっと供養をトータルで考えていきたい。1人でも多くの方に杉本工業所を知ってもらい、思いを話してもらいたい。その先に、どういうものがいいのかを提案していきたいと思っています。

石には魂が宿る

色も素材も様々なものがある石

色も素材も様々なものがある石

――石の魅力はどんなところですか?
 自然のものって面白いなと思いますね。木と一緒で、意外と温かく、全くもって同じものがない。世の中には数えきれないほどの石があり、全て色や表情が違うと、27~28歳の時に気付きました。お墓の石やパワーストーンだけでなく、川の中の石も同じ、石。穴を開けてろうを流し込んでろうそくにしてみたりアクセサリーにしてみたりすることで、石が生まれ変わって家に置けるようになる。鉱物やパワーストーンのお店をやっているのも、家庭の中に石を取り込んでいただきたいという思いからです。石には魂が宿ります。それぞれのお墓の中には仏様の魂が宿っている。それが石の面白さで、自分に合う石・合わない石もあるんです。
――自分に合う石はどうやって見分けるんですか?
 感覚です。いいなと思ったり、温かい感覚になります。その辺に落ちている石でも、目を向けることで違った価値が生まれます。人間にしても同じですよね。得意・不得意があり、才能はみんなバラバラ。それが面白い。
――そうですね! 面白いです。
 切り出して細かくなった石を使ってワークショップを行うこともあるのですが、そこでは想像力を膨らませられます。想像力豊かな人って周りまでわくわくさせますよね。上市はここ2~3年でガラッと変わりました。今は、いろんな方と混じって活動するのが楽しく、有志で「上市の魅力を見つけて伝えよう」という若手グループ「econte(エコンテ)」を作り、ライブや登山などのイベントを開催しています。ホールとは違って、そこにある空間や歴史など、上市独特の魅力を掛け合わせることでまた違った楽しみ方ができる。ライトアップされた非日常的な空間の中で、違ったひと時を過ごせる。これは上市町のPRや新たな魅力の発信にもつながると思います。
――そういった活動もされているんですね。では最後に、今後チャレンジしたいことを教えてください。
 まず、どういう風に弔うかを提案していきたい。次に墓石のあり方も含め、石の可能性を考えていきたい。石でこんなことができるよ、というのを体験してもらいたいんです。その1つがピザ窯で、来春には販売を予定しています。これも自分が楽しいからやっているんですよね。あと、ガラスや高岡銅器など、石じゃないものとのコラボレーションも作っていきたい。長年1つの仕事ばかりやってると、固定観念で視界が狭くなってしまう。お墓というものの根本的な意味を残しつつ、新しいものを提案していくことを考えると、幅が広がって面白いかなと思います。
――コラボレーション、楽しみです。杉本さん、今日はどうもありがとうございました。
 こちらこそ、ありがとうございました。


石のお地蔵さんやカエルなどの縁起物も

石のお地蔵さんやカエルなどの縁起物も

今のお墓はこんなにもいろんな種類があるのだと知り、驚きました。よく、石材屋さんにはキャラクターの像や子どもの遊具のようなものがありますが、杉本工業所さんで見せてもらったのは色も形も素材も、全てが新鮮でした。ちなみに、お墓の相場は本体価格が100~250万円が一般的だそうです。
私は幼い頃から石が好きで、川原や海で綺麗な石を拾って来る子どもだったので、今回のインタビューで石の話を聴けて嬉しかったです。
ギャラリーまつだ」さんの石の看板や置物など、石からは何でもでき、用途も幅広いですね。
現在の墓石に使われる石材は花崗岩(通称、御影石)を中心とした硬石類が主流。石は大きいものから切り出すため、細かくなったものは花立てを作るなどし、端材はワークショップで使うそうです。小さくなったものを簡単にまとめることはできず、溶岩状にして固めることしかできないということでした。
一度削ったらくっつけられない石、自然物ゆえの魅力はそんなところにもあるのかも、と思いました。

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●DATA●

企業名 有限会社杉本工業所
住所 上市町正印7-1
電話番号 076-472-0472
FAX番号 076-472-1378
E-mail sugimoto_stone@yahoo.co.jp
設立年月日 1987年7月1日
代表者氏名 杉本 俊二
事業内容 石材加工、墓石販売
主力製品 墓石(ペットの墓)、灯ろう
資本金 1,000万円
営業時間 8:00~18:00
定休日 第2・4土・日曜(対応可)
駐車場 4台
ホームページ http://www.sugimoto-stone.sakura.ne.jp/
Facebookページ なし
過去3年間の売上高 右肩上がり
過去3年間の採用実績 2012年1人/2013年0人/2014年1人
福利厚生 / 従業員特典 保険(健康、雇用)、厚生年金、資格支援、社員旅行、従業員割引あり、花見・バーベキュー・懇親会・ピザ会あり

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