上市町ではたらく

利用者さんの思いをくみ取り、生活を笑顔でサポート

社会福祉法人新川会 四ツ葉園 療育班担当支援員 田畑咲来さん

滑川・中新川地区の知的障害者とその家族のニーズに応えて設立した四ツ葉園は、18歳以上の知的障害者が入所する支援施設。入社5年目の田畑咲来(たばたさくら)さんは、四ツ葉園の中でも重度の利用者さんがメインの療育班を担当している。利用者さん一人ひとりと真剣に向き合い、一緒に成長していく過程で、利用者さんのより良い生活を目指して様々な取り組みを行っている。

療育班担当支援員 田畑咲来さん(25)

療育班担当支援員 田畑咲来さん(25)

 
 

母の影響で介護職へ

歩行訓練のサポート

歩行訓練のサポート

――入社された経緯を教えてもらえますか?

 滑川市出身です。福祉の仕事に興味をもったのは高齢分野の介護職についている母の影響があります。母は私が子どものころから仕事のことを楽しく話してくれていました。私が高校生の時にコンビニエンスストアで障害児に会ったことがあるんですが、その子が店内で大きい声で叫ぶ様子を見て、支援する仕事に就きたいと思ったんです。富山福祉短大の社会福祉学科を卒業し、20歳のときに新卒でここに入りました。現在5年目です。重度の方がメインの療育班には35人の利用者さんがいて、支援員は7人くらいで担当しています。療育班には「ほのぼの班」と「やまびこ班」の2つがあります。

――いくつもある施設の中でも、田畑さんが四ツ葉園さんに入られたのはどうしてですか?

四ツ葉園は富山健康科学専門学校の近くにある

四ツ葉園は富山健康科学専門学校の近くにある

 短大1年生のときに四ツ葉園で3週間実習をする機会があり、そのときに雰囲気が良くて明るく、すごく楽しかったのでここに決めました。四ツ葉園しか考えていなかったので、ここしか受けなかったんです(笑)。

――大本命のところに入られたわけですね。滑川市からだと近いですよね。

 はい、通勤時間は15分くらいです。夜勤明けなど変則勤務をしていると特に、近くて良かったと思います。

――実際、働いてみていかがですか?

利用者さんそれぞれに合った作業を補助する

利用者さんそれぞれに合った作業を補助する

 楽しいです。大変なことや悔しい気持ち、辛いこともありますが、利用者さんの笑顔を見られたり「ありがとう」と言ってもらえたりすると、楽しい気持ちが上回ります。

――利用者さんの年齢の幅は?

 20歳から70代の方まで幅広いです。平均年齢は45歳で、高齢化が進んでいるため、介助の方法も学んできています。高齢化や多様化に対応するため、四ツ葉園では2018年6月に大規模改修が完了したところです。人と関わるのが大好きな方もいらっしゃいますし、会話ができる人、自分のことができる人など、性格や障害の特性、年齢もバラバラです。そのため、一人ひとりを理解し、その人に合った支援を行っています。

――どんな風に関わっていらっしゃいますか?

 利用者さんのことを「知りたい」「理解したい」という気持ちをもって関わっています。そういったこちらの気持ちが相手に伝わると、関係を深め、より良い支援につながると思います。コミュニケーションの大切さを強く感じ、利用者の方の好きなもの、好む関わり方などを日頃の関わりから見つけています。どのようにすればより利用者さんに寄り添えるか考え、先輩の関わり方をマネしたり、表情や声のトーン、喋り方などから気持ちを汲み取り、いろいろ試したりして自分で発見していきます。大切なのは、利用者さんの限界を勝手に決めないということですね。女子通りの利用者さんは現在25人いるのですが、常に新しい発見があります。

――具体的にはどんな支援をされるんですか。

おはじき入れ

おはじき入れ

 一人ひとりの作業療法を手助けすることです。大きめのビーズをひもに通して手先の運動と手元を見る作業や、前傾姿勢の方が無意識に背筋を伸ばして上を向けるようなおはじき入れ、ミュージックケアで使うマスコット作り、手を引いての歩行訓練と体をほぐすストレッチなど、その人の状況やその日の体調に合わせた作業を行っています。

――ミュージックケアは月に何回あるんですか。

 月に3~4回です。職員が研修で習ってきて実施しています。その際、パラバルーン(運動会などでも使用される布のレクリエーション遊具)の上に乗せて遊ぶ魚のマスコットを、手芸が好きな利用者さんが作ってくれています。

――歩行訓練をされている利用者さん、楽しそうですね。

歩行訓練のサポート

歩行訓練のサポート

 はい、歩くのが好きな方なので、楽しんでされています。普段から運動していると、恐怖心が減って自信がつくので、いいんです。また、年を重ねるにつれ、どうしても低下してしまう身体機能を維持するためにも行っています。おはじき入れは、背筋を伸ばすだけでなく、小さいものをつまんで小さい穴に入れるという作業で、それも利き手ばかりじゃなく両手を使えるよう声掛けをします。

――作業療法と一口に言っても、たくさんの種類の道具があり、いろんな効果があるんですね。

より良い生活を送ってもらうために

――どんなことが大変ですか?

