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若者よ、上市のスナックへ行け 後編
上市町のデザイナー伊東です。
若者よ、上市のスナックへ行けの続編です。
上市のスナックへ行くようになって、人の輪が広がった気がします。
これまで話すことのなかった人と話す機会が生まれたり、 中学時代は雲の上のような存在だった野球部の先輩方と肩組んで歌ったり、 親子ほど歳の離れた人ともここでは壁がなかったりします。
ふらっと一人で飲みにいって親よりも年上のママから刺激をもらったりすることもあります。
こんな場所は今までなかった!
この上市のスナック街というのは実はとっても歴史が深くて、
「表通りが栄えれば必ず裏通りも栄える」と、ある方に教えていただいたことがありますが、 まさしく上市町の西中町商店街の裏にある、スナックが点在する通りが私の言うスナック街。
古くは「夜来町(やらいちょう)」「横町(よこちょう)」などと呼ばれて栄えたこの歓楽街は、
昔を知る方に聞くと大変に活気があって、毎日のように「表出れコノヤロウ」的な勇ましい騒ぎがあったり、 そうかと思えば、夕方見知らぬ人が「何か食わせてくれないか」と訪ねてくると家に上げて食べさせるという懐の深さもあり、
同じ時代の他の地域にはないような下町人情溢れる街だったそう。
ダム建設などが盛んに行われていた頃には現場作業員がトラックの荷台に乗ってやって来ては馴染みの店に散っていくという様な賑わいを見せていたそうです。
また上市では相撲の巡業も開催されていたようで、より高い番付の力士が来店することがお店の誇りで、お店同士の静かな張り合いも結構あったのだとか。
力士が気に入った芸者さんを翌日一番いい席に招待するということも慣例的にあったそうで、なんだか粋な時代ですよねぇ。 書いていて、本当に上市のことなのだろうかと思うくらいです。
そうそう、
戦後間も無く、軍に鐘を供出されていた大岩山日石寺に鐘が帰ってくるということがあって、上市駅まで運ばれてきた鐘を旧横丁界隈の皆さんが荷馬車に乗せて大岩まで届けたそうです。
その荷馬車には芸者さんたちも乗り込んで三味線や笛・太鼓を鳴らし、唄を歌いながら大岩道を上っていったそうです。
これに同行した同時小学生だった方は、まるでお祭りの様だったと語っておられました。
日本中ものが無く苦しい時代に、元気付けられた方も多かったでしょうね。
ちょっと本筋からはずれてしまいましたが、当時の町の中での芸者さんたちの存在感が伺い知れるエピソードです。
そんな花街の流れが今も続いているのです。
最盛期から見ればずいぶんと数は減ったそうですが、お店に立つママさんたちの円熟味は増しこの通りはよりディープに健在です。
ここ数年で世代交代や新規オープンもあり徐々に活性化して来ています。
若い女性が気軽に来れるというコンセプトのお店もあります。
もはやこのスナック街は上市の文化であるとも私は思っています。
ディープであり、カジュアルであり、ムーディーであり、ジャジーでもあり、演歌もロックも鳴り響く。
それが上市のスナック街。
上市のスナックを体験していない地元の若者に、ぜひオススメしたいですね。
「若者よ、上市のスナックへ行け」
行けばわかるさ。
チリンチリンとドアの鈴を鳴らせばいいのさ。
せっかくですので、上市のスナック・バーをご紹介