上市町ではたらく

町で過ごす時間の魅力を伝えるゲストハウス

metate / 株式会社ハテナブック

 

東京から富山に移住し、ゲストハウスmetate(めたて)を経営する株式会社ハテナブックの本間隼人さん。親戚はもちろん、知人すらいなかった上市町で古民家をリノベーションしたゲストハウスを開業するという大きな挑戦と、町に対する思いを伺いました。

代表 本間 隼人 さん

 
 

移住前はどのような仕事をされていましたか?

2019年に起業したのですが、その前は子ども向けの新聞社、広告代理店に合計10年ほど勤めて、株式会社ハテナブックを設立しました。

 

どのような事業をされていますか?

以前勤めていた会社の事業を引き継いだ「海とさかな自由研究・作品コンクール」という小学生向けの作品コンクールの事業の運営や、外部パートナーである離島経済新聞との繋がりから、新島(東京都)という離島の移住や空き家活用に関する行政支援を行っています。また、妻がやっている古着のECサイトの運営業務などを移住前から続けており、こちらに来てからそれらに加えて宿の事業がスタートしたという流れです。

 

すごく多様な事業展開ですね。

そうですね(笑)。自分自身何か一つの事を目指して成し遂げていくというようなタイプではなくて、その時々のご縁や状況の中で、「これをやったら楽しいぞ」と思える事を選択してきて、気がついたら多様な感じになっていました。

 

本間さんは元々東京の出身ですか?

はい。小岩というところなのですが、そこは東京にありながら東京じゃないみたいな、良く言えば本当に多様性に富んだ街で。そういう環境で育ったせいか、大学時代はさらなる刺激を求めてバックパッカーになっていろんな国を旅しました。多様な価値観に触れることに興味があったんですねきっと(笑)。

 

そんな本間さんがたどり着いたのが上市町!移住したいと思われたきっかけは?

起業した時、ちょうどコロナの時期に入って全ての仕事をオンラインにせざるを得なくなったんです。でもそれによって「東京じゃなくてもいいんだ」ということに気づいたというのがひとつ。あとは子育て環境の問題です。東京はどこへ行っても混んでいますしお金もかかります。加えて長男が体調を崩したこともあり、本格的に移住を考えるようになりました。

 

富山に決めた要因は?

富山は親戚も友人もいない土地でしたが、射水市出身の知人からいろいろ話を聞いて、候補に上がりました。その頃上市町の移住体験ツアーにも何度か参加させていただいて、何度も泊まってみて、県内のほぼ全ての地域に行きましたが、上市町が一番いいなと思い移住を決めました。いろんな事情で住まいは富山市に借りることになったのですが、今現在はmetateができて1日のほとんどを上市町で過ごしています。

 

上市町が一番いいなと思われたのはどういう点でしょうか?

人ですね。出会った方皆さん地元愛が強くて、思いを持って事業や活動をしている方ばかりで、この中で自分もやってみたいという気持ちになりました。

 

実際移住して感じることは?

最初は正直何もないなと思ったのですが、何度も来ているうちに日々の風景の些細な変化に気づけるようになってきて、自分の五感の感度が上がったように感じられたんです。 移住前から、上市町の移住者向けのSNSにアップされていた剱岳の写真を見ていたのですが、同じアングルでも全部表情が違うんです。上市ではその世界観が目の前に広がっていて、日々体感できる。これはすごく価値のあることだなと感じました。この感覚を味わって欲しくて宿を始めた部分もあります。

 

ゲストハウス開業の経緯は?

移住前から何度も上市に滞在する中で、ここで過ごす時間の良さを人に伝えていきたいという思いが高まって、町の担当の方に相談したところタイミング良く「いい物件が出たよ」と連絡をいただきました。その後も富山市内のとあるトークイベントで上市出身の建築士の方と出会ったりと、縁が繋がって実現に向けて進んでいきました。とはいえ宿泊事業単体では事業の評価や採算性が低く、簡単な挑戦ではありませんので融資に時間はかかりましたが、なんとか無事開業することができました。

 

metateの由来と特色は?

この建物は元々ノコギリの目立てをする目立て屋さんだったと聞いて、自分自身の上市で感じた「五感が研ぎ澄まされる感覚」と重なったんです。それで屋号をmetateに決めました。建物は元々あったものをうまく活かして改修して、新築の建物にはないような味わいが詰まっています。1人でも気軽に泊まれるドミトリーやグループで泊まれる2段ベッドの部屋、ファミリーで使いやすい広い部屋と3タイプの客室があります。その他、シェアキッチンやシャワールーム、デスクワークに使えるコワーキングスペースもあって泊まる人も泊まらない人も多様な使い方のできる施設に仕上がりました。近隣の飲食店をご利用いただきたいという思いから飲食の提供は行っていません。

どんなお客さんが宿泊されていますか?

今のところは、町内の方やその知り合いの方のご利用が多いです。その他には登山客、出張、地域を学びたいという大学生、移住先を探している方、先日は映画の撮影でも拠点としてご利用いただきました。

 

宿泊以外ではどのような活用をされていますか?

全館貸し切ってのイベントやアート展示、撮影スタジオとしてのご利用、レコード鑑賞会、日々のコワーキング利用、古着の販売など多様な形でご利用いただいています。 宿泊も含めてこの場所でいろんな接点が生まれていったらと思っています。

開業で発見した価値はありますか?

先日、ご近所の方からご予約をいただいたのですが、「法事で親戚が帰ってくるけど布団を出すのも大変だしここに泊まってもらうことにした」とのことで、そういうパターンがあるんだという新しい発見でした! あと、この地域には「スナック文化」があるので、食事に出て、2軒目で飲んで歩いて帰ってこれるのが、お酒を飲む人にとってはすごく良いという声をいただいていて、この立地にあった宿の使い方だなと思っています。旅の人にとってはその土地のスナックに行くというのはちょっとハードルが高いですが、上市町の過ごし方をご案内する中で、いろいろな楽しみ方をお伝えできたらと思っています。

 

今後の展望はありますか?

上市で何か挑戦したいという人の拠点となって、挑戦のためのきっかけづくりや人の紹介、リノベーションや開業のサポートなど、挑戦する人の後押しができたらと考えています。

 

ありがとうございました。

●DATA●

施設名 metate(メタテ)
住所 上市町熊野町125
電話番号 090-8807-6047
Instagram @metate_kamiichi
ホームページ https://metate.jp
運営企業名 株式会社ハテナブック
代表取締役 本間 隼人
事業内容 【metate】宿泊(3部屋・最大各4名) イベント・コワーキング・上市でチャレンジしたい人の支援
営業時間 チェックイン15:00~19:00
チェックアウト~9:30

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