 人と人との関わりにおいて、利用者さんにこちらの思いが全て伝わらない時、理解してあげられない時です。もっと良い生活を送ってもらうために新しいことに挑戦してもらう必要もあるのですが、利用者さんには伝わらず、なかなかうまくいかないこともあります。例えば、ある女性の方は以前参加できていた班活動(日中、運動や作業を行うこと)をある時から拒否され、2年ほど班活動に行けなくなりました。運動する機会がなくなったことで体重の増加をはじめ、睡眠時間が短くなり、生活の乱れやその他の問題行動が増え、本人も辛かったと思います。班活動に行けるようになれば楽しいことがあるし、生活の安定や問題行動の軽減につながるのにと思い、こちらの気持ちがどうすれば伝わるんだろうとすごく悩みました。

――それをどうやって乗り越えられたんですか?

四ツ葉園の職員のみなさん。前列右から3人目が田畑さん

四ツ葉園の職員のみなさん。前列右から3人目が田畑さん

 私は自分が働いている期間のその方しかわからないため、過去のことを知っている先輩にもアドバイスをいただいて、班の垣根を越えて「女子通り(女性利用者さんの部屋がある基本生活拠点)」全体で話し合いました。そこからヒントを得て様々な視点から支援を考え、いろいろ試してみたところ、その利用者さんが班活動に行ってくれるようになったんです。頑張って働きかけたことが伝わり、とても嬉しかったです。

――利用者さんのご家族も喜ばれたのではないですか?  

 はい。保護者の方にも、職員との情報共有を密にして細かいことも伝えています。特に、前に進む変化を伝えるとすごく喜ばれます。

――四ツ葉園さんの情報誌「すまいる44号」で、「人生を豊かに彩る場」と書かれていましたね。

 はい。新川会通信「すまいる」は年に3回発行しています。そのほかに、毎月の広報に写真付きでイベント報告を載せ、保護者の方宛てに発送して見てもらっています。

動物との出会いや職員の工夫が生む刺激

――夜勤もあるんですよね。

 はい、遅番が19時まで、早番が7時からなので、その間の時間は夜勤です。夜勤時には1人で女性25人を担当しますが、ほかに男性職員が2人います。お風呂は日中のうちに入っているので、1日の活動が終わってゆったり好きなことをして過ごす時間となります。

――利用者さんが外に出られてしまう場合もあるのでは?

 はい。玄関には鍵をかけるのですが、内側から開けられるのでそういうこともあります。でも門にセンサーがあるため、門を通ると分かり、すぐに対応できるようになっています。利用者さんの安全を守りたいけれど、拘束という形にはならないよう配慮するなど、難しい側面もあります。

――そうですよね。利用者さんは、外出日はどのように過ごされるんですか。

 自宅にほぼ帰らない人は外へ出る機会がないので、月に1回のドライブで外へ出かけるときは目的をもって行くようにしています。海を眺めてリフレッシュする、日光を浴びてくる、山へ行って野生のサルを見て、帰ってくると出かけていない職員に「サルおったよー」と報告している利用者さんもいました。

――四ツ葉園さんの周りにも動物がいますよね。私、以前このすぐ上でカモシカに出会ったことがあります。

 いますね。四ツ葉園は特に自然が豊かな場所にあるので、何だか視線を感じるなと思ったらカモシカが現れたり、冬はウサギが出てきたり、畑をイノシシに掘り起こされたりと、いろんな動物と出会うことができます。それによって利用者さんとの会話も増えるんですよ。自然に触れられる場所で過ごせることは、利用者さんにもいい刺激になっていると思います。また、秋はふれあいフェスティバルで障害者と地域の人、夏はふれあいウオーキングで障害者と中学生がそれぞれ関わりをもたせてもらっていて、利用者さんが楽しそうにされています。実際に触れ合うことで「本当はみんないい人なんだよ」ということを知ってもらえ、良い風に理解してもらえる機会がある、本当にいい町だと思います。ケーブルテレビNet3(ネットスリー)などでも放送してもらい、知ってもらえる機会があるのがありがたいですね。

――お休みの日はどのように過ごされていますか?

歩行訓練を楽しくサポートする、職員お手製のトンネル

歩行訓練を楽しくサポートする、職員お手製のトンネル

 最近はDIY(家具等を自分で作ること)で棚など、ものを作ることが多いです。ペンキを塗って日焼けするなど、リフレッシュしています。四ツ葉園内でも、DIYが得意な職員が歩行訓練用のトンネルを作りました。ただ平らなところを歩くだけよりも、変化の1つとして楽しいかなという思いで手作りしたトンネルです。最初は段ボールで作ったのですがすぐに壊れてしまったので、いまのは木製です。

――利用者さんのことを考えて、職員の方々が自分たちで工夫して作られるって素敵ですね。

利用者さんと一緒に成長する

――この道を選ぶきっかけになられたお母さんと、いろいろ話されることもありますか。

 はい。分野は違っても、関わり方や働くことの大変さ、思いが伝わらない時のもどかしさなど、たくさん話を聴いて励ましてもらっています。年数を重ねるごとに見えてくるものがあり、アドバイスしてくれるなど、助かっています。

