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洋食シェフが作る鉄板焼き肉とピタパンサンド
Kitchen Ben’s Beef Bar(キッチンビービービー)
上市町を中心に、県内の様々なイベントなどで出店している移動販売車。森の中のログハウスをイメージしたラッピングバスが目を引く。店主の西尾勉(つとむ)さん(61)は、県内でも大勢の観光客が訪れる立山黒部アルペンルートのホテルで料理長を37年間務めていた経験から、本格的な洋食が得意。ショッピングタウン・パルの正面玄関横では火曜と金曜の週に2度、営業しているほか、ホームパーティーや宴会などでの出張料理も可能。
最大30人まで出張料理も可能
――お店について教えてもらえますか。
キッチンBBBは、マイクロバスをキッチンカーに改造し、主に鉄板焼き肉とピタパンサンドを販売しているお店です。ピタパンはピザ生地の原型と言われていて、間が空洞になって焼ける薄焼きのパンです。直径14センチのピタパンを半分に切り、ポケットの中に具材を挟んで食べる料理がピタパンサンドです。うちでは、鉄板で焼いた肉と野菜を挟んで提供しています。
――ピタパンって珍しいですよね。なぜこれにされたんですか?
アウトドアが好きなので、以前からケバブ(中東発のロースト料理)やタンをスライスして焼いたものなどを挟んで食べることがありました。これが美味しかったんですよ。今のメニューには、和牛外もも肉をローストした「ビーフ」、国産鶏もも肉を特製タンドリーチキンのタレに漬け込んで焼いた「チキン」、粗挽き肉に各種ハーブを加えた「ハーブウインナー」、ビーフ・チキン・ハーブウインナーが入った「ミックス」があります。それぞれ中に、基本食材としてレタス、コールスロー、ジャーマンポテト、スクランブルエッグが入っています。
――コールスローなど、野菜がたっぷり入っているのは女性にも嬉しいですね。
これ1つで全て賄えるようにバランスも考えています。ほかには飲み物も販売していて、ソフトドリンクはナタデココ入りジュース(オレンジ、ミルクティーの2種類)が人気です。オープン時はタピオカドリンクにしていましたが、品薄のためナタデココに切り替えました。ナタデココはココナッツジュースを発酵させて固めたもので、発酵食品です。シロップ漬けなので、ナタデココ自体も美味しいですし、細めなので食べやすいです。シングル(300円)と、ナタデココが倍でジュース増量のダブル(400円)もあります。
――ナタデココも美味しいですよね。いつもはどこで営業されているんですか?
ショッピングタウン・パルの正面玄関横で火曜と金曜の週に2度、営業しているほか、土日はほとんどイベントで出店しています。スキヤキミーツザワールドや、八尾のなりひら風の市、カターレ富山のホームゲーム、立山どんどん祭りなど…、出店情報はFacebookページで公開しています。
――西尾さんは上市町を拠点にしていらっしゃるんですね。
はい、出身は入善町ですが、子どもの頃に上市町に越して来て、今も自宅が上市町にあります。たまに自宅横のテントへも食べに来られる方もいますよ。突然来られても何もないですが、事前に電話で予約してもらえれば大丈夫です。また、この車(マイクロバス)が停められるスペースであれば出張料理も可能です。アルコールもあるので、ホームパーティーや企業の宴会などでも呼んでいただいています。
――出張料理もされるんですね。アルコールって移動販売車では珍しいような気がします。
焼肉屋さんだから、やっぱりアルコールがないと。移動販売と言うと、比較的小さな車でのデザート系が多いですが、僕は焼き肉や牛すじとか食事関係と、アルコールも出したいんです。店名の「ビーフバー」というのは、鉄板焼き居酒屋のことです。
――そうなんですね。「ベンズ」は勉さんの名前からですか?
そう、僕のニックネームである「ベンちゃん」。ベンのビーフバーという意味です。
――出張料理はおいくらからですか?
出張手数料は1回1万円、コース料理で1人2,000円からです。アルコールもありで1人3,500円。県内どこでも出張可能で、最大30人分まで対応可能です。
――飲み放題で1人3,500円とは安いですね!
安いと言われます。コースは前菜、サラダ、オードブル、デザート、ドリンク。足りなければ焼肉も出すなど工夫しますし、肉のグレードアップも承ります。まずはお電話でご相談いただければと思います。
森の中のログハウスをラッピングしたキッチンカー
――創業の経緯を教えてもらえますか?
