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~田舎で子育てと家庭菜園をしたい~大阪府から富山へ移住
小林秀史さん・たつよさん
大阪府からIターンで移住した小林秀史(ひでふみ)さん・たつよさん夫妻。旅行で上市町を訪れた際、町内の小学校の開放的な雰囲気に魅せられ、子どもが小学校へ上がる前のタイミングで移住を決断した。不動産店・フジ企画で一軒家を借り、夫婦と3人の子どもの5人家族で生活。「上市町こどもの城(児童館)」や町内外の公園など安全かつ無料で遊べるスポットや、富山ならではのアクティビティを通して子育てを満喫している。
開放的な上市町で住みたい
――上市町に来られた経緯を教えてもらえますか?
出身は大阪府です。夫は子どもの頃、スキーで毎年長野県へ行っていましたし、夫婦ともに「田舎で子育てをしたい」「雪国に住んでみたい」という思いがありました。また、私の祖父母が上市町出身で大阪へ移住した経緯があり、上市町には今も親戚の家があります。結婚後、立山旅行で上市町の親戚の家へ寄ったとき、山の大きさや上市中央小学校が開放的なことにびっくりしました。大阪の小学校は高い壁に覆われていて門があり、施錠員さんがいますが、上市町の小学校は塀が無くて敷地に気軽に入れるようなオープンなイメージ。そして良い景色に癒され、「こういうところで住みたい。上市町には親戚もいるし、スーパーにも行ったことがあるので暮らしやすそう」だと思いました。子どもができてからその思いが強くなり、年長と年少の娘の小学校入学前に移住を決めました。0歳の息子は上市生まれです。
――仕事はどうされましたか?
私は専業主婦で、夫は公務員です。移住を決め、公務員試験も富山県で受け直しました。
――家はどうやって探されたんですか?
どこで買えばいいか分からなかったので、まず賃貸にしようと考えました。インターネットでは空き家情報がなくて、不動産店のフジ企画さんに連れてきてもらったのが今の築40~50年の5DKの家だったんです。広くて驚きました。大阪では2LDKのマンション暮らしで、鉄骨なので暖房は電気カーペットとエアコンだけで十分でしたが、富山は春も寒い。家の中で白い息を吐いていました。周りに聞くと、4月でもみんなストーブを付けているそうですね。だから秋になって、11月には暖房器具と雪かきグッズを揃えました。「昨年の冬はまだ暖かかった」と富山の人はみんな言っていましたが、私たちにとっては寒かったです。冬が寒い一方で、夏は大阪に比べたら涼しく感じます。大阪は家が密集していて、エアコンの室外機でムワーンとしていました。富山はクーラーがなくても過ごしやすいと思いました。余談ですが、「マンション」のことを富山の人はみんな「アパート」と言うことに驚きました。アパートって学生さんが住んでいる木造のイメージでしたが、賃貸物件のことを指すんですね。
――確かに、普通の2階建てくらいの集合住宅はアパートと呼びますね。4月初旬にもまれに雪が降ることがあるので、ストーブは必須だと思います。
安全・無料で遊べるスポットが多い
――ほかには富山にどんな印象を持たれましたか?
静かで人や自転車が少ない、夜は誰も歩いていない…。その分、過ごしやすいところが好きです。大阪は車が多いのであまりスピードを出しませんが、富山は車社会なので結構速いですね。私は富山に来て2年近く経った今でも、車は上市周辺しか乗っていません。買い物に行くにしても車があった方が便利ですが、生活には困りません。駅からもわりと近いし、不自由はありません。服と靴だけは足りないので、大阪で買うことが多いです。上市ショッピングタウン・パルやカミールに行くときは自転車で、車のあまり通らない道を探します。雨の日に「傘さすべえ(自転車のハンドルに固定する傘スタンド)」を付けていたら、周りからすごく視線を感じました。
――自転車のハンドルに傘を固定できる器具があるんですね。そう言われてみると、富山ではあまり見たことがないかもしれません…。
3人乗りのできる自転車なので、なおさら珍しいのかもしれないですね。あと、自然が近くていいところだというイメージです。今思うと、生活する実感がないままで来てしまったようなところがあって、楽しいところに行くっていう感覚しかありませんでした。でも、保育園の先生方もすごく優しくて、子どもが園に慣れてからは楽しんで行っています。
――遊びに行かれるのはどんな場所ですか?
上市町の「丸山総合公園」や、立山町の総合公園によく行きます。カミールの2階は雨が降っている時でも安全に遊べるため、よく使わせてもらっています。大阪は駐車代金のほかに、利用料が1時間いくらとか、とにかくお金がかかります。富山は車を停めるのも無料な場所が多いし、「上市町こどもの城(児童館)」など、お金をかけずに気軽に遊びに行ける場所がたくさんあるのがいいですね。こどもの城の毎週1回の幼児教室も、先生方が優しく、行って良かったと思いました。今年ミラージュランドでプールデビューしたほか、立山山麓のスキー場へゴンドラを乗りに行くなど、富山での生活を楽しんでいます。
――食べ物はいかがですか?
お魚が美味しいです。ホタルイカが好きなので、「もういいかな」って思うぐらい食べました。大阪では兵庫県産のホタルイカが多いですが、富山は新鮮さが違って美味しいです。回転寿司も美味しいですね。また、水がすごく美味しい。家の水道は地下水で、冷たくて美味しいです。大阪は塩素の臭いが強くて生水は飲めないため、浄水器が必須です。
――困ったことはなかったですか?
家で寝ていた時、ムカデに手を刺されたこと…。小さいムカデでしたが、腫れましたね。そのほか、蜂が3回くらい家の中に入って来たこともありました。布団を外に干していたので、取り込む時に一緒に入って来たのかもしれません。あとは燃料代。家の外に大きな灯油タンクがあって「何に使うのだろう」と思っていたら、お風呂とつながっていて、灯油で沸かすんですね。浴槽には追い焚き機能がなく、不動産屋さんには「24時間熱いお湯が出るから」と言われました。湯船が大きくて、灯油を20L入れたらどれぐらい保つのか分からず、不安になってすぐに追加購入しました。台風はほとんど来ませんが、平成27年5月に一度、風の強い日がありました。外のごみ箱が飛ばされ、家も根こそぎ飛ばされるかと思いました。
――本当に、台風ほどの勢いの強風が1日ありましたね。ご無事で良かったです。
ほかに、上市町には幼稚園がないのが結構大変でした。都会では専業主婦の方が多く、みんな幼稚園に入れています。保育園はもちろん働いている方が優先で、求職中の家庭の子どもの受け入れもあります。でも、自分たちが入ることで入れない人が出てくるんじゃないかと考え、その枠を私たちが埋めていいのかと思って悩みました。都会は明らかに枠が足りないので、比べるとものすごくありがたい環境です。だからこそ申し訳ないと思うんですよね。富山では共働きが普通なので、感覚の違いがあるんだと思います。贅沢しなければ普通に生活はできるんですが、保育園は働かないと入れないので選べないんです。子どもがある程度大きくなると、小学校入学前に集団生活を経験させたいです。だから、上市町に幼稚園もあるともっと移住しやすいと思います。お隣の滑川市や立山町にはあるけど、少し遠いので。
――そうですね。町の方針もあるとは思いますが、確かに、移住されてきたほかの方からも幼稚園があればという声を聴きました。上市町には「認定宮川こども園」と「相ノ木保育園」の2つの認定こども園はあるのですが、幼稚園単体はないですもんね。保育園はもちろん共働き世帯が優先ですが、求職中や産前産後など入所できる要件はほかにもいろいろあるようですね。
医療費助成や妊婦の助成など手厚い子育て支援
――ほかに、子育て環境についてはいかがですか?
富山県は子育てがしやすい環境だと思います。1番下の子は上市生まれですが、妊婦のときの助成は多いと思いました。少し不便だったのが、ピンクの用紙を足りなくなったら役場にもらいに行かなければならないこと。働いている人は大変なのではないでしょうか。居住市町村以外の地域にある病院を受診したら立て替えて還付請求することも、来てから知りました。最初はかみいち総合病院以外の病院がどこにあるか分からず、困りました。私の周りでは、町内だけでなく滑川市や立山町、富山市まで行って受診している人は多いです。大阪にいた時の市ではどこへ行っても乳幼児医療証を見せるだけで良かったです。その代わり、月に上限1,000円を(500円ずつ2回に分けて)支払っていました。上市町は中学生までは医療費が無料なのはすごくいいですね。かみいち総合病院は先生も助産師さんも良くて、安心して産めました。産後のケアも充実していたと思います。
――かみいち総合病院は産前産後のケアに力を入れていますよね。
かみいち総合病院は院外処方してもらえるので、いつも「剱漢方薬局」でお願いしています。病院で処方箋のFAXを送る際に「配達希望」と伝えると、家まで届けてくださるのが本当にありがたいです。子どもを連れたまま待っているのは大変なので。上市町全域と滑川市も配達してもらえるそうです。
――それは助かりますね! では、小林さんが上市町でこれからやってみたいことは何ですか?
将来的に一軒家を購入して畑をやりたいです。これは富山に来た理由の1つ。大阪でも畑を借りていました。今は庭が砂利なのでプランターで野菜を育てているくらいですが、将来、家庭菜園で米や野菜を育てたいと思っています。
――最後に、今後の移住を考えている人へ、メッセージをお願いします。
田舎暮らしを求める人にとって、上市町は初心者向けでいいと思います。融雪装置が整っているので、雪道の運転をしたことがない人でも入りやすいです。車は必要ですが、スーパーや雑貨店、ホームセンターもあるので過ごしやすい。川も近いし、立山山麓まで30~40分で行けるなど、自然豊かな場所なのでおすすめです。富山の人は地元愛が強く、それだけ住みよい地域だと言えますね。
――わかりました。小林さん、どうもありがとうございました。
こちらこそありがとうございました。
移住してから1年半以上が経ち、富山弁も何となくわかるようになったと話す小林さん。でも、「80~90歳の方が使うコテコテの富山弁はわからない」そうです。ものもらいになったとき、病院で「めばちこ」って言ってわかってもらえなかったとのこと。富山では「めもらい」とも言いますね。 ピンクの用紙について役場に確認したところ、「必要なときに必要な分を使ってほしいので、多少不便をおかけしますがご了承いただきたいと思います」とのことでした。用紙が無くなるともらいに行かなければならないのは不便ですが、コンビニ受診や医療費の高騰を防ぐ意味でも、そういった不便性は残しておかなければならないのかもしれませんね。 それにしても、「剱漢方薬局」の配達システムはとても便利だと思いました。小さな子どもをもつママや高齢の方にとって、強い味方ですね!