――では、これから介護の職を目指す人へのアドバイスをいただけますか。

 人と関わるのが好きな人が1番強いと思います。「相手のことを知ろう」「理解しよう」「一緒に何かをしよう」と思える人が向いています。よく、周りの友人から「仕事何してる?」と聞かれて話すと、「すごいね、大変だね」って言われるんですが、私は利用者さんと一緒にここで過ごしているという感覚が強く、ただ人が好きでずっと喋っているだけなんです。きちんと座っているのが苦手なので(笑)、人と関わるのが好きな人にはすごくいいと思います。利用者さんと一緒に成長していくという感覚が1番しっくりくるかもしれません。

――とても前向きで力強い言葉ですね。

 利用者さんは日々、できるようになったこと、できなくなってきたことがあります。そんな利用者さんの変化を察知することが大切です。特に、挨拶は絶対欠かせないもの。1日のスタートはそこからです。機嫌の良し悪しやその人の状態が一瞬でわかります。

――挨拶でわかるなんてさすがですね!

 知識はあるに越したことはないのですが、知識がなくても人間性や「関わりたい」「助けたい」という気持ちが1番大事です。短大の時に学んだ専門的なことは、自分が実際に支援する上で大切なことです。そのうえで、関わりをしっかりもって信頼関係を築いていきたいと思っています。

――今後の目標を教えてもらえますか。

 利用者さんに応じた目標を設定して支援していくことです。利用者さんはすごく繊細で、自分で自分の思いを口にできないこともあります。利用者さんによって目標が違いますし、もし自分が利用者さんの立場だったら一気に変えることは難しいので、「なるべく班活動に参加する」など、その人に応じて小さな目標から少しずつ大きな目標へとステップを踏むように設定して慎重に関わっていきたいです。特に、ダメなところじゃなく、いいところを伸ばしていくことが大切です。私は支援員という立場ではありますが、支援する側が上とかじゃなく、利用者さんと対等な関係でありたい。年を重ねている利用者さんは尊敬することがたくさんあります。

――田畑さんのお話から、たくさんの思いが伝わってきました。今日はどうもありがとうございました。

 こちらこそありがとうございました。


四ツ葉園の玄関に飾られた新川会5事業所の作品

四ツ葉園の玄関に飾られた新川会5事業所の作品

利用者さん一人ひとりと向き合い、その人のためを考えて行動する田畑さん。「利用者さんと一緒にここで過ごしている感覚」は、とても自然な形でそばにいることの現れだと思いました。「一緒に成長していく」「関わりをしっかりもって信頼関係を築いていく」「その人に応じた目標を設定」「いいところを伸ばしていく」「対等な関係」「相手を尊敬する」田畑さんが言われたこれらすべてのことは、人との関わりにおいて、健常者・障害者の隔てなく大切な考え方だと思います。

手織りのかわいいコースター

手織りのかわいいコースター

新川会通信「すまいる44号」にあった「人生を豊かに彩る場」とは、利用者さんだけでなく、利用者さんの家族や職員のみなさん、関わる人すべてにとっての「人生を豊かに彩る場」なのだと感じました。 なお、四ツ葉園さんの玄関には、新川会の5つの事業所で利用者さんが作った作品が展示されています。毎年10月に開催される「四ツ葉園祭」などで販売されるので、ぜひチェックしてみてくださいね。

●DATA●

企業名 社会福祉法人新川会 四ツ葉園
住所 上市町稗田字七郎谷1-32
電話番号 076-472-1118
FAX番号 076-472-5391
ホームページ http://www.niikawakai.jp/
Facebookページ なし
E-mail yotsubaen@niikawakai.jp
創業 1992年(平成4年)7月
施設長 高木伸治
事業内容 施設入所支援、生活介護、短期入所、日中一時支援、相談事業
勤務時間 8:30~17:15(日勤)、ほかに早出、遅出、夜勤あり
休日 週休二日制、不定、年間121日、その他有給休暇
従業員数 50人(男性18人、女性32人)
過去3年間の採用実績(正規職員) 2016年度 新卒2人 中途1人 2017年度 新卒3人 中途0人 2018年度 新卒1人 中途2人
会社の強み 新川会は中新川地区の自然豊かなロケーションの中で、マンパワーを発揮し、障害者支援に取り組んでいます。
上市町との関わり・創業の決め手 上市町、滑川市、立山町、舟橋村の中新川四市町村の知的障害者と家族のニーズに応え、上市町に設立しました。
求職者へのメッセージ・アピール 当法人のキャッチフレーズ「明るい笑顔あふれるところ」を目指して一緒に障害者支援を行ってくれる「笑顔が明るい」方をお待ちしています。
インターンシップ実施 なし
福利厚生・情報 家賃補助、保険(健康、雇用)、厚生年金、資格支援、子育て支援(育児休暇、短時間勤務)、日帰り親睦会、介護休暇

Comments

comments