元々、立山黒部アルペンルートのホテルの厨房で、料理長を37年やっていました。洋食を中心に作っていて、10年くらい前から店をやりたいと思っていたんです。定年になる5か月ほど前に早期退職し、退職金で家の隣の土地を買って駐車場にしました。自宅のそばでもやりたくて、3か月かけてテントや店を作ったんです。キッチンカーには、大型免許は不要でキャンピングカーと同様に普通免許でいいマイクロバスを選び、改造は車屋さんにお願いして、調理器具以外のカウンターや棚などはみんな大工仕事で作って後付けしてもらいました。発電機があるので災害時も調理でき、燃料さえ積んでいれば、最悪なんとかなります。
――マイクロバスのラッピングがとても目を引きますね。
「森の中のログハウスから料理が出ます」というコンセプトで、キッチンカーの表はログハウス、裏はログハウスの裏側の写真を使って業者さんに仕上げてもらいました。控えめに作ったけど結構目立つので、車好きな方は見て行かれますね。車屋さんも「自信作だ」と言っていました。「自分もやってみたいな」と思う人のためにも、いろんな人に見てもらいたいです。
――以前、立山どんどん祭りでお見かけしたのですが、すごく長い列がついて人気でしたね。
温かいものを詰めて出したいから、どうしてもちょっと時間がかかるんですよね。メニューも、色々手を出しすぎたらいけないと思いながらもついついやってしまう。だからイベントだと列ができてしまうんですよね。料理は失敗したくないし、下手なものは出したくない。原価がかかってもいいものを出したいという想いがあります。
――それはやはり、お客さんに喜んでもらいたいからですよね。
そうです。お客さんの気持ちをつかみたいから出張料理なんかきたら、魚でも肉でも仕入れて気張っています。疲れてきたら顔に出てしまうこともあるけど、「気張って作ったね」とは言われたくなくて、「美味しい」と言ってもらえたらそれでいいんです。作り方も分量もみんな頭の中に入っているので、最終的にはサラッとやりたいですね。
家族の協力で営業力を強化
――車の外にテーブルと椅子が置いてありますが、車内でも食べられるんですね。
はい、車内でも4人まで座れるようにしています。「お店の中に来た」という雰囲気を味わってもらいたいので、店内はラジオをつけています。
――ほかに店づくりで工夫されているのはどんなところですか?
1番よく出るピタパンの販売価格は当初600円でしたが、お釣りが出ないようワンコインにするなど、周りに合わせて色々考えています。途中で値上げするのは難しいですよ。また、ピタパンの具をこぼす人がよくいるので、言ってもらえれば割りばしもお渡ししています。
――割りばしがあると食べやすいですね。いつもお店にはお1人で立たれているんですか?
今日は1人ですが、イベント時などは基本的に奥さんと2人です。忙しい時はアルバイトも含めて3人で営業しています。
――大変なのはどんなことですか?
事務や営業ですね。これまで料理しかやってきていないので、特に営業力が課題です。個人経営だから料理以外のことも色々やりますが、全部を自分でやるのではなく、若い人に頼んだ方が早いものは頼みます。息子の嫁がパソコンを使えるので、Facebookをやってもらっています。
――ご家族の協力があってこそですね。どんな時が楽しいですか?
売れている時(笑)。出張料理でお客さん先に行くことも楽しいですよ。最近、楽しいことばっかりかもしれません。こんなひげだし、パッと見はちょっととっつきにくい感じだと思いますが、パルでもおじいちゃん・おばあちゃんが「いっぺん入ってみたかった」と言われると嬉しいです。
――1年のうち、夏から秋はイベントが多いですよね。
はい。でもまだ2年目なので、申し込み時期に疎くて出遅れることもあるのが困ります。商工会から紹介してもらえる場合もありますが、自分で電話するなどアタックしていかなければならないことが多いです。たまに同業の方が誘ってくれることもあるのがありがたいです。一般的なキッチンカーは普通車の大きさなので1台分の駐車スペースで済みますが、キッチンBBBはマイクロバスなので7メートルあり、ほかより2~3メートル長いので縦に2台分が必要なんです。スペースを取るので、混むところは行けないこともあります。
――最後に、今後の展望を教えてもらえますか。
平日を何とか安定させたいです。水曜と木曜は自宅でやっていて、昼も夜も値段は変わりません。ただ、ストックヤードのある自宅で営業する夜の方がメニューは多いですね。最近は、上市町内にある近くの会社から電話でまとまった注文があり、お昼に取りに来られることもありますよ。出張料理の依頼もお待ちしています。
――西尾さん、今日はどうもありがとうございました。
こちらこそありがとうございました。
ほかの移動販売車がたくさんあるイベントの中でも、キッチンBBBさんのラッピングバスが一際目を引きます。イベントなどの人の多い場所では待ち時間ができてしまいますが、火曜と金曜の18:30まで営業されているパルでの出店時が狙い目ですよ。数が多い場合は、電話予約をしてから行けばすぐに受け取ることもできます。
西尾さんはご自分でも「こんなひげだし、パッと見はちょっととっつきにくい感じだと思います」と言っておられましたが、話してみると、実はとってもフレンドリー。そのギャップがいいですね。
レジにあったキャッシュトレーには「ありがとうございます」という手書きのメッセージがあり、温かい気持ちになりました。
●おすすめメニュー●
●DATA●
店舗名 | Kitchen Ben’s Beef Bar(キッチンビービービー) |
住所 | 上市町稗田 |
電話番号 | 090−2839-1998 |
FAX番号 | なし |
ホームページ | なし |
Facebookページ | https://www.facebook.com/Bens-Beef-Bar-KitchenCar-2089470114654568/ |
インスタグラム | なし |
なし | |
なし | |
営業時間 | パルでは火曜と金曜の10:00~18:30 ほか、出店場所の営業時間やイベント開催時間に合わせる (土日はほとんどイベント出店、カターレの試合や中学校駅伝など) |
定休日 | 木曜(夜は自宅で営業)、その他カレンダーによる |
駐車場 | 移動販売のため無し |
メニュー | ピタパンサンド(ビーフ、ポーク、タンドリーチキン、ハーブウインナー、粗挽きガーリックウインナー)、牛すじ、アルコール各種、出張料理 |
おすすめメニュー | ピタパンサンド(ハーブウインナー、チキン、ローストビーフの3種が入ったミックス)600円 |
設備・情報 | 予約可、テイクアウトメニューあり、PayPay利用可 |
代表 | 西尾 勉(にしお つとむ) |
オープン年月日 | 2018年5